Jan. 6 〜 Jan. 12 2020
ハリー&メーガン夫妻にMegxit がもたらすこれだけの収入源!?
今週のアメリカはイラン情勢を受けて、第三次世界大戦に突入するのでは?という懸念でスタートしたものの、
直ぐに戦争状態にはならない安堵感から株価が上昇。週末になってからは、
1月8日の離陸2分後に爆発したウクライナの旅客機を イラン政府がアメリカのクルーズ・ミサイルと誤って撃ち落としたことを認めたことから、
テヘランではイランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師の辞任を求める抗議デモが起こり、
アメリカ軍も1月3日に暗殺されたカセム・ソレイマーニーと共に特殊作戦部隊が殺害を試みていた
イランのイスラム革命警備隊の司令官、アブドゥル・レザ・シャライのミッションに失敗していたことを発表。
その一方でイランのお隣、イラクではアメリカとイランが戦争状態になった場合に 戦場にされては困るとばかりにイラクに駐留する5000人のアメリカ軍撤退要求が出され、
それまでイランに対して行われてきたイラク国民の抗議活動の対象に、軍撤退を拒むアメリカが加わっていたのが今週。
アメリカ国内でも「アメリカ軍が中東諸国から撤退すべき」という意見は多く、
2016年の大統領選挙で「無意味な中東戦争を終わらせて、アメリカ軍を撤退させる」と公約したトランプ氏が、
それと逆のことをやっているとの批判が民主党を中心に聞かれていたのだった。
でも一週間が終わってみるとイラン情勢と同等、もしくはそれ以上に報道時間が割かれていたのが今や「Megxit / メグジット」と呼ばれるようになった
ハリー王子&メーガン・マークル夫妻が 英国王室メンバーとしての公務から退く声明。
この声明は夫妻がクリスマスを過ごした カナダのブリティッシュ・コロンビアに位置するビリオネア所有の14億円の大邸宅(写真上左)から戻った直後の1月8日に
インスタグラム・アカウント、”サセックス・ロイヤル”を通じて発表されたもので、チャールズ皇太子やウィリアム王子でさえその原文のコピーを発表の10分前に受け取ったという状況。
エリザベス女王からは「全ての条件がファイナライズするまで、一般に発表しないように」と釘を刺されていたとのことで、
女王の許可を得ず発表を急いだ理由はイギリスのタブロイド紙がこのニュースを大々的に報じる準備をしていたためと言われるのだった。
声明の内容は夫妻が公務から退くことに加えて、経済的に独立し、今後はイギリスと北米を拠点にするということであったけれど、
ハリー王子&メーガン夫妻はそもそもハリウッド寄りの姿勢を打ち出して久しい状況。
そのためアメリカではメディアも一般人もそれに驚くリアクションはなかったけれど、イギリスにおいては「ロイヤル・ファミリーのメンバーが王室を辞める」というのはかなりショッキングなこと。
しかもそれをインスタグラムを通じて、まるで新年の挨拶のように伝えたカジュアルさに驚くイギリス国民も少なくなかったのだった。
発表直後にハリー王子夫妻の北米の移住先として有力視されたのがカナダ。
それを受けてカナダ国民の多くが「税金で夫妻のセキュリティを賄う必要が無いのなら歓迎する」と回答するアンケート調査結果が報じられていたけれど、
カナダはメーガンが出演していたTVドラマ「スーツ」のロケ地であったことから、メーガンが結婚までの数年間を暮らしていたのに加えて コモンウェルス国家。
コモンウェルスとはイギリスの植民地支配下にあった53の国やステートの政治的連合を指す言葉で、
そのメンバーに オーストラリア、ニュージーランドといったオセアニア諸国、ナイジェリアやサウス・アフリカ、ガーナを含むアフリカ諸国、
インド、パキスタン、バングラディシュ等の南アジアの国々と共に含まれているのがカナダ。
コモンウェルスは独立国家でありながら 英国王室の権限が認められているので、
言ってみればロイヤル・ファミリーだけのために植民地的要素が残されている連合。
したがってコモンウェルスにおいては英国王室のロイヤル・パワーが通用するのはもちろんのこと、
英国ロイヤル・ファミリーのセキュリティ費用をそれぞれの国家がイギリス政府と折半するというのが通常のルール。
したがって もし夫妻のカナダ移住が実現した場合、「セキュリティ費用を支払わないのなら歓迎」というカナダ国民の希望通りにはならないことを意味するのだった。
