Nov. Week 5 2025
Merit & Demerit to Taking to Stranger
米国で ”Are you Japanese?” と尋ねられた時…


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この夏に大谷選手観戦のために久々にアメリカ本土に出向きました。 せっかくなのでLAを離れて他の場所も回ったのですが、LAだと大谷選手目当ての日本人旅行者が沢山来ているせいか ”Are you Japanese?”と声を掛けられることが多かったのですが、 別のエリアに出掛けると”Are you Chinese?”と声を掛けられるようになりました。
日本人?と訊かれれば、「大谷効果もあって日本に好意を持ってくれているのかな?」と思いながらも ”Yes”としか答えることが出来ず、 ”Are you Chinese?”と訊かれると勝手に国籍を決めつけられているようで、ちょっと気分を害しながら”No”と答えるしかありません。 帰国してから友達にその話をすると、”Are you Japanese?” って訊いて来る人は日本好きが多いから、 「話を繋ぐと友達になれて、何かの時に助けてくれる」と言われて、友達の知り合いが東南アジアに行って、ホテルが無くて困っていた時に、 現地で出会った日本人好きの家に宿泊させてもらえたという話をしていました。
正直なところ、自分にはある程度の英語力があると思っていただけに、ボキャブラリーとか会話力以前に、コミュニケーション力が欠けていることを痛感したのがこの時の旅行だったのですが、 Are you Japanese?” みたいに声を掛けられた場合、秋山さんのようにNYに長い方はどう答えるのでしょうか。 そこから会話を発展させて、仲良くなったりということはあるのでしょうか。 それとも、そんな質問は旅行者しか受けないものなのでしょうか。
変な質問ですみませんが、アメリカでは 英語力では会話が続かないことを実感して、 「英会話インストラクター以外の人と長く喋れるようになりたい」という願望が高まっています。 何かアドバイスしていただけたら嬉しいです。

ー E -


コミュニケーションが必要な場合とそうでない場合


先日ミッドタウンのカフェで日本人の友人と4人で日本語で話していた際、突然隣のテーブルに座っていた女性からということで、 人数分のマカロンを頂きました。 「貴方たちが日本人でしょ。日本語が聞こえて来たから…」という女性は、フランス国籍。日本を1ヵ月ほど旅行して とても楽しい経験をしたことから、 私達にマカロンをプレゼントしてくれたそうで、私達はそのサプライズにお礼を言って、彼女が日本の何処に出掛けたかなど尋ねて、短い会話を楽しみました。
でも もし道を歩いていて突然 ”Are you Japanese?”と声を掛けられた場合、私なら返事をせずに立ち去ります。 いきなりそんなことを尋ねる人に 個人情報を提供する義務や必要はありません。もし ”Excuse me”などの前置きがあった場合は、 ”Why you ask?”と最短のセンテンスで質問の意図を訊き返すかもしれません。
そもそも国籍を尋ねる場合、”Where are you from?”が適切な尋ね方で、ピンポイントで日本人かを尋ねる場合は ”Are you from Japan?” の方が会話として一般的です。 また状況や会話の流れにもよりますが、自分が日本人であると言う場合も ”I'm Japannese” より ”I'm from Japan” の方がナチュラルです。 私の場合、”I'm originally from Japan” と答えて、日本での生活よりもNY生活の方が長いこと匂わせるケースもあります。
Eさんのお友だちが話していらした東南アジアのエピソードは男性の経験談のように思われますが、少なくともアメリカでは ”Are you Japanese?”、”Are you Chinese?”と尋ねて来るような人と関わると、ろくな事がありません。 そこから会話など続かない方が良いのです。

私は先日入院して、ナースが替わる度に ”Where are you from?” と尋ねられましたが、 この状況のようにお互いを知るきっかけが必要な場合は ”I'm from Japan” と答えた後、必ず ”Where are you from?” と相手にも尋ねてイーブンなコミュニケーションを心掛けるのはマストです。 相手がアメリカ人であっても、アメリカの国土は日本の20倍とあってテキサス出身とボストン出身では人間性や話す英語まで異なります。お互いのバックグラウンドを知って、 そこから会話を広げるのが一般的です。
レストランやカフェ等で 隣りのテーブルに座った見知らぬ人と会話をする場合は、持ち物、着ているもの、食べている料理、飲んでいるワイン、聞きかじった会話等を きっかけに話しかける、もしくは話掛けられるのが一般的で、国籍等のバックグラウンドの質問はその会話が進んでからです。 以前レストランでスーパーボウルについて話していたところ、隣のテーブルに座っていた男性2人が興奮気味に会話に入って来たことがありました。 この時はどちらのチームが勝つと思うか?、日頃はどのチームのファンか? を尋ね合って、過去のスーパーボウルにも話題が及びましたが、 共通の話題で盛り上がっている時は 相手が何処から来たかなどはどうでも良い事なのです。



