当然ながら今週もメインストリート・メディア、SNSはイラン戦争のニュースで終始していたけれど、
「アメリカは既に戦争に勝った。戦争はもうすぐ終わる」とトランプ氏が宣言し、株式市場がそれを好感したのも束の間、
「だからと言って今止める訳には行かない。2年置きにイランを攻撃する必要が無い体制にする」と戦争が長引く様子を示唆。
一方、イラン戦争初日の爆撃で怪我を負ったと言われる新最高指導者、モジタバ氏は公の場に未だ姿を見せていないものの、ホルムズ海峡閉鎖、中東諸国爆撃継続の意志を表明。
週半ばにはイランが男子サッカー・ワールドカップ出場を辞退し、同じタイミングでFBIが警告したと報じられたのが、イランによるアメリカ西海岸へのドローン攻撃。
東海岸の方が距離的に近いにも関わらず 西海岸を狙うという段階で既に信憑性が薄かったこの情報には さほど根拠が無いようで、それよりアメリカ国内では
木曜にミシガン州のアメリカ最大のシナゴーグ(ユダヤ教の教会)が攻撃されたような、”スリーパーセル”と呼ばれる個人レベルでテロを起こす存在の脅威が高まっているのだった。
今回の戦争をアメリカに促し、「イランを攻めるのは40年来の目標だった」と語ったイスラエルのネタニアフ首相は、
今では戦争が長引くことを危惧し始めたと言われ、理由はイランが既に中東にある米軍基地、レーダー・センター等、
17箇所の攻撃を終え、その矛先をイスラエル国内に向けると言われるため。
地図にも載っていないアメリカ軍施設をイランがピンポイントで攻撃した背景には、ロシアによる協力があると言われるけれど、
今週イスラエルでは街中のセキュリティ・カメラが次々と撤去され、「SNSでイラン攻撃による街のダメージをポストした国民には5年間の禁固刑」が警告されており、
戦争被害の隠蔽が始まっているようなのだった。
今週、各方面で聞かれたのが「戦争で重要なのは軍事力より戦略」との指摘。
アメリカ軍は自国民の避難さえ後回しにする突然の攻撃開始で、トランプ氏がエンドゲームもエグジット・ストラテジーも持っていない様子はその二転三転する声明からも明らか。
これに対してイランは何年も前からこの状況を想定してきたと言われ、それを立証するのが中東諸国に対する攻撃。
中でもUAE(アラブ首長国連邦)は、政治文化の中心である首都アブダビと、観光と商業、そして世界中の富豪のハブと言われたドバイの二都市で
多大な被害を被ったけれど、その被害は攻撃による破壊のダメージよりも、税金や政治規制を逃れて世界各国からやって来たミリオネア、ビリオネアがUAEに抱いてきた安定と信頼を打ち砕いたこと。
富豪の多くがドバイに流れ始めたのはパンデミックを前後しての時期で、ドバイに何のルーツも持たない彼らにとって現状のドバイに留まる理由は無く、国外脱出は当然のこと。
インフルエンサーも「Dubui is finished」とポストする有り様で、実際の攻撃とそのインパクトを比較すると、イラン攻撃の効率の良さは驚くべきもの。
米軍は既にイランの銀行、軍事&政府施設、原子力施設、空港を攻撃。「もう残されたターゲットは無い」とトランプ氏が勝利宣言をしたけれど、
イランはその報復として 中東の石油施設や金融ハブの攻撃とホルムズ海峡閉鎖により、既に1バレル100ドルに迫る原油価格を200ドルにまで押し上げると宣言。
イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)は、米国およびイスラエルの大使を追放したアラブ&欧州諸国の石油タンカーには、ホルムズ海峡の安全な航行権を与えると発表し、
アメリカを孤立させる動きにも出ているのだった。
そんな中、ロイターとウォールストリート・ジャーナルが報じたのが、湾岸諸国の原油輸出が滞る中、イランの原油輸出は戦争前と同じペースで行われていることで、
2月28日の開戦以降今週までにイランは1370万バレルの原油を輸出しており、その行先はもっぱらインドと中国と言われるのだった。
トランプ氏は今週、ウクライナ戦争におけるロシアへの経済制裁の要であった原油取引禁止を一部解除。1億2800万バレルの原油輸出を認めたけれど、
それによって救われたのが、過去数週間でウクライナに対して劣勢に転じ、資金不足に陥っていたロシア。