ちなみにアメリカ国民はトランプ大統領の二女、ティファニー・トランプが2019年に出かけたカンヌ映画祭、イビサを含む夏のバケーションの
セキュリティ費用だけで軽く1億円以上を税金から負担しているだけでなく、トランプ大統領がフロリダのマー・ラゴに出かけるセキュリティ費用だけでも年間に約70億円。
それを考えるとハリー王子夫妻+ベイビー・アーチー、今後生まれるかもしれない新たな子供のセキュリティ費用は たとえイギリス政府との折半でもカナダの納税者の大きな負担になるのは必至なのだった。
メグジットに対するイギリス国民のリアクションは45%がハリー王子夫妻をサポート、「身勝手」、「無責任」と批判する反対派は29%となっているけれど、
反対派の主張は「ハリー王子がメーガンの言いなりになって 操られている」、「メーガンは最初から堅苦しい王室メンバーの一員になるつもりなどなく、
そのステータスだけを獲得して上手く逃げるつもりでいた」というもので、非難の矛先になっているのがメーガン。
反対派の間では「ハリー王子夫妻からHRH(His or Her Royal Highness)の称号をはく奪すべき」という声が多いけれど、
同じ批判はジェフリー・エプスティーン・スキャンダルで批判を浴びているアンドリュー王子に対しても聞かれるもの。
HRHは故ダイアナ妃がチャールズ皇太子との離婚直後にはく奪されたロイヤル・ステータスで、それを受けて日本のメディアでは離婚後のダイアナ妃を「ダイアナさん」と報道していたけれど、
実際にはHRHをはく奪されると「Your Highness」とは呼ばれなくなるものの、プリンス、プリンセスというタイトルはそのまま。
すなわちHRHをはく奪されてもハリー王子夫妻はサセックス・ロイヤルのタイトルはそのまま維持できるとあって、
既に2019年秋の段階で 「サセックス・ロイヤル」 で多岐に渡るビジネスのトレードマークを取得していたのが夫妻。
その中にはエモーショナル・サポート・サーヴィス、バンダナ&スポーツウェアを含むアパレル、新聞・雑誌・ニュースレター等の出版が含まれているのだった。
それもあって多くの王室関係者がハリー王子夫妻が声明で謳っていた通り、経済的に独立する準備を整えてロイヤル・ファミリー離脱を図ったと見ているけれど、
ヘンリー王子の現時点の総資産は約22億円、年間に約3億2500万円を王室メンバーとして支払われる身。
メーガンはかつてドラマ「スーツ」で1エピソード当たり約370万円のギャラを受け取っており、個人総資産は推定で約4億円。
しかしこれだけの財産ではメーガンが2019年に着用した総額 1億3000万円のワードローブや 世界各地への旅費から生活費までを賄うのは不可能。
そのため夫妻は今後、数多くのチャリティ活動を 自らのチャリティ財団を通じて行う予定で、
それを最初から予定していたためか 夫妻が現時点でボードメンバー(役員)になっているチャリティの数は僅か20ほど。
アンドリュー王子が240以上のチャリティや大学のボードメンバーになっているのと比較すると
驚くほど少ないけれど、ボードメンバーになるよりも遥かに実入りが良いのが実際にチャリティを運営する側になること。
そのチャリティ財団運営のために ハリー王子夫妻は2019年秋の段階でバッキンガム宮殿のプレスを使わず、ハーヴィー・ワインスティンのクライシスPRを務めたハリウッドのエージェントを雇ったことが
報じられていたのだった。
とは言ってもハリー王子夫妻のハリウッド&ビジネス寄りの路線は それより遥か前のロイヤル・ウェディングの段階でスタートしていたと言われるもの。
メーガンの母親、ドリアのインタビューをしただけでオプラ・ウィンフリーが、
チャリティで関わりがあるという名目で殆ど面識がないジョージ&アマル・クルーニーがそれぞれウェディングに招待されていたけれど、
彼らとハリー王子夫妻が交流を持つようになったのはウェディングの後。以来、メディアに影響力を持つ彼らは
ハリー王子夫妻、特にメーガンのチアリーダーのように2人を擁護するコメントをしているのだった。
またアマル・クルーニーがメーガンのためにベイビー・シャワーをNYでホストし、メーガンがロンドンに戻るプライベートジェット代を支払ったかと思えば、
