アメリカ在住です。アメリカ人の夫と結婚し、今は息子と3人暮らしです。
少し前に夫の兵役時代の親友が事故で亡くなり、葬儀は州外でしたし、私は全く面識がない方だったので、夫だけが出掛けました。
そして戻って来た途端に親友の10歳になる娘さんを養子縁組をしたいと言われてビックリしてしまいました。
その親友は、離婚した妻との間に子供が出来なかったので、カンボジアとかベトナムみたいなアジアの国から2年前に娘さんを養子縁組して、
親権は彼が持っていたようです。離婚した妻は血の繋がりが無いせいか、娘さんを引き取る意思が無いようです。
娘さんには他に身よりが無いので気の毒とは思うのですが、私はいろいろ引っ掛かることがあります。夫が娘さんの写真を見せてきましたが、
何となく大人びた目つきで、自分の子供として愛情をもって育てる自信が持てないと思いました。
私は数年前にある手術をしたせいで、お腹に大きな傷が出来てしまい、以来夫とはセックスレスです。
夫は私の傷を見て性欲が萎えてしまい、私は 傷を見た時の夫の表情や視線が今も忘れられず、
夫と手を繋ぐのさえダメになってしまいました。
夫とは未来永劫 子供が出来るようなことはしないと思っていたので、本当だったら養子縁組で息子に2つ下の妹が出来るのを歓迎すべきところです。
でも私には夫が親友の娘さんを性的な目的で養子縁組したがっているようにしか思えないのです。
過去に夫のパソコンに児童ポルノギリギリの写真を見つけて以来、私は夫がペドファイル(小児性愛者)ではないかと疑っています。
彼が私と結婚したのも、私が小柄で、アメリカ人から見ると過度に若く見えたからだと思っています。
彼の親戚や友人も結婚式で、当時25歳だった私をティーンエイジャーだと思っていました。
最初は優しい人だと思って夫と結婚しましたが、結婚後は意見が食い違うと、私は何も知らない世間知らずに扱われます。
そして子供が出来てお腹が大きくなった時にも、夫が私に対する性的興味が無くなったのを感じましたが、妊娠中は何度も「娘を産んで欲しい」、「絶対女の子が良い」と言い続け、
息子が生まれると、喜ぶよりガッカリしていたのも引っ掛かっています。
でも最近は 息子が結構モテるので、女の子の友達が何人か家に遊びに来ることがありますが、そういう時は夫の運転でチーズケーキ・ファクトリーみたいな女児ウケしそうなレストランに連れて行ったり、
ボーリングに連れて行ったりしてサービスをします。でも男の子しか来ていない時は自室に籠って出てきたことがありません。
夫は、養子縁組を周囲から固めようとしていて、親戚に「親友の娘が気の毒だし、自分達は子供が2人欲しいと前から思っていた。
親友の娘にはアジア系の血が入っているから養子縁組には最適なのに、妻が もう1人子供が増えると仕事復帰が遅れると言って拒んでいる」と言いふらしていることを
義姉から聞きました。
秋山さんにご相談したいのは、まず養子縁組をどう断るのが適切かということ。
夫をペドファイルだという確証が無くても 義姉などに話すべきか、それを理由に離婚しても大丈夫かということです。
夫は息子に興味がないので、離婚後の親権は主張しないと思います。万一養育費がもらえなくても、
私はかなりまとまった金額を相続しているので(日本の親戚の遺産なので夫はそのことは知りません)、
仕事に戻れなくても、贅沢さえしなければ息子を大学に行かせることは可能です。
変な話で恐縮ですが、何かアドバイスをして頂けると非常に助かります。
よろしくお願いします。
ー F -
メールを拝読したところ、Fさんは この状況を養子縁組、夫への疑念、離婚という3つの案件として捉えていらっしゃるようですが、
私は離婚という1点に絞られると判断しています。離婚さえすれば、養子縁組も、ご主人がペドファイルかも
Fさんとは無関係の問題だからです。
その離婚問題の前に ペドファイルについてですが、小児性愛とは性癖の一種ではなく、犯罪であり、病気であり、中毒です。
ペドファイルはドラッグ中毒者と同じで 快楽のためには手段を選ばず、巧みにウソをつきますし、まともな人間が「まさか」と思うようなこともやってのける恐ろしさがあります。
そもそも大の大人が児童ポルノギリギリの画像をコンピューターに保存していること自体、尋常ではありませんし、Fさんのような一般人が「児童ポルノギリギリ」と判断する画像は、
法の専門家にとっては完全にアウトであるケースは多いのです。
児童ポルノはドラッグ同様、所持しているだけで逮捕されますし、ペドファイルと疑われる相手と婚姻関係を続けるのは
お子さんやそのお友達の安全のためにも、決して奨励されることではありません。ペドファイルを含む性的異常者は
インターネット上でプライベートなグループを形成して 情報交換を行い、誘拐や人身売買まがいの行為を働くことも珍しくありません。
またペドファイルは、最初は理解者のように子供達に接近して、徐々に性的関係が拒めない関係や環境に持ち込む ”グルーミング”によって、
被害者の人生を狂わせるだけでなく、被害者と家族の関係を台無しにする悪質さも持ち合わせています。
今年3月にはミネソタ州の超トランプ派下院議員で、妻と4人の子供が居るジャスティン・アイホーン(40歳)が