ちなみにロシア軍はウクライナ戦争で、131万5000人の死傷者を出し、そのうちの62%が死亡、38%が負傷者。これはウクライナがロシア情報筋から入手した
データであるものの、実際より下方修正されていると言われるのだった。
ロシア国内では プーチン大統領の戦争権限を拡大する法案が通り、今後のターゲットはウクライナから 1991年にソビエト連邦から独立したエストニア、ラトビア、リトアニア、
すなわち現在NATOに加入しているバルト三国に向けられるという説が浮上。
イランからの攻撃を受けている中東諸国では その怒りの矛先が、勝手に戦争を始め、現在の高価格でロシアの原油取引を再開させたトランプ氏に向けられているようだけれど、
トランプ氏自身は石油価格高騰について、「アメリカは世界最大の産油国だ。石油はたっぷりあるし、石油会社は大儲けだ」とむしろ歓迎するような発言をしているのだった。
今回の戦争では、アメリカのTHHADミサイルやイスラエルのアイアン・ドームを含む超高額な迎撃システムではイランの数に優る安価なドローン攻撃が防げないことを立証したけれど、
そのドローンを高確率で撃ち落とすウクライナの安価な撃墜技術は、昨年8月にゼレンスキー大統領がトランプ氏とホワイトハウスで会談した際に米軍にオファーしたもの。
当時トランプ氏はそれには目もくれず、大統領執務室での記者会見で見られたのがスーツを着用しないゼレンスキー氏が馬鹿にされる一幕。
今となってはアメリカがイスラエルと中東諸国のために提供を求めているのがその技術で、ゼレンスキー氏は当然ながらその引き換えとしてロシアからのプロテクションを要求。
しかし今週には韓国も高確率でドローン・ミサイルを打ち落とす防衛システムの実用化を達成したと発表しているのだった。
アメリカ国内では、この戦争がエプスティーン疑惑から国民の関心を逸らすためのものと言われ、実際に国民によるエプスティーン疑惑の検索数は戦争開始以来減少中。
そんな中で物議をかもしたのが、つい最近撮影されたエプスティーン・マダムで、現在服役中の共犯者、ギレーン・マックスウェルの顔写真が全く別人の顔になっていたこと。
さらには新たに公開されたエプスティーン死亡時の拘置所のセキュリティ・カメラ映像から数分がカットされ、その前後に出入りした人物への疑惑が高まっており、
さらにはエプスティーンの死亡時に「目を離した」と言われる看守の銀行口座に、死亡直前に振り込まれていたのが謎の5000ドル。それを受けてエプスティーンとマックスウェルが2人にとって絶対安全の地、
イスラエルに逃れて暮らしているとの陰謀説が浮上。同時にトランプ氏の1人目の妻、イヴァナ夫人がトランプ氏に不利な証言をする直前に死去したタイミングに疑問を投げかける声が聞かれたのも今週。
しかしながら、トランプ政権がエプスティーン疑惑よりも国民の関心を逸らしたいのは選挙国営化。
現時点の支持率では11月の中間選挙での共和党大敗は目に見えており、そうなればトランプ氏の弾劾も時間の問題。
それを妨ぐ手立てとしてトランプ政権中枢部が3週間前に仕上げたのが17ページに渡る法案のドラフトで、そこに描かれているのは中国政府の介入という架空の緊急事態をでっち上げて、
大統領令の発令により選挙を従来の州ごとの運営ではなく、国営にして、選挙自体をコントロールする計画。
それに備えてトランプ政権は、トランプ氏が敗れた2020年の大統領選で「1万1780票を探してこい」とトランプ氏が総務長官に電話で告げたジョージア州の投票箱を数週間前に回収。
そこから新たな不正選挙説を企てると言われ、それについて今週、何度も記者に尋ねられていたのがトランプ氏。
一度水面下で物事が進むと今回のイラン戦争のように、法律や判決などを軽く無視して実行してしまうのがトランプ政権なだけに、
民主党はトランプ氏の支持率の低さにあぐらをかいては居られないのだった。
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執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |


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