July. Week 5, 2021
”Hottest Beauty Trend of 2021, Probiotic Skincare!”
2021年のビューティー・トレンド、プロバイオティック・スキン
2021年のビューティー業界で最もホットなトレンディング・アイテムになっているのがプロバイオティック・スキンケア。
プロバイオティックの整腸作用が如何に健康に大切かは近年知れ渡っているけれど、そもそも体内に存在するマイクロバイオーム(細菌や真菌)の数は約100兆。その種類は1000以上で、
重さにして体重の2~3%。
これが人間の免疫システムを掌っているけれど、
身体の表面を守っているのは 先天性免疫と呼ばれる細胞やコラーゲン等で、
それをさらに覆っているのが肌の表面に存在するバクテリア。
パンデミック中には、感染症の専門家に対して「トイレの便座でウィルスが感染しないのか?」といった質問が寄せられていたけれど、
専門家がそのリスクを否定していた理由が肌表面に存在するバクテリアによるプロテクション・バリア。
同様のバリアは全ての生物に存在しており、例えば卵にしてもファーマーズ・マーケットで売られているような殻を洗浄していないものは バクテリアによるプロテクション・バリアに覆われているので
一定期間常温で輸送や販売が行われても傷む心配は無し。しかしアメリカの大手スーパーで売られている卵は、
サルモネラ菌を恐れて殻の洗浄を行い、そのプロセスでバクテリアが除去さてしまうので輸送と販売に冷蔵が必要になるのだった。
2020年のビューティー業界と言えば、パンデミックの影響でコスメティックの売上がサッパリだった一方で、メガヒットになったのが
ハンド・サニタイザーと、その手荒れ対策のハンド・クリーム。
そのことがきっかけでスキンケア・セクターで注目度が盛り上がったのがプロバイオティック・スキンケア。
というのはハンド・サニタイザーが、 腸内に入った抗生物質と同じように 善玉、悪玉の見境無しに 肌を覆うバクテリアを全て除去してしまうためで、
その結果、肌本来の免疫力が衰え、肌質が弱くなることが問題視されていたのだった。
そのためパンデミック中には「ハンド・サニタイザーは手のひらだけに使って、手の甲には使うべきではない」とアドバイスする皮膚科医も少なくなかったけれど、
実際にバクテリアが肌の表面に居座っている方が、免疫効果が高いだけでなく、保湿も有効に行えて、肌本来のナチュラル・バランスを整え易い状況。
逆にこれが取り除かれて免疫力が衰えた場合、病弱な人ほど早く老けるのと同様に、肌の老化がスピードがアップし、
僅かな日焼で色素沈着が出たり、小じわの増加にも拍車が掛かってしまうのだった。
それとは別にパンデミック中に多かったのが、ディスインフェクテッド・ワイプ(殺菌用ペーパータオル)を使ってクレンジングをして肌荒れを招いた女性。
特にストレスによるアクネに悩んでいた人が、アクネ・バクテリアの退治が出来ると思ってディスインフェクテッド・ワイプを使用するうちに、
アクネが悪化したり、違う発疹が出るケースがレポートされていたけれど、これも肌の表面から善玉バクテリアをワイプで除去した結果、
アクネ・バクテリアにブレーキを掛けるものが無くなってしまった、もしくは皮膚の乾燥が脂の過剰分泌を招いて それが悪玉バクテリアに餌を与えた状態。
要するに肌を守り、他の悪玉バクテリアと闘うため、そして保湿力を高め、肌の老化をスローダウンさせるために必要なのが善玉バクテリアという訳だけれど、
これまでスキンケアの世界では水分や脂分のバランスやpHバランスを保つプロダクトは出回っていたものの、
肌表面のバクテリアの維持やバランスに働きかける試みは行われてこなかった訳で、
そこに初めてスポットが当てたのがプロバイオティック・スキンケアなのだった。
プロバイオティックとは善玉菌に餌を与えながら、悪玉と悪玉の影響を排除する役割を担うものの、一掃する訳ではなく、理想的な善悪のバランスを保ち、
時に悪玉さえも別の悪玉退治に利用するような環境を生み出すための栄養素。
要するに肌においても 理想的な腸内コンディション同様に 善玉&悪玉バクテリアのバランスが取れた共存こそが
強力な免疫システムであり、引いては保湿や老化防止のためのバリアとなるもの。
プロバイオティック・スキンケアはそんなバランスを構築するために以下の3ステップからデザインされているのだった。
- 皮膚に備わる善玉バクテリア増加の環境を作る培養物を与える
- 既存の善玉バクテリアに餌を与えて繁殖を助ける
- バクテリアの代謝を促進する発酵作用をもたらし、その際に放出される有益な抽出物で肌に恩恵を受ける
いくら化学やテクノロジーが進化したとは言え、人工的な合成物では未だ不可能とされる様々な効果をもたらしてくれるのが
肌に本来備わるバクテリアを利用したスキンケアで、
プロバイオティックはアクネ、敏感肌、乾燥肌の改善、老化スローダウン等
全ての肌質にメリットをもたらすオールマイティなケアで、現代人に多いアレルギー性皮膚炎にも極めて有効。
従来のスキンケアの「まず汚れを出来る限り落とし、その後 肌に欠けた成分を補う」というコンセプトはもはや時代遅れで、
これからは体内で行われている消化活動同様に、スキンケアもバクテリアの働きとそのバイプロダクト(副産物)を活用する時代に入っているのだった。
執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |
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