Apr. Week 2 2026
Happiness is in the Eye of the Beholder
熟年再婚した伯母が、再び虐げられる日々を...


私の伯母は、お見合いで若くして結婚しました。伯父(伯母の夫)は、新婚旅行で伯母を平手打ちしたのに始まって、私達親族の前でも伯母を怒鳴りつけたり、 物を投げたりと、本当に酷い人間で、1人娘だった従妹は実家から逃げ出すために結婚したほどでした。 幸い(?)伯父は3年前に心臓病で他界し、伯母はようやく長年の苦しみから解放され、「これからは自分のための人生を生きる」と前向きでした。
でも1年ほどすると、「将来が心配」、「1人で生きて行く自信が無い」と言って婚活を始め、 短い同棲生活をしてから11歳も年上の男性と入籍してしまいました。伯母は59歳、相手は70歳です。 その人は年を取っている分、伯父をさらに頑固で身勝手にしたような性格で、 伯母のことはまるで家政婦扱いです。ペンやリモコンとかを自分では取りに行かずに、隣の部屋にいる伯母を呼んで持って来させるような人で、 何か気に入らないことがあれば、全て伯母のせいにして当たり散らすようです。
婚活を薦めたのは従妹で、従妹もモラハラが激しい夫に悩まされているようなのですが、その夫は父親(伯父)の目の前では大人しくて、言う事を聞いていたので、 従妹は自分を守ってくれる新しい父親が欲しかったのも伯母に婚活を薦めた理由だったそうですが、母を含む私の家族は 伯母の夫婦間の不幸が娘に連鎖しているようにしか思えません。
私達は、伯母に今からでも遅くないので離婚するように勧めていますが、伯母は文句を言う割には、 「離婚を言い出せば、益々当たりが強くなるに決まっているから、このまま波風を立てない生活をした方が...」、 「こんな年で再婚して、直ぐ離婚なんて世間体が悪い」、「あんな人でも時々はまともな態度で接してくれる」と、行動を起こすよりも我慢を決め込んでいます。伯母は母より3歳年上なだけですが、 考え方は昭和そのものです。
先日、私と母が伯母の同級生のインスタ・アカウントを見つけて、同級生が幸せそうな様子を見せながら、伯母だって彼女みたいに旅行に行ったり、趣味に没頭したりして、 人生が楽しめるのだから、夫の家政婦兼未来の看護要員として余生を生きる必要はないと説得したのですが、伯母は同級生のことを「あの人は昔から身勝手で派手好きだったから」、 「こんな生活、絶対長続きしないし、見せかけでしょ」と悪口を言っただけで、見栄を張る必要が無い自分の人生の方がマシだと言い張りました。 でもその口調は嫉妬心剥き出しという感じで、聞いていて伯母のことが恐ろしくなるほどでした。
母と私は、不幸の時代が長過ぎて、僻みっぽくなってしまった伯母の事を気の毒にも思ったのですが、秋山さんにお尋ねしたいのは、こういう性分はもう一生直らないのかということです。 自分の幸せを優先する考えを持って、惨めな生活から抜け出す決心をさせる方法は無いでしょうか。 何かアドバイスがあったら是非お願いします。
これからも頑張って下さい。

ー F ー


”心地好い不幸” を好む人々


メールの文面からお察しして 既にFさんも感じていらっしゃるかと思われますが、こうした問題は周囲が説得出来ることではなく、 伯母さまご本人が悟って、ご本人の意志で行動を起こさなければならないことです。
世の中には自分が不幸だと思って、愚痴や文句は言っても 行動を起こさない人、変化を嫌い、不幸なりの安定や予測可能な状況を好む人は少なくありません。 また周囲から不幸を指摘され、自分でも認識しながら、それを否定することで、自分の人生や行動に正当性を見出そうとする人も居ます。 そうかと思えば、不幸な状況で精神的、肉体的エネルギーを消耗して、疑問を感じたり、そこから抜け出す必要性に考えが及ばない人も居ます。
結局のところ、不幸な状況で不平・不満を言いながら生きるのを日常とする人にとっては、そこから抜け出す努力をするのは極めて面倒なタスクであったりします。 またそういう人に限って幸せな状況に置かれると、「こんな幸せが続くはずはない」と不安を感じたり、空虚さや物足りなさを感じて、 自ら不幸に逆戻りする道を選ぶことは決して珍しくありません。

