トミー・ヒルフィガー夫妻がマイアミで2450万ドルに値下げして売り出す、
好き嫌いが分かれるポップアート大邸宅
Published on 10/9/2020
デザイナーのトミー・ヒルフィガーと言えば、不動産の世界では「ファンション・センスを生かし過ぎたホーム・デコとリノベーションに大金を投じて高額で売りに出すけれど、
結局は大幅値下げを強いられる」として知られる存在。
その好例となったのが5番街のプラザ・ホテル&スウィートの中に所有していたペントハウス。
当初この物件を2550万ドルで買い取り、不動産ピークのNYで5000万ドルで売却を試みたものの、直後の2008年のリーマンショックで住宅バブルがはじけたことから
売却を諦めて行ったのが2300万ドルを投じたリノベーションとデコレーション。それが完成して8000万ドルで売り出したものの、今度は値段が高過ぎて全く買い手がつかず、
CUBE New York記事は2017年に2000万ドルのディスカウントをした時のもの。
結局この物件がようやく売れたのは2019年10月でその価格は大赤字の3125万ドル。
そんな結果になってしまったのは バイヤーの好き嫌いが極端に分かれるようなデコレーションとリノベーションに大金を投じてしまったためですが、
ヒルフィガー夫妻が 再びそれをリピートする気配を見せているのが、ここにご紹介するマイアミのポップアート大邸宅。
マイアミと言えば、近年世界最大のコンテンポラリー・アート・イベント、アート・バゼルをホストし、街を揚げて世界のコンテンポラリー・アートのキャピタルに
なるべく取り組んで久しい状況。 それもあってか、マイアミのビーチ・フロントの物件をコンテンポラリー・アートをフィーチャーした
ショーケースとしての大邸宅に改装したのがヒルフィガー夫妻。
その物件が2017年から売却が試みられていますが、パンデミックに入ってからマイアミの高額コンドミニアムやウォーター・フロントの物件が
高額でも飛ぶように売れる中、現時点で売り出し価格の2750万ドルから300万ドルの値下げを強いられているのがこの大邸宅。
以下ではその問題の邸宅のディテールをご紹介します。
写真上は邸宅の全景とエントランス・ホール。この物件が位置しているのはマイアミの中でもエクスクルーシブかつ富裕層が暮らしているゴールデン・ビーチ。
2階建ての邸宅の床面積は1308平方メートル。夫妻がこの物件を購入したのは2013年で、
当時のお値段は1725万ドル。リノベーションとデコレーションにかかった費用は公開されていないものの、
一戸建てで、施工がしやすい物件であるだけに、プラザより遥かに安く仕上がっているのは確実です。
写真上2枚はエントランスを入ってすぐ右手に位置するリヴィング・ルーム、アンディ・ウォーホールのアートに負けない強烈なインパクトのカーペット、
それが天井のスモーク・ミラーに反射されるセッティング。
写真上はキッチン、リヴィングに隣接したバーエリア、バーエリアに隣接したフォーマル・ダイニングルームで、
ダイニング・ルームの床のジグザグ・ストライプはカーペットですが、キッチンは一面ストライプの床。
写真すぐ上の右側はエントランス・ホール近くの螺旋階段で、ここにはジェフ・クーンズのミッキー・マウスのスカルプチャーが飾られ、
高さ7メートルのカスタムメイド・シャンデリアがフィーチャーされています。
写真上は キッチンエリアのダイニング・テーブルと、リヴィングに隣接したバーを異なるライティングで捉えたショット。
キッチンエリアは徹底してブラック&ホワイトのモダンに仕上げられていて、ウォーホールのエリザベス・テーラーのアートがアクセント。
バーエリアはミラー・ボールがフィーチャーされ、パーティー・ムードで食前酒、食後種が味わえるエリア。
立食パーティーを行う場合にはカウンターがドリンク・ステーションの役割を果たすことになります。ちなみに壁のネオンサインももちろんアート。
写真上はオフィス・ルームとシッティング・ルーム。この邸宅の特徴であり、バイヤーがつかない要因になっているのが、このゴチャゴチャした
ウォールペーパー。しかもカラー・インパクトが強いので、「ここで過ごしていると疲れそう」という印象を与えています。
写真上はブラック&ホワイトの60年代敵なプリントを壁にフィーチャーしたバーエリアと、やはり60年代的なマルチカラーのウェイブ・パターンを壁にフィーチャーした
エンターテイメント・ルーム。どちらも個性が強い仕上がり。
写真上はゲストルーム、もしくは子供部屋として使用されるエリアで、ブルー&ホワイト、レッド&ホワイトで統一されたインテイリア。
「テーマパーク内のホテルのよう」と言われる仕上がりです。
写真上、どちらもマスター・ベッドルームのショット。天蓋付きベッドはカスタムメイドでその両側のサイド・スタンド、不思議なシェイプのランプ等、全てのファニチャーがシルバー。
他の部屋に比べてカラー・コントラストがありませんが、だからと言って決して落ち着ける空間ではないデコレーションです。
写真上はシャワー・ルームで、これがスティーム・バスを兼ねるとのこと。ここでも強烈なブラック&ホワイトのストライプが採用されています。
写真上はゴールデン・ビーチに面したパティオと、プールのショット。ビーチは邸宅のプライベートではなく、ゴールデン・ビーチというごく小さなコミュニティのプライベート・ビーチになっています。
写真上はビーチから眺めた邸宅のビューと、ビーチハウスの内部。
敷地が広いのでビーチで過ごしている最中にわざわざ邸宅内まで戻らなくても良いように、最低限の施設を備えた”離れ”の役割を果たしています。
見ての通り建物の外観は至って普通の大邸宅。しかしながらそのインテリアはポップアート好きな人でも
ブレークが必要なほど カラーとコントラスト、パターンのオーバードース。
したがってこの物件も更なるディスカウントが強いられそうな気配です。
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