Feb. Week 4, 2021
”YouTube Sensation! Drum Cover by Yoyoka”
海外のロックファン&ミュージシャンが大絶賛! 日本人少女ドラマー Yoyoka
パンデミック中にネットフリックスやYouTubeビデオを見飽きた人々がやっていたことといえば、YouTubeで音楽を聴くこと。
それも学生時代を含む成長期に聴いた懐かしい音楽を聴く人が非常に多く、
そんな人々のコメントを読んでいると、国や人種が違っても誰もが同じような気持ちでその楽曲を聴いている様子が手に取るように分かるのだった。
かく言う私は高校時代にR&Bやダンスミュージックに移行する以前は大のロックファン。特にレッド・ツェッペリンは「Houses of the Holy / 聖なる館」を除いては、
すべてのアルバムをLPで持っているほどで、パンデミック中にはツェッペリンの楽曲をYouTubeでかなり聴いていたけれど、レッド・ツェッペリンはイギリスのバンドでありながら
マーケットがイギリスとは桁違いに大きいアメリカにフォーカスして活動していたとあって、アメリカには親子2代、時に3代でツェッペリンのファンというケースが非常に多いのが実情。
「ラップミュージックをかけていると”Turn it down(ヴォリュームを落とせ!)”と叫ぶ父親が、ツェッペリンをかけていると”Turn it up(ヴォリュームを上げろ!)”と叫ぶ」エピソード等、
そのファン層の厚さを感じさせるコメントがYouTube上に多数見られるのだった。
そんな親子二代のツェッペリン・ファンのアメリカ人の友人が「日本人の天才的なドラマーが居る!」と送ってきたのが、Yoyokaのドラム・カバー・ビデオのリンク。
そのビデオは現在11歳のYoyokaが8歳の時に、レッド・ツェッペリンのファーストアルバムの1曲目「Good Times, Bad Times」のドラム・カバーをしているもので、
ドラム・カバーとは言ってみればカラオケのドラムバージョン。
YouTube上ではミュージシャンが一流のバンドのカバーバージョンをバンドとしてではなく、自分が担当する楽器だけで行うビデオが増えてきていて、
Yoyokaの場合、ドラム以外はオリジナルのバンドのレコーディング。
「Good Times, Bad Times」は、ツェッペリンの楽曲の中ではメロディがシンプルで演奏時間も短いのでドラムも簡単と誤解されがちであるけれど、
時計の秒針をイメージしたカウベルや、キックペダルで叩くトリプレッツ(1ビートに3つのノートを叩き込むテクニック)のベースドラム等、決して簡単ではないのはロックファンならば熟知していること。
そもそもロック史上でベストドラマーの呼び声が高いジョン・ボーナムのカバーがそんな簡単なはずはない訳で、それを8歳でやってのけた彼女のビデオは、
レッド・ツェッペリンのヴォーカル、ロバート・プラントがポッドキャストに出演した際に ホストが彼に見せて驚かせているのだった。(上のビデオ)
私はYoyokaの存在を友人に教わるまで知らなかったけれど、彼女は既にアメリカのトークショーに複数回出演していて、そのインタビューによればドラムを始めたのは2歳の時。
習った訳ではなく独学とのことで、そのドラム・カバーのレパートリーは、レッド・ツェッペリンの「Dazed and Confused」、ディープ・パープルの「Burn/バーン」(上のビデオ)、クイーンの「Stone Cold Crazy」、ニルバーナの「Smells Like Teen Spirit」、
そして日本ではさほど知名度があるとは思えないラッシュの名曲「YYZ」等、クラシック・ロックが多く、彼女の年齢でこうした質の高いロックに馴染みがあるのは間違いなく親の影響。
実際にYoyokaの父親はミュージック・プロデューサーで、彼女のビデオの音質が抜群なのもその父親が手を掛けてプロデュースしているため。
アメリカのトークショーに出演しているくらいなので、Yoyokaのビデオのコメントはその殆どが英語。
それも熱心なロックファンが多く、「Rock and Roll WILL be saved!!! (彼女によってロックンロールは救われる)」、「I’m thankful I was able to see Michael Jordan play basketball. Tiger Woods play golf. And now Yoyoka play drums.
(自分はマイケル・ジョーダンのバスケットボール、タイガー・ウッズのゴルフのプレーが見られて本当に感謝しているけれど、今はYoyokaのドラム・プレーが見れることに感謝している)」
「This is once in a life time talent(一生に一度巡り逢えるか否かの才能)」と大絶賛。
Dislikeボタンを押しているビューワーに対して「自分が同じようにドラムが叩けないことを僻んでいるドラマーに違いない」等と批判するレビューがいくつも見られるのもYoyokaのコメント欄。
中には「東京オリンピックの開会式か閉会式に彼女が出演するべき」という声もあったけれど、彼女の海外でのファンベースや知名度、そしてロックファンを魅了するパワーは驚くほど。
私もYoyokaのチャンネルをサブスクライブしてしまったけれど、一流ドラム・メーカーのパールが彼女のスポンサーになるのも納得という印象なのだった。
上はディープ・パープルのドラマー、イアン・ペイスが彼のYouTubeチャンネルでYoyokaの「Burn/バーン」のカバーをレビューした時のビデオ。
この曲はロック・ミュージックの中で最もドラムの難易度が高いとあって、それを完璧かつパワフルに再現しているYoyokaに対して
すっかり白髪頭になったイアン・ペイス自身も「She hits harder than I do(自分よりハードに叩いている)」、
「I've seen many guys and cover bands trying to do this song, 3 or 4 times her age, and they can't do it. She's nailed it
(彼女の3、4倍の年齢のカバーバンドがこの曲をトライしても全然なっていなかったけれど、彼女は完璧にやってのけた)」、「Superb!/優秀!」と賞賛を惜しまないのだった。
Yoyokaの「バーン」のドラム・カバーはイアン・ペイスだけでなく、他のYouTuberもレビューで大絶賛しているけれど、
ディープ・パープルは日本や欧州ほどはアメリカで存在がビッグではなかったので、彼女のカバーで初めてこの曲の存在を知った人も居る状況。
ちなみにYouTube上では、Yoyokaより一足先にドラム・カバーで有名になった女性ドラマーに17歳のSina/シーナが居るけれど、
彼女の「バーン」のカバーもイアン・ペイスが高評価を与えた1つ。
イアン・ペイスはYouTubeのコメント欄を通じてYoyokaとSinaの双方にジョイント・セッションのインビテーションを送っていたけれど、
私の意見では、Yoyokaの方がSinaよりもランクが上のドラマー。パワーとコントロールがエフォートレスで、スティックさばきに華があると思うのだった。
イアン・ペイスがレビューの中で「The best thing is, she’s having fun(一番素晴らしいのは彼女自身が楽しんでいること)」と語っていた通り、
本人が楽しんでやっているのが見る側に伝わってくることもYoyokaのパフォーマンスの大きな魅力。
是非とも世界の舞台で活躍して欲しい日本の逸材なのだった。
執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |
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