2024年からビル・ゲイツがオン&オフでプロモートしてきたのが、カリフォルニアの食品テクノロジー・スタートアップ企業、Savor/セイバーがクリエイトする生成バター。
ビルゲイツはセイバーの主要投資家で、セイバーがクリエイトするバターは 空気から回収した二酸化炭素(CO₂)と水と酸素から得られる水素を熱化学合成法で結合して
乳製品に含まれるのと同じ脂肪酸とトリグリセリドを生成したもの。
この製品は乳製品のバターと化学的には同一であるものの、動物、植物、農地を必要とせずに生産されることから、
サステイナブル・フードとして2026年から市場に出回ることが決定。
既に2025年のホリデイ・シーズンには、消費者市場への早期参入を目指して、バター・チョコレートが高級チョコレートのパッケージで販売され、
ミシュラン・スター・レストラン、パティスリー、ベーカリーでも このバターを使用した試験的な調理が進んでいるのだった。
牛、植物、油脂を使わずに作られたセイバーの生成バターは、食のプロでさえ「見た目や味、香り、そして焼き上がりも、乳製品のバターと全く同じ」と証言するクォリティ。
生産に関わるカーボン・フットプリントは1kgあたり0.8g CO2e未満、従来のバターの約16.9kgに比べて極めて低いことを謳うプロダクト。
その製造プロセスで使用する水の量は、従来の酪農で必要とされる1000分の1未満。
しかしそんな環境に優しく、動物愛護の見地からも奨励されるバターにバックラッシュが起こっており、
理由は食品と医療分野の専門家が 合成された脂肪分子の長期摂取の安全性に疑問を投げかけているため。
かつては健康に良いと言われたマーガリンが、実はバターより身体に悪いことが後から判明したトランス脂肪酸が含まれいたという前例も、この疑問の声が高まる理由の1つ。
しかしバックラッシュの最大の要因は、アメリカ国内に27万エーカーの農地を所有するビル・ゲイツのようなビリオネアが、近い将来食糧不足を仕組む、あるいは食糧品のリソースを買い占めて、
世界の食糧供給を独占的に支配しようとしていると疑われているため。
しかもビル・ゲイツという人物は、既にマイクロソフト社のウィンドウズでOS市場独占を図って来た存在。
昨今ではセックス・トラフィッカーのジェフリー・エプスティーンとの個人的な繋がりが指摘され、決して好感度が高い訳ではないこともバックラッシュに影響しているのだった。
さらには、これまで環境問題や地球温暖化を問題視してきたビル・ゲイツが、AIビジネスのための大規模データセンターや大規模発電所が必要になった途端、
「環境問題は現時点では、世界の最優先課題ではなくなった」と発言。にも関わらず、サステイナビリティを謳ったバターをプロモートしようとするのは、
矛盾に感じられるだけでなく、彼のサステイナビリティは金儲け主義の一部にしか見えないのが実情なのだった。
現在、イリノイ州バタビアにある25,000平方フィートの工場でバターを生産するセイバーは、今後は牛乳、チーズ、アイスクリーム、パーム油等を
サステイナブル製法で生産することになっており、、他の油脂製品開発にも事業拡大をする模様。
しかしアメリカの一般消費者のビル・ゲイツに対するネガティブ感情のせいで、
「ビル・ゲイツが関わるものは口に入れたくない」というリアクションは非常に多く、
それはDOGE(政府効率化省)によってアメリカ国民の大半を敵に回したイーロン・マスクの企業、ニューラリンクが手掛けるチップを
「体内に埋め込むくらいなら死んでやる」といったリアクションと同様。
とはいっても食品業界自体は既にサステイナブルな生成フードに大きくシフトしており、
今やマクドナルド、コカ・コーラといった大企業はもちろん、フェイスブックなど本来フードとは無関係な企業までもが
生成食品のプロジェクトに関わっているのが現在。
かつて”Lab-Grown/ラブ・グロウン”というと、人工ダイヤモンドが筆頭に挙げられていたけれど、
現在は ”ラブ・グロウン”と言えば、ビーフ、サーモン、フルーツ等、圧倒的に食品。
人工的なイメージを嫌う消費者に徐々に浸透させるさせるため、食品業界ではレストラン・メニューや
冷凍食品、ファストフード等、人々に知られない形での導入からスタートするようで、
コストや人件費が掛からない分、安価なラブ・グロウン・フードが普及した場合、
農地で自然な形で生産される野菜・果物、牛や鶏からの食肉、卵、乳製品は一握りの富裕層だけが味わえる
贅沢品になる可能性は大。
また魚介類も関しては、海水汚染の問題で生成食品しか食べられなくなる時代はすぐそこまで来ているのだった。


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