淫行のおとり捜査に引っ掛かり、16歳の少女とオンライン・チャットをしていると思い込んで デートに誘い出したところで現行犯逮捕されたことが報じられました。
夫がペドファイルで訴追されるというのは、アメリカ社会では 例え妻にとって寝耳に水の出来事だったとしても、家族が受けるダメージが大きいことはしっかり認識しておくべきだと思います。
Fさんはメールの中で夫さんが「ペドファイルである確証はない」と言いながら、強い疑いを抱いていらっしゃいます。
世の中には 「浮気をしているのではないか?」、「財産目当ての結婚なのではないか?」など、様々な疑念をもちながら夫婦関係を続ける人々は少なくありませんが、
「夫がペドファイルではないか?」というのは、前述のように犯罪と直結するレベルの事態です。
特にFさんの場合、ご主人を心から愛して、信頼している訳ではなく、経済的に夫さんに依存する必要も無いようですので、婚姻関係を続ける理由はありません。
したがってこのケースは離婚一択というのが私の見解です。
離婚理由は恐らく「性格の不一致」になるかと思いますが、もし離婚後も夫さんが引き続き養子縁組を望む場合、
女児育成に適切な環境をシングル・ファーザーとして整えなければなりませんので、夫さんの養子縁組の意図が善意であっても、
小児性愛によるものでも、ハードルが高くなるのは事実です。
シングルである私はこれまでに何度となく離婚の相談を受けたことがありますが、やはり幸せな結婚生活を続けている人には離婚の相談をしたくないというのが人情のようです。
アメリカでは「自分の結婚生活に対する満足度が最も高まる瞬間は、知人や友人の離婚話を聞いた時」と言われますので、
そんな優越感を抱かれることなく 相談できるのがシングル族のようです。
以前のこのコーナーに何度か書きましたが、私は結婚したことを後悔する人は沢山見てきましたが、離婚して後悔した人には未だ会ったことがありません。
ですが私は誰にでも離婚を薦める訳ではなく、相手に対する愛情がある場合や、経済面を含む何等かのメリットが認められる場合は婚姻関係の継続を促す立場です。
結婚までたどり着く関係というのは、人生の中で何等かの意味を持つものですし、世の中は男女平等を謳っていても、女性は今も社会的弱者ですので、結婚というシステムに守られるメリットは決して少なくありません。
ですから若くしてシングルを決め込んでしまうのは、結婚に固執するのと同じくらい人生の可能性を閉ざしてしまうことだとも考えています。
離婚すべき状況で女性が踏み止まる原因になりがちなのは、夫や子供との楽しかった思い出を相手への愛情が残っていると勘違いしてしまうケースです。
ですがたとえ愛情が残っていたとしても、婚姻関係が続けられるかのバロメーターは愛情よりも信頼です。
相手が好きでも、信じられなければ 関係の継続は精神的苦痛やストレスが伴うので、疲弊していくだけです。
中には相手がこれから変わること、時間が解決してくれることを期待して、騙し騙し婚姻関係を続けようとする人も少なくありませんが、
その背景にあるのは 離婚という未知のテリトリーに踏み込みたくない気持ち、
変化を恐れて 「不幸なりに安定している状態」を選んで、問題を先送りにする消極性で、
何も行動を起こさずにいるうちに、毎日の生活に流されてしまうのはありがちなシナリオです。
生きたカエルを突然熱湯に入れると飛び出して来るものの、水が入った鍋に入れて ゆっくり火に掛けると、
徐々に上がる水温に慣れてしまい、そのまま茹でられて死んでしまうという ”茹でガエル”のストーリーは良く知られています。
仕事でも結婚生活でも、そんな茹でガエルの状況に陥ることは珍しくありませんが、
一見不運と思われるトラブルがターニング・ポイントになって、そこから人生好転のきっかけを得るケースは全く珍しくありません。
人生で最悪の不幸は、不幸に慣れてしまうことなのです。
そう考えると降って沸いたトラブルや厄介事は 恒久化した不幸から抜け出すためにもたらされた糸口かもしれません。
放置したり、避けたりせずに、取り組んで、乗り越えて、先に進む生き方を選択すべきだと私は考えます。
Yoko Akiyama
![]() |
執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
当社に頂戴した商品のレビュー、コーナーへのご感想、Q&ADVへのご相談を含む 全てのEメールは、 匿名にて当社のコンテンツ(コラムや 当社が関わる雑誌記事等の出版物)として使用される場合がございます。 掲載をご希望でない場合は、メールにその旨ご記入をお願いいたします。 Q&ADVのご相談については掲載を前提に頂いたものと自動的に判断されます。 掲載されない形でのご相談はプライベート・セッションへのお申込みをお勧めいたします。 一度掲載されたコンテンツは、当社の編集作業を経た当社がコピーライトを所有するコンテンツと見なされますので、 その使用に関するクレームへの対応はご遠慮させて頂きます。
Copyright © Yoko Akiyama & Cube New York Inc. 2024.