Jan. Week 5, 2021
”2 Breakout Stars from the Inauguration "
大統領就任式の2人のブレークアウト・スター


1月20日の大統領就任式の最中からアメリカのみならず世界中のソーシャル・メディアが注目し、 それをメインストリーム・メディアがフォローしたのがここにご紹介する2人のユース・ライジング・スター。
1人目はカマラ・ハリスのステップ・ドーター(継娘)、エラ・エンホフ。 史上初のセカンド・ジェントルマンで、エラの父親であるダグラス・エンホフは、エンターテイメント・ロイヤー。彼女の実母、ケルスティン・エンホフはエミー賞を受賞したフィルム・プロデューサー。 2014年に父親と結婚したカマラ・ハリスを”Mom” と ”Kamala” をくっつけた"Momala/ママラ" と呼んでいる21歳の彼女が 就任式に姿を見せた途端にファッション系のツイッター・アカウントが大絶賛したのがそのミュウミュウのコート。 肩にクリスタルをあしらい、ホワイトカラーがついたツイード・コードのアピールもさることながら、そんなガーリーなコートをエッジーに着こなしたエラは いかにもジェネレーションZ的なクールさで瞬く間にトレンディングになってしまったのだった。 そして多くの人々がグーグル検索をして納得したのが、エラが2021年にニューヨークのパーソンズ・スクール・オブ・デザインを卒業予定のブルックリン在住のヒップスターであること。 A.L.Cを含む複数のファッションブランドでのインターン経験を持ち、 インターネットを通じて自らのメイド・トゥ・オーダーのブランド立ち上げをもくろむ アントレプレナーでもあるのだった。






エラはそのインスタグラムのアカウントで、コートの内側に着用していたインディ・ブランド、バッシェヴァ・ヘイのドレスも披露しているけれど、 彼女も今回の就任式で女性陣の多くがこだわったカラー、パープルをあえてチョイス。これはCUBE New YorkのFBポストでもご説明した通り、 民主・共和両党の融合を意味する両党のシンボル・カラー、ブルーとレッドを混ぜた色であると同時に、101年前に実現した女性公民権運動のシンボル・カラー、 そして1970年代に史上初の女性黒人大統領候補となったシャーリー・チショームのキャンペーン・カラーで、 そんなポリティカル・ステートメントも忘れていないのが彼女。
同じくインスタグラムにポストしたナショナル・モールをバックに撮影した写真では、トム・ブラウンのモダン・プレッピーを見事に着こなしており、 ファッション関係者がこぞって「これからの4年間が楽しみ」と期待を寄せているのが彼女のファッション・センス。
ミシェル・オバマ夫人がデザイナー・ブランドを着用する傍ら、J.クルー、ホワイトハウス・ブラックマーケットといった庶民に手が届く、遊び心があるブランドを着用し、 アメリカのファッション業界に大きく貢献していたのは周知の事実であるけれど、 逆に全くトレンドを生み出さなかったのが過去4年間のメラニア&イヴァンカのファッション。 でもエラのような時代のアンテナを持つスタイル・リーダーが そのセンスでトレンドの方向性を示すことは、 パンデミックで希薄になった人々のファッションへの関心を引き戻し、ファッション業界を再活性化させるために不可欠な要素。 加えて彼女が男性に媚びず、美容整形や豊胸手術とは無縁の、今の若い世代にアピールする中性的、ジェンダー・フリーな魅力に溢れていることも ファッション関係者をエキサイトさせている要因。早くもバイデン・ハリス政権下でのカルチャー側面の期待を担う存在になっているのだった。