私の知る限り、不幸を日常と捉えて生きて行くタイプは、アジアやアラブ・イスラム圏の女性に特に多いように思います。 その背景には宗教的戒律や昔ながらの価値観が大きく影響していますが、日本の場合は長きに渡って我慢を美徳としてきた国民性が 不幸に甘んじることを正当化する歪んだ思考をもたらしてきたと思って見ています。
女性は男性よりも芯が強い生き物ですが、その強さを我慢だけに使うのではなく、欧米女性のように不当や不平等から逃げ出す、闘う、自力で幸せを掴むという メンタリティにシフトしてきたのは、男女平等の意識が高まり、女性の社会進出が進んで、経済力をつけるようになってきてからでした。 今から振り返ると 昭和の好景気や繁栄は、時代の流れや世界情勢のタイミングといった要素も大きかったと思いますが、 昭和の女性達の我慢、節約、遣り繰り、貯蓄の習慣を含む、様々な努力と犠牲を土台に成り立っていたという印象を私は強く持っています。
そして令和の世の中でも 女性の我慢を美徳と考える人々は 特に地方に存在するようですし、自分がしてきた苦労を美化して、 下のジェネレーションに負の連鎖を押し付けたがる女性も決して少なくないようです。



幸福の基準


妻や家族に対して口頭の侮蔑や暴力といったDV行為を働く男性にしても、 一度外に出ると上司や取引先、顧客などからのハラスメントを受けて、 不当な我慢を強いられることが、忍耐や根性に摩り替えらるケースは少なくありません。 男性の方が、女性よりも精神的に弱い生き物なので、何等かのはけ口が無いとそうした状況には耐えられない一方で、 男性の方が周囲を威嚇しなければ、自分が弱く見られるという意識が強いことは心理学の分野でも認められています。
Fさんの伯母さまに話を戻せば、私の考えではご本人が望まない救いの手を差し伸べるのは、相手からはおせっかいと見なされがちな行為です。 伯母さまの幸せのために離婚を薦められたとしても、30代、40代の女性なら「今からでも遅くない」状況も、 60代を迎えようとする女性だと 「今さらもう遅い」と考えても不思議ではないのです。 そもそも伯母さまはDVが激しかった前夫から自分の意思で逃れたのではなく、死別でいらしたので、 前夫との記憶を美化して、同じように自分を扱う現在の夫の態度を ある種の愛情表現だと錯覚をしているケースさえあるのです。

人間のメンタリティというのは、成長環境や親や友人との関係、時代背景など様々な要素が絡み合って徐々に形成されるものです。 そして年齢を重ねれば重ねるほど、肉体と精神のエネルギーが失われ、新しい思考、変化を受け入れるキャパシティがどんどん欠落していきます。 私自身は「何歳になっても人間は変われる」と信じていますが、それには新しい時代や考え、テクノロジーを含む新しい環境や人間関係等を受け入れる柔軟性と体力、 精神力、そして学ぶ姿勢と謙虚さを持ち合わせていることが条件になります。 年齢を重ねた状態でこれら全てを満たすのはそう簡単なことではありません。
冷たいように感じられたら申し訳ないのですが、私はFさんや、Fさんのご家族には、伯母さまがご自身で考えを改めて、助けを求めない限りは、 その存在を反面教師と捉えて、時間やエネルギーをご自身の幸福追求のために有効に使っていくべきだと思います。 人間がいかに限られた時間の中で生きているかは、体力や精神力を失い始めて初めて悟ることなのです。 その限られた貴重な時間の中で、何が幸せであるか、自分が幸せかどうかも正しくジャッジ出来ない人を幸せに導こうとするのは、 文盲の人々のために図書館を建設するようなもので、一見正しい事をしているように見えても、その必要性は存在していないのです。
最後に以前、このコーナーの個人セッションを申し込んで下さった方から、 「自分が幸せかどうかを どうやって判断したら良いか?」と質問を受けたことがありました。 私の掲げる幸福の判断基準は、他人にジェラシーや競争心を抱いているかです。他人が羨ましい、妬ましい、自分の方が上、自分の方が幸せなのを証明したい、見せつけたいという気持が少しであれば、 幸せではないということです。 また他人の幸福度を比較する習性を持つ人も、幸せとは言えません。 幸福とは比較や周囲からの評価で決まるものではなく、個人の中で完結すべきものだと私は考えています。

Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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