そのベイビー・シャワーにオプラ・ウィンフリーの親友であるCBSキャスター、ゲイル・キングがメーガンと面識がないにも関わらず出席。
以来ハリー王子夫妻の報道をCBSが独占かつ好意的に行うようになっているのだった。
これまでアメリカでの王室報道と言えば ライバル局であるABCの独占状態で、アンドリュー王子のスキャンダルにしても
バッキンガム宮殿のプレスがABCに圧力を掛けて揉み消してきたことが昨年明らかになったばかり。
なのでプレス対応にしてもハリー王子夫妻は従来の英国王室とは明らかに異なる方向性を打ち出しているのだった。
今週のアメリカのメディアでは、ハリー王子&メーガン・マークル夫妻が今後どれだけ稼げるかが
早くも話題になっていたけれど、チャリティ以外で最も大きな収入が望めるのが
自叙伝の執筆で、ミシェル・オバマ夫人が約70億円のアドバンス(前金)を支払われているだけに 同等の額が望めると言われるのだった。
加えて講演料もかなりの収入になることが見込まれており、ハリー王子夫妻と同等の社会的ステータスのスピーカーに支払われる通常のレートは500〜3000万円。
ハリー王子に関してはオプラ・ウィンフリーと共に精神障害に関するドキュメンタリー・シリーズの製作を進めながら、
Travelyst / トラヴェリストという旅行関連のビジネスでもトレードマークを取得しているのだった。
一方今週金曜に報じられたのが、メーガンがディズニーのアニメ映画に声の出演をし、そのギャラと引き換えにメーガンが希望したアフリカの像を守るチャリティに ディズニーが 多額の寄付を行うというニュース。
これは2019年の映画「ライオン・キング」のロンドン・プレミアにハリー王子夫妻が出席した際に、
レッド・カーペット上でハリー王子がディズニーCEO、ボブ・イーガーに「メーガンがアニメの声の出演に興味を示している」とオファーして実現したプロジェクト。
ボブ・イーガーが 直ぐ隣でビヨンセ&ジェイZ夫妻と会話に興じるメーガンに視線を移しながら、その場で「We'd Love to Try」と快諾していた様子を収めたビデオが
週末にイギリス・メディアによって公開されているのだった。
またメーガンは2019年秋からデザイナー、ミーシャ・ノヌーとのコラボでチャリティ・キャリア・クロージングのブランド、”スマートセット” をスタートしているけれど、
それに加えて 彼女のウェディング・ドレスをデザインしたジヴァンシーを含む、複数のファッション・ブランドとのコラボレーションも進めているとのこと。
2019年のパワードレッサーのNo.1に選ばれたメーガンは、着用したアイテムが全て完売したと言われるほど
ファッションの売れ行きに大きな影響力を誇っているけれど、そうなるだけの配慮をメーガンが行っているのもまた事実。
例えばメーガンはコートを着用する際にはコートを肩に掛けているケースが非常に多く、それは写真写りがスリムになるのに加えて、
コートの内側に着用しているドレスがスナップされて、そのブランドやデザイナーがパブリシティを得られる気遣いでもあるのだった。
メグジットのお陰で今後はファッション・ウィークのランウェイ・ショーのフロント・ロウにメーガンが姿を見せる可能性が出てきたと言われるけれど、
ハリウッド・セレブリティが同じ事をした場合、ギャラは1000〜3000万円。加えてその席で着用するアウトフィットがブランド側から提供されるのが通常。
またヴォーグ誌編集長、アナ・ウィンターはメグジットを待たずして彼女が毎年5月に主催するMETガラの
共同チェアウーマンをメーガンに依頼するために水面下で動いていることが伝えられている状況。
もちろんサセックス・ロイヤルをライフスタイル・ブランドにしたグッズやサービスの展開も見込まれており、
ハリー王子&メーガン・マークル夫妻が何もしなくても、2人を利用して大儲けしたいビジネスが数多くアプローチしてくることが確実視されているのだった。
そのためエリザベス女王がどんなにハリー王子&メーガン夫妻に腹を立てても、2人の存在がロイヤル・ファミリーのメンバーの誰よりも
大きなものになると予測する声さえ聞かれるのだった。
執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |
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