もう1人のライジング・スターは22歳という史上最年少で就任式ポエットの大任を果たしたアマンダ・ゴーマン。 「今のアメリカが耳を傾けるべき教え」とまで評された彼女のポエムは、アメリカではレディ・ガガのアメリカ国歌よりも、バイデン大統領の就任演説よりも 人々とメディアが大注目しただけでなく、その心を動かしたもの。
「The Hill We Climb」とタイトルされたポエムの書籍はアマゾン・ドットコムの児童書ランキングで就任式直後からNo.1 になり、彼女のもう1冊の書籍「Change Sings」も2位にランクイン。 ありとあらゆるメインストリーム・メディアからインタビューを受けたアマンダに対しては、一般人からセレブリティまでもが 大絶賛のツイートをしていたのだった。
そのアマンダはハーバード大学を昨年卒業したばかりで、幼い頃にはバイデン氏同様にどもりの言語障害を患い、4年ほど前まで”R”を正しく発音することが出来なかったとのこと。 彼女が”R”の発音の練習をしたと言われるのがミュージカル「ハミルトン」の楽曲で、そのクリエーター、リー・マニュエル・ミランダも彼女を大絶賛した支持者の1人。 ジル・バイデン夫人からの指名で大役を務めることになった彼女は、1月に入ってからポエムを書き始め、書き終えたのが1月6日の 議会乱入テロの夜のこと。 それだけに民主主義のシンボルがいとも簡単に台無しにされたことで傷ついたアメリカ国民の心とプライドに深く響いたのが彼女のポエム。
私自身、過去の大統領就任式のポエムは1つも内容を覚えていないけれど、 彼女のポエムは様々な言葉が脳裏に残って、原文を改めて読み返したほど。 「これが22歳の書いたポエムとは思えない」と言う人は多いけれど、私は「聡明な22歳だからこそ このポエムに命が吹き込めた」と思っているのだった。




アマンダは大統領就任式で有名になったことから オーバーナイト・センセーションと捉えられがちであるけれど、実際には16歳の時から国連のユース・デリゲートを務め、 2017年のUNサミットでもポエムを読み上げる大任をこなしていた人物。でも彼女の活躍はポエムに止まらず、ハーバードに在学してからの2017年には ティーエイジの少女を対象にそのエンパワーメントの手助けする 経験的ヴァーチャル・リアリティ ”ジェネレーション・エンパシー” のITプロジェクトに取り組み、 その開発でOZYジニアス・アワード(若い世代の発明家コンテスト)を受賞。
さらにアマンダはアメリカン・ヴォーグ誌によって2019年のミラノ・ファッション・ウィーク期間中のイベントに”ライジング・ポエット”として招待され、 2020年には就任式で着用したイエロー・コートを纏ってプラダの広告に出演(写真上左)。さらにヘルムート・ラングも彼女をモデルに起用(写真上右)。 また5歳の時から歌詞を書き始めた彼女は、音楽の世界でも複数のコラボを行っており、22歳にして様々なフィールドで活躍と実績を持つ異才ぶり。 そんな彼女は、既に2020年の春の段階でオプラ・ウィンフリーからインタビューを受けており、彼女が就任式でつけていたリングはそのオプラからのギフト。
アマンダは政界入りに意欲を持っていることをポエムの中でも語っていたけれど、 若い世代、特にジェネレーションZに大きな期待を寄せている私が、彼女のような若く優秀で正義感の強い世代に早く世の中の主導権を握って欲しいという気持ちを 益々強くしたのが今回の大統領就任式。 そしてアマンダ・ゴーマンのような若き異才に大統領就任式のポエットの大任を任せるところが、 アメリカという国の強さであり、まだまだ衰えぬ可能性だと思うのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
Shopping
home
jewelry beauty ヘルス Fショップ 購入代行

FaviruteOfTheWeek FaviruteOfTheWeek FaviruteOfTheWeek

★ 書籍出版のお知らせ ★



当社に頂戴した商品のレビュー、コーナーへのご感想、Q&ADVへのご相談を含む 全てのEメールは、 匿名にて当社のコンテンツ(コラムや 当社が関わる雑誌記事等の出版物)として使用される場合がございます。 掲載をご希望でない場合は、メールにその旨ご記入をお願いいたします。 Q&ADVのご相談については掲載を前提に頂いたものと自動的に判断されます。 掲載されない形でのご相談はプライベート・セッションへのお申込みをお勧めいたします。 一度掲載されたコンテンツは、当社の編集作業を経た当社がコピーライトを所有するコンテンツと見なされますので、 その使用に関するクレームへの対応はご遠慮させて頂きます。
Copyright © Yoko Akiyama & Cube New York Inc. 2021.

PAGE TOP