Dec. Week 3, 2017
”Mitosweet”
”砂糖と同じ甘さで、血糖値を跳ね上げない甘味料、ミトスウィート”
ニューヨークは先週から突然寒くなって、週末には大雪が降ったけれど、今週も連日のように日中の気温が氷点下。
そんな寒さの中、私があえてセントラル・パークにランニングに出かける理由の1つは、寒い気候、特に零下5度前後の中で
エクササイズをすると 10〜20度の気温でエクササイズをするよりも25〜35%余分にカロリーが燃やせるため。
それほどまでに冬の屋外スポーツはカロリーの燃焼効率がアップするのだった。
でも私が厳寒の中でのランニングを好む最大の理由はミトコンドリアが増やせるため。
そもそもランニングのような有酸素運動自体にミトコンドリアを増やす役割があるけれど、ミトコンドリアが増えるのは空腹時や エクササイズをしてエネルギーを消耗している時、
そして寒さに見舞われている時などで、身体のエネルギー不足や危機感を察知した際。
「厳寒の中でエクササイズをすると風邪を引かない」と言われるのは、寒さに慣れるだけでなく、
ミトコンドリアが増える結果、免疫力が高まることから インフルエンザに感染しにくくなるためなのだった。
ミトコンドリアは、真核細胞が生まれる前は酸素を餌にする細菌であり、
ミトコンドリアを増やすために有酸素運動が非常に有効と言われるのはそのため。
そんなミトコンドリアが、人間の若さやエネルギーの源となるために 酸素と共に必要とするのがブドウ糖、すなわちグルコース。
グルコースは、身体の中で最も簡単にエネルギーに変わるものなので、砂糖や糖分を多く含む果物&野菜、体内で簡単に糖分に変わる炭水化物等を摂取すれば、
それに含まれるグルコースがエネルギーになる一方で、”グルコース・レベル=血糖値” がアップする結果、
インシュリンが分泌されて摂取したカロリーが脂肪として身体に蓄積されるのは周知の事実。
このセオリーを逆手に取ったのが、”ケトシス・ダイエット=低炭水化物 ダイエット” で、
砂糖や炭水化物の摂取を控えてグルコース・レベルを低く保つことによって、身体が通常のエネルギー源(グルコース)不足に陥り、サバイバル・モードに切り替わることから、
体内に蓄積された脂肪をエネルギーとして使い始めるのがケトシスという状態。
その結果、短期間で大幅に体脂肪と体重を落とせるというのがこのダイエットのセオリーなのだった。
そんなケトシス・ダイエットの問題点と言われるのは、長期間続けると肝臓や心臓に負担が掛かるのに加えて、
炭水化物の摂取によるハッピー・ホルモンの分泌が無くなることから、精神的な落ち込みや集中力の欠落を招き、
”ブレイン・フォッグ”と呼ばれる 思考が纏まらない状況を味わうこと。
特に甘い物を好む人にとっては、とても辛いのがケトシス・ダイエットなのだった。
さらには ブドウ糖の摂取量が激減する結果、ミトコンドリアが餌を失うので
カロリーを摂取している割には、エネルギー不足になるのがこのダイエット。
したがってケトシス・ダイエットは ミトコンドリアの見地、すなわち若さや長寿という点からも
長期間続けるべきではないと言えるのだった。
でも上のビジュアルのような
脂肪分70〜75%の食生活をした場合、体重70キロの人が1カ月に8〜10キロも減量できるのがケトシス・ダイエットで、
そのためには野菜に含まれる炭水化物もカットし、更に気をつけなければならないのが調味料等に含まれる糖分。
それほどケトシス・ダイエットの大敵と言われるのが ”ヒドゥン・シュガー”、
すなわち砂糖とは思わず摂取している糖分。 ソースやスープ、ドレッシングなど日頃はその甘さを意識していない食品の糖分が、
意外にもケトシスという状況、引いてはダイエットの妨げになっているのだった。
さて前置きが長くなったけれど、今回のコラムで取り上げたのは 脂肪分を効率的に燃焼することで知られる
ブレットプルーフ・コーヒーから新たに登場したばかりのミトスウィートという甘味料。
これは血糖値を跳ね上げること無く、糖分が摂取できるというもので、
これまで私は同様の効果を謳うステヴィアを料理等に使用してきたのだった。
でもステヴィアは砂糖とは異なる独特の甘さで、砂糖ほどは甘くない気休め的な甘味料。
それに対してミトスウィートの甘さは砂糖とほぼ同等で、カロリーは砂糖の半分程度。
世の中にはゼロ・カロリーの甘味料が多く出回っているけれど、
カロリーが低ければ良いかと言えば そうではないのが甘味料。
そもそも ゼロ・カロリーの糖分が体内に入ると、
脳が甘さを察知し、そのカロリーを消化するために分泌されるのがエンザイム。
ところがそれがゼロ・カロリーであると、分泌されたエンザイムは行き場を失ってしまうので、脳にフィードバックされるのが 消化するカロリーを要求するシグナル、すなわち食欲。
その結果 食欲が刺激されたり、食欲が抑えられなくなることは、ゼロ・カロリーのダイエット・コークが逆に肥満の原因になるという状況で立証されているのだった。
ミトスウィートは 特にミトコンドリアに影響を与えるプロダクトではないけれど、このネーミングがついた理由は
ミトスウィートを摂取すると ミトコンドリアにブドウ糖が送り込まれたかのようにエネルギー・レベルがアップするため。
すなわち血糖値の上昇を招くことなく エネルギーがアップする訳で、これは願ったり叶ったりの甘味料。
ケトシス・ダイエット(=低炭水化物ダイエット)をしている人にとっては、ミトスウィートで甘味を摂取する限りは、
ケトシス状態が崩れることが無いのも大きな魅力なのだった。
また、これまで私がステヴィア使って作ってきたデザートに、アヴォカドのチョコレート・ムース(写真上)というものがあるけれど、
ミトスウィートはステヴィアよりも甘さがしっかりしている分、ベルギー製のダーク・カカオの味を驚くほど引き立ててくれるもの。
それ以外の調理の際にも砂糖と同様に使えて、コーヒー、紅茶にも気軽に甘さが加えられるのがミトスウィート。
ホリデイ・シーズンはどうしても糖分の摂取が増えるけれど、
ミトスウィートを砂糖代わりに使うだけで、体重増加をかなり食い止めることが出来ると思うのだった。
執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に
ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。