Apr. Week 4, 2022
”Hands-Free Step-In Shoes, Kizik”
ハンズ・フリー・ステップイン・スニーカー、”キジック”


オークション・サイト、Eベイの調べによれば 平均的なアメリカの成人が所有しているスニーカーの数は6足。 女性と男性で比較すると男性の方がその数が多かったと言われるけれど、スニーカーに限らず シューズ全般になると、男性が所有する平均的な数は12足。女性は27足で、男女平均で19足という数値がレポートされているのだった。
この中にはビーチサンダルからレインブーツ、スキーブーツ、ハイキング・ブーツ、室内用スリッパ、フォーマル用シューズ等、全てが含まれるので 実際にカウントしてみると、誰もが頭に思い描くよりも多く持っているのがシューズ。
スニーカーに話を戻せば、アメリカで最も人気のスニーカーのモデルは 2020年12月のNPDのデータによれば ナイキのエアフォース1。 第2位が同じくナイキのダンク、3位がアディダスのNMD R1。 スニーカー需要はパンデミックに入ってからさらに高まっており、2020年上半期には前年比で売上が23%アップ、2021年の上半期には前年比で更に35%売上を伸ばしているのだった。




私はと言えばパンデミックのロックダウン中に、履いていなかったスニーカーを3足処分したけれど、その時に思ったのがスニーカーも着用しないままとってあるTシャツやスウェットと同じで、 「持っていたらいつかは履くだろう」と思っていても、決して履く機会が無いということ。 Tシャツやスウェット、スニーカーは どうしても日頃から着慣れたり、履き慣れたりしている方を選んでしまうのが人間心理で、 一度特定のブランドを愛用すると、どうしてもそのブランドでリピートする可能性が高まるアイテム。
私の場合、スニーカーはナイキだと幅が広すぎるので、テニス・シューズからランニング・シューズまで、ほぼすべてがアディダス。 デザイナー・スニーカーが幅を利かせるようになってからは 誰もが外出用スニーカーというカテゴリーを持つようになったけれど、 私が過去4年ほど外出用に愛用するのはもっぱらアレクサンダー・マックイーン(写真上左)。 底厚のホワイト・スニーカーで、トレンドを気にせずタイムレスに履けるのが大きな魅力。何処にでもあるホワイト・スニーカーとちょっとした印象で差が出るスタイルなのだった。

そしてスニーカーではないものの、私が長年室内、自宅ビル内の移動を含む近隣への外出の際に愛用し続けている必需品がフィットフロップ(写真上右)。 私が住むビルの中でもフィットフロップの愛用者は多く、「一度これを履いたら手放せない!」とエレベーターの中で何度会話したか分からないのだった。 こちらも底厚で足への衝撃が少ないけれど、とにかく履き易く、長時間歩いても、時に走っても全く問題が無く、私にとってライフラインと言えるフットウェア。 消耗具合に応じて定期的に買い替えているけれど、私のシューズ・クローゼットには常に新品がストックされているのだった。




春夏シーズンには近隣にフィットフロップで出掛ける私も、秋冬シーズンはさすがにスニーカーを履くことになるけれど、 私はスニーカーは比較的ルース・フィットが好きな上に、いちいちレースを結ぶのが面倒なので、レースを結びっぱなしにして靴ベラを使って履くのが常。
ワークアウトに出掛ける際には全く厭わないこのプロセスであるけれど、単に自宅前のストリートを横切ってUPSに荷物をドロップするだけといった時には 自分でも驚くほど面倒に感じられるのが わざわざスニーカーを履くという作業。 それを解決してくれるのがここにご紹介する ”Kizik / キジック”。
キジックはTikTokから生まれたトレンディング・スニーカーで、昨今は多くのヒット商品がTikTokから生まれているけれど、 ハンズフリー・スニーカーというだけあって、足を入れただけですんなりと履けるスニーカー。すなわちスニーカーでありながら履く手間はフィットフロップと同じ。(以下のビデオ参照) 秘密はかかとのデザインで、踏み込んでも自然にバウンスバックするので靴ベラ要らず。 足腰が弱い人でも立ったまま簡単に履けるので、親の世代にも薦めたり、プレゼントするミレニアル、ジェンZ世代が非常に多いのだった。






キジックは、履くのが簡単なだけでなく、履き心地、歩き心地が良いことでも知られるけれど、その秘密がラビット・ソールという外底。 固めで弾力があるスポンジのようなアウター・ソールは、足の動きによる衝撃だけでなく、地面の凸凹の衝撃も吸収してくれるので、長時間歩いても膝や足首の関節に優しい優れもの。 また靴底はグリップが効いて安全性とトラクションが強化されていて、スリッポン感覚で簡単に履けるという点に惹かれて購入した人も その履き心地の良さ、歩き易さを大きく評価するようになるのだった。
キジックはワークアウトにも適しているというけれど、私はランニングに関してはランニング用にデザインされたスニーカーで行う方が精神的に安心できるタイプ。 でもキジックが簡単に履けて、履き心地、歩き心地が良いというのは紛れもない事実で、 決してクローゼットの肥やしにはならないスニーカーであると思うのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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