見知らぬ人との会話の利点と落とし穴

私の知り合いのLA在住の日本人は、ドジャース観戦にやって来る日本人が増えた影響で ”Are you from Japan?”と尋ねられ、日本人だと答えると”Ohtani~”と言いながらハイファイブ(日本でいうハイタッチ)を要求されるのを 疎ましがっていましたが、 「日本人?」と尋ねて来る人が望むコミュニケーションというのはその程度のものなのだと思います。 もちろん中には日本旅行を楽しんだ直後で、日本の話がしたいという人も居るかもしれませんが、 そんな人でも 自分が話したいことを話して、気分良く去っていくのが通常です。通りがかりの他人に望む フレンドリーなコミュニケーションというのはその程度の Short & Sweet であるべきなのです。 実際に見知らぬ人との短い会話は精神面にポジティブな効果をもたらすことは心理学的にも立証されています。
英語が話せる人間同士でも、いきなり声を掛けて来た相手と友情が育つようなことはまずありません。 旅行中でも、日常生活でも、知らない人とは短く気持ち良い会話を心掛けるべきで、それ以上の会話が続く場合は、 相手に物を売りつけたり、お金をだまし取る、もしくは誘拐等の意図があったとしても不思議ではありません。

つい最近アメリカのSNSでは、国立公園をハイキング中の男性が「女性達に向けた公共広告として言わせてもらうけれど、Hiと挨拶されたら挨拶を返すべき」と投稿したところ、 「男性は女性が日々さらされているリスクを理解していない」という反論が巻き起こり、「Hiと挨拶した途端に付きまとわれて、そこから無視を始めるとキレて暴言を吐いたり、 暴力的になったりする。一番リスクが少ない応対をして何が悪い」、「国立公園のような警察が直ぐ来ない、殺されても誰も気付かない場所で愛想を振りまくなんて自殺行為」といった意見が溢れました。 アメリカ人女性でさえ、見ず知らずの人からのアプローチにこれだけ警戒しているのですから、 彼女らに比べて無防備で、英語が流暢に話せない日本人女性は、アメリカに限らず、外国においては油断や冒険心は禁物です。
そもそも日本人が頭で思い描いているアメリカ人のイメージは主にブルーステーツの人々です。 保守派が多いレッドステーツには天動説を信じて、地球が平らだと思っている人々が居るだけでなく、アジア人女性と見るとマッサージ嬢や娼婦だと思い込む男性も少なくありません。 アメリカ人の50%はパスポートを持っておらず、それが集中しているのがレッドステーツなので、日本ではそうしたアメリカ人にお目に掛かることはありませんが、 日本人がアメリカに出向いた際には、「まさか!」と思うような人々に遭遇しても不思議ではないのです。 今年1月に新日本製鉄によるUSスチールの買収が取り沙汰された際に、アメリカの鉄鋼大手、クリーブランド・クリフスのCEOが「日本は悪だ、1945年以降何も学んでいない」と宣言して物議を醸しましたが、 レッドステーツに住む保守層の日本に対する認識というのはその程度なのです。
そして ”I love Japan” と言う人にも注意が必要です。 日本旅行を楽しんだ人や、アニメやゲーム等の日本のカルチャー、日本食が好きな場合は、 ピンポイントでそう語って会話の焦点を絞るのがアメリカ人です。 漠然と”I love Japan”と言う人は、そう言えば日本人が喜んで、自分に良くしてくれると期待しているケースが多々あります。

結局のところ英語が話せても、話せなくても、アメリカでは安全を最優先にして、不用意にフレンドリーに振舞うより、 毅然とした態度を取る方が賢明です。アメリカ人はまともな人ほど正義感が強いので、そうした人達には毅然とした態度こそが言語とは無関係にアピールすると思います。

Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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