7900万ドルで売りに出されたトライベッカのランドマーク、
ウールワース・ビルディング内のあまりに有名なペントハウス
Published on 8/27/2021
NYには数多くのランドマーク・ビルディングがありますが、その中でも高さ241.5メートルを誇り、
1913年から1930年まで世界最高層ビルであったのがマンハッタンのトライベッカに位置するウールワース・ビルディング。
このビルは米国小売りチェーンの先駆け、ウールワースの創設者 フランク・W・ウールワースが当時僅か1350万ドルで建築したもので、
その贅沢でアップスケールなディテールが時代が流れた今も賞賛される存在。
そのウールワース・ビルディングの50〜58階、ビルのクラウン・タワーを占めるのがここにご紹介するペントハウスで、
360度のパノラマビューが望める物件の敷地総面積は900平方メートル。
このペントハウスは、改装前の2017年に1億1000万ドルで売りに出ていましたが、あまりに造りがユニーク過ぎることから、
改装後のイメージが沸かない状態での売却が難しいと判断したデベロッパーが、著名建築家のデヴィッド・ホットソンに依頼して、
バルコニーを含むペントハウスをリノベ―ト。
しかしその間にモダンでアップスケール・ラグジュアリー物件がどんどん増えた一方で、NYの不動産価格は下落傾向に入り、
そして起こったのがパンデミック。その結果、改装後でありながら4年前よりも3100万ドル安い 7900万ドルで売りに出たのがこの物件。
ウールワース・ビルディングはアメリカの建築史に残るランドマークであると同時に、
そのクラウン・ペントハウスは世界的にもあまりに有名な物件。
これを安いと思うか高いと思うかは、歴史的ヴァリューと世界で最もユニークな物件という希少性をどう考慮するかによりそうです。
以下ではそのウールワース・ビルディングのペントハウスのインテリア、ビルディングのフィーチャーをご紹介しています。
また最後に番外編として、今月ようやく売却が決まった同じく歴史的な大邸宅、ハースト・エステートについても売却情報をご紹介しています。
写真上はウールワース・ビルディングのアール・デコ調のエントランスとロビーのコンシアージュ・デスク。
NYでは1910〜30年代にかけてアール・デコ建築の高層ビルの建築ラッシが起こっており、
如何にもその真っ最中で建設されたビルらしいディテールです。
写真上、上段はペントハウスのファースト・フロアのメインルームで天井の高さは3メートル以上。
下段は同じフロアにある12人まで着席出来るフォーマル・ダイニング・ルームで、こちらは天井が低めで、より落ち着いた雰囲気に仕上げてあります。
写真上はペントハウスのセカンドフロアで、左手に螺旋階段が見えていますが このフロアの天井までの高さは4.75メートル。
アーキテクトのデヴィッド・ホットソンはより若いメガリッチにアピールするために、ビル本体のアールデコのイメージには捉われない
「ヨット・イン・ザ・スカイ」というコンセプトを設定。
マンハッタンの空を飛ぶヨットのイメージを取り入れています。
写真上、上段はペントハウス内の4階、メザニンのバルコニーがメインフロアを囲む空港のロビーのようなユニークなデザイン。
写真上、下段はペントハウス5階で、4階同様にホワイトとグレーを基調にしたインテリア。
メザニンのフェンスと階段の手すりをガラスにして、商業空間のようなモダンさをもたらしています。
写真上、上段はライブラリーエリア。写真上下段はベッドルーム。
いずれの空間も個人宅という雰囲気ではありませんが、ニューヨークやビバリーヒルズの大邸宅の中には
映画やドラマ、ミュージック・ビデオの撮影や、パーティー・スペースとしてレンタルすることで、
利益を上げている物件も少なくないのが実情です。
写真上はペントハウスのプライベートの展望デッキ。フェンスはブラインドが下ろせるウィンドウ付き。
360度のパノラマビューが望めますが、バルコニーに沿って歩く必要があります。
写真上、上段は建築当時からあったアールデコ・デザインのスイミング・プールを復活させたもので、これはビルの住人が使えるアメニティ。
写真上、下段はハドソン・リバーとアップタウン側のビューで、ハドソン・ヤーズ、エンパイア・ステート・ビルディング、そして
現在建築中のタワー・ビルディングが一望できる絶景が広がっています。
番外編: 遂に142万ドル割引で買い手がついたハースト・エステート
昨年、2020年8月にCUBE New Yorkで 『74億円割引でも買い手がつかない!? 映画「ゴッドファーザー」、
「ボディガード」、ビヨンセの「Black Is King」に登場した大邸宅』としてご紹介したのが 写真上のハースト・エステート。
これはメディア王であり、映画「市民ケーン」のモデルにもなったウィリアム・ランドルフ・ハーストが所有した5エーカーの敷地内に建つ贅を尽くした大邸宅。
2016年に米国史上最高額である1億9500万ドルで売りに出されたものの、そのクラシック過ぎる造りや維持費の高額さで
4年が経過しても一向に買い手がつく気配がなかったことから、1億2500万ドルまで価格を下げていたのが2020年8月の段階。
そのハースト・エステートが遂に2021年8月3週目に売却されましたが、そのお値段は何と4700万ドル。
すなわち1億4800万ドルの割引で、割引された金額が売値の3倍以上というメガ・ディスカウント。
このウールワース・ビルディングのペントハウスと言い、歴史的価値があり、維持費が掛かる大規模物件は
購入できる人々が限られているのもさることながら、人々のテイストがどんどんモダンにシフトし、機能的にもテクノロジーとの融合がもてはやされているとあって、
今後も値崩れ傾向が続きそうな気配です。
ハースト・エステートの詳細はここをクリックしてご覧下さい。
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