
Mar Week 3, 2025
Covid-19 NY Diary
5年前のあの時…「Covid-19 NYダイアリー」

先週のこのコーナーで、「2020年には、当時感染が広がりつつあったコロナウィルスのせいで、自分の会社が20周年を迎えたことに気付かなかった」と書いたけれど、
ふと考えると2020年は、NYが全米に先駆けてロックダウンに突入し、日本への一時帰国も出来ず、唯一の社交手段がZOOM。
ジムにも美容院にも、レストランにも行けず、ニューヨーカーに許される外出は食材の買い出と散歩やランニングなどのエクササイズのみ。
この時はセントラル・パークさえ人が少なくて、2020年に撮影して、今もアイフォンに残っているのは、もっぱらNYの空、ガラガラの5番街、セントラル・パークで毎日見かける鳥、カメ等の生き物の写真。
多くの人々が、家でネットフリックスのビンジ・ウォッチングをしながら、食べる量と飲む量が増えた結果、Covid-15という現象が起こっていたけれど、
これはロックダウン中に体重が15パウンド増えるという意味。
「この時、私は有り余る時間を一体何に使っていたのだろう?」と振り返って、思い出したのが
このパンデミックという異常事態のニューヨーク、ニューヨーカーを描いた書物を執筆していたことなのだった。

当時も”Catch of the week” のコラムで、NYの感染状況や、州政府の対応、
ニューヨーカーのライフスタイルの変化等を書いていたけれど、
Catchのコラムは基本的に 事実を正確に伝えて、時代の記録を私なりに残すのが目的。
でも9・11のテロ、そして2020年のパンデミックのように、世の中全体を感情レベルで巻き込むような大きな出来事に見舞われた場合、
その中で生きるニューヨーカーの価値観や考え、不安、不満、個々の葛藤など、エモーショナルな部分や 個々の生活の中で実際に起こっていた出来事を捉える方が、
「数字やデータよりも、遥かに貴重な ”歴史の回顧”になるはず」と考えたのだった。
そこで当時始めたのが、友人、隣人、時に見ず知らずの人から聞いた様々なエピソード、メディア報道に登場したニューヨーカーのストーリー、
私自身が実際に目撃し、体感した当時のニューヨークの様子を まずはデータとして集めること。
そして1つ1つのエピソードや情報を パズルのように組み合わせて、数人のニューヨーカーのキャラクターとライフスタイルを構築し、
それぞれのダイアリー(日記)形式で、そのストーリーを語る書物の執筆に取り組んだのだった。

ダイアリー形式にこだわったのは、パンデミックの影響で変わっていく それぞれのキャラクターの生活や心理状態が
タイムラインで描けること、そして複数の異なるキャラクターの異なるストーリーが、
ウィルス感染下のニューヨークという同じタイムテーブル上で起こっていたことを感じて頂きながら、その状況比較ができると考えたため。
「Covid-19 NYダイアリー」は書物のカテゴリーとしてはフィクションであるけれど、感染者数の推移、政府対応、
当時のBLM(ブラック・ライブス・マター、写真上はロックダウン中のデモを自宅から撮影したものです)を含む社会問題や報道、
その状況下で生きたニューヨーカーについては、極めて正確に描いているので、
その意味では ”ドキュフィクション” と言える仕上がり。
私が構築したのは7人のニューヨーカーのキャラクターで、キャリア・ウーマン、フリーランス・ライター、
リムジン・ドライバーなど、設定は様々であるけれど、いかにもニューヨークらしい人格像で、
時期的には2020年2月から6月を描いたもの。
「ダイアリー」と言いながらも、状況や街中の様子を理解して頂くために、
普通なら日記には書かないような説明的な部分もあるけれど、
私自身が人生の記録として長年日記をつけていて、その時々の世の中を
正確に覚えておく目的で、説明的な文章を書くことが多いので、それに免じて許して頂きたいと思うのだった。

「Covid-19 NYダイアリー」は、アマゾンのキンドルでEブックとしてアップしました。
ふと振り返ると、NYで最初の感染者が出たはCUBE New Yorkが20周年を迎えた翌日の2020年3月1日のこと。
何故5年が経過した今、Eブックで出版したかと言えば、私自身が暫しの間パンデミックというものにウンザリして、
この原稿を読み返す気持になれなかったため。
でも、違った意味での時代の変革期を迎えた今、「Covid-19 NYダイアリー」を読み返して感じたのが、
背景が違うだけで、時代の変動の中で不安や問題意識を感じ、様々な状況と闘わなければならない様子が
現在とオーバーラップすること。そして自分が5年前に書いた文章から、私自身が様々ことを学び、思い出し、
反省し、希望を持ち、そして「どんな状況でも頑張って生きることこそが素晴らしい人生」と
改めて感じた次第です。
1人でも多くの方々に読んで頂けたら嬉しい限りです。
CUBE New Yorkの読者の皆様のために、チャプター1を こちらのサイトでプレビュー公開しています
アマゾン Kindle版はここからアクセスして頂けます。 現在ペーパーバック版を準備中です、もう少々お待ちください。
最後に、前回のこのコラム以降、沢山のお客様、読者の皆さんからCUBE New York25周年の御祝いメッセージを頂戴いたしました。
この場を借りて心からお礼申し上げます。ありがとうございます。これからも皆さまに応援して頂けるよう、頑張ります。
Yoko Akiyama
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執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |


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