Dec. Week 4, 2011
” HYPERPHOTO by Jean-Francois Rauzier ”
” ハイパーフォト・バイ・ジャン・フランソワ・ロジエ ”



私はかつて絵画を習っていたこともあるので、私にとって絵画や様々なアートを鑑賞するのは、とても楽しめるアクティビティ。
アートに対してはオープン・マインドであるし、様々なスタイルに理解を示すスタンスではあるけれど、 好みについてはかなりはっきりしていて、 正直なところ コンテンポラリー・アートは 面白いと思って眺めることは多くても、その芸術性については あまり高い評価をしていないのが実情なのだった。 特に、コンセプトが重視されすぎているようなコンテンポラリー・アートは、説明を聞けば 納得できる部分が多くても、 視覚以外のものを使って眺めなければならないという点で、やはりインパクトや迫力に欠くものが多いと考えているのだった。
でも、そんなコンテンポラリー・アートは ここ1〜2年で 投資対象として 更に人気が高まっていて、 お陰でアート業界は大いに潤っていることが伝えられて状況。 コンテンポラリー・アートが投資対象として有望と見なされるのは、既に何十億円という価格で落札されているような印象派の絵画などとは異なり、 お値段がまだまだ破格という訳ではなく、有望なアーティストの作品であれば 今後どんどん値上がりすることが見込まれるため。
なので、メガリッチのコンドミニアムが、こうしたコンテンポラリー・アートでデコレートされているのはありがちな光景であるけれど、 時に いかにも風水の見地からも、美的感覚的にも 良いとは思えないアートが勿体つけて飾ってあったりして、 理解に苦しむ場合も少なくないのだった。
でもアート・ディーラーに言わせれば、どんなにアパートを美しくデコレートしても アートが無い空間は 格が落ちるのだそうで、彼らのクライアントになっている人々はマンハッタンのペントハウスやハンプトンのビーチ・ハウスに ステイタス・シンボルになりうるアートを飾りたがるマルチミリオネア達なのだった。

ところで、私がつい最近興味を持ったのがフランス人アーティスト、ジャン・フランソワ・ロジエの作品。
私は彼の作品を、カルティエが発行しているマガジンのグラビアで初めて見て、 興味を持って彼についてグーグルしたところ、そのウェブサイトに行き着いたのだった。








ジャン・フランソワ・ロジエ、幼い頃から写真に興味を持ち、当初はプロのフォトグラファーとして仕事をしていた人物。
その彼が2002年に クリエイトしたのが、ハイパーフォトのコンセプ。ハイパーフォトとは、何百枚ものショットをテレフォト・レンズで撮影し、それをコンピューターで 画像処理をしながら 組み合わせることによって、実際にはあり得ない ドラマティックかつ、精巧な画像を実現する手法。
私は彼のウェブサイトのポートフォリオで、掲載されている作品を、時間を掛けて全て眺めたけれど、 時に 一見イラストのように見える画像も どんどん拡大していくと、紛れもないくっきりとした写真。 作品の中に描かれている何百もの窓や、TVモニターなどに映し出された画像が、 コピー&ペーストでリピートされた画像ではなく、1つ1つ異なる写真のアセンブルであるのは驚くばかり。 画像を大きくしてみれば見るほど、その精密度や芸術性が深く感じられる作品に仕上がっているのだった。


ジャン・フランソワの作品はディテールが非常にヴィヴィッドにリアルに映し出されている一方で、例えばローマのトレビの泉の周りがペンギンがだらけであったり、 ベルサイユ宮殿の鏡の間がヴェニスの水路になっていたり と、あり得ない光景や建築物を映像上でクリエイトするのを好むアーティスト。
彼が題材にする光景は、建物が主軸になっていて、外観の場合は それが何層にもレイヤーになって巨大な建築物になっている場合が多く、 内装の場合は、コラム(柱)、階段、大きな窓、シャンデリアというモチーフが登場するもの。 時に、その構造は迷路のように複雑になっているのだった。
彼の作風は 時にエッジーであったり、幻想的であったりと、様々なイマジネーションを感じさせてくれるもの。 ジャン・フランソワ・ロジエは、世界各国で作品展示を行なっているほか、数々のアワードも受賞しているのだった。








ジャン・フランソワ・ロジエの作品は、何百枚ものプロフェッショナル・クォリティの写真を組み合わせているので、 画像上の全て光景に ピントが合っている状態。 したがって、全体を一望して楽しめるだけでなく、画面の最も遠い部分の画像を拡大しても、映像がくっきりしているので、 詳細に関心を払って、端から端まで眺めるという楽しみ方が出来るのだった。
それだけに、もし私が彼のアートを部屋に飾るとしたら、タッチ・スクリーンの大画面に映し出して、 拡大したり、全体を眺めたりする彼のホームページ同様の楽しみ方をしたいというのが私の考え。
そうなると電力消費が嵩むので、エコ・コンシャスなアートとは言えないけれど、 彼のアートはマクロとミクロの両方を眺めてからこそ、その醍醐味が味わえると思うのだった。




アートはくどくど説明するよりも、実際に眺めるのが一番なので、是非、 ジャン・フランソワ・ロジエのウェブサイトで、実物を眺めることをお薦めします。
その作品を全画面で眺めて、徐々に拡大していけば、写真そのものの美しさや、精密さ、緻密さ、 モチーフの組み合わせの巧妙さが見て取れて、思わず うなってしまう素晴らしさです。

http://www.rauzier-hyperphoto.com
(作品を眺めるためには、サイトのメニューの中の ”PORTFOLIO” にカーソルを合わせると、作品カテゴリーが出てくるので、それを順に眺めていくのがお薦めです。 )





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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