Nov. Week 1, 2013
" Sergio Rossi A Tribute to Gabriella Crespi "
”セルジオ・ロッシ ア・トリビュート・トゥ・ガブリエラ・クレスピ ”


先週のこのコーナーで、 コンテンポラリー・アーティストのジェフ・クーンズと、 ドン・ぺリニヨンのコラボレーションによる リミテッド・エディションをご紹介したけれど、 今週 フィーチャーするのは セルジオ・ロッシと イタリア人アーティスト、ガブリエラ・クレスピのコラボレーション。
同じコラボレーションでも、ジェフ・クーンズとドンペリのコラボは、ドン・ぺリニヨンというシャンパンのパイオニア・ブランドの スペシャル・エディションを アーティストであるジェフ・クーンズが製作するというもの。 これに対してセルジオ・ロッシとガブリエラ・クレスピのケースはその逆で、アーティストの作品にインスパイアされた製品を セルジオ・ロッシ側が製作するというもの。
従って、そのプロジェクト名も 前者が 「ドン・ぺリニヨン by ジェフ・クーンズ」であったのに対して、 後者は 「 ア・トリビュート・トゥ・ガブリエラ・クレスピ (ガブリエラ・クレスピに敬意を表して)」 というネーミングになっているのだった。

ガブリエラ・クレスピは、1922年にトスカーナに生まれた イタリア人アーティスト兼デザイナーで、彼女が最も活躍したのは1960〜70年代。 この時代の彼女のトレードマークになっていたのが、マルチ・ファンクションかつ当時としては未来的なフォルムの家具で、 彼女は 多くのセレブリティのために家具のデザインを担当。 その中にはモナコの王妃となった、元ハリウッド女優のグレース・ケリーなども含まれているのだった。






今回のガブリエラ・クレスピとセルジオ・ロッシのコラボレーションは 10スタイルのシューズから構成されるカプセル・コレクションで、この春にミラノで行われた インターナショナル・ファニチャー&デザイン・エキスポ、サローネ・デル・モービレで発表されたもの。
このコレクションは、2つのセグメントから構成されていて、その1つ目が ガブリエラ・クレスピがファニチャーに頻繁に用いていた メタル、ラッカーなど複数のマテリアルの組み合わせや コントラスト、カーブを描くモダンなフォルムをシューズに具現化したシリーズ (写真上)。

私は、正直なところこのシリーズはあまり好みではなくて、何となく80年代の 肩パットが入ったボディコンの服を着なければならないような気がしてしまうのだった。 写真上以外にも 同シリーズの中には、レッド&シルバーのコンビのサンダルがあったけれど、私に言わせると このカラー・コントラストは ウルトラマンの世界。 たとえガブリエラ・クレスピの作品にインスパイアされたセルジオ・ロッシとは言え、 服を間違えるとの週末だけニューヨークにクラビングにやってくる ジャージー・ガール(ニュージャージー出身の女性)という印象で、あまり洗練されたイメージが持てなかったのだった。

なので、このシリーズの写真を見た時は全く興味が無かった同コレクションであるけれど、 一目見て ノックアウトされてしまったのが以下の2番目のセグメント。




写真上のシリーズは、ガブリエラ・クレスピのジュエリー・コレクション、 ”Gocce Oro candelabras / グッチョ・オーロ・カンデラブラ” からインスピレーションを得たもの。
メタルのモチーフは、ヒールに見事なクラフトマンシップで反映されているけれど、 シューズのボディは 一見メタル素材のように見えるけれど 実際にはラミネーテッド・レザーのレイヤー。 あまりに美しくて、ゴージャスなシューズなので、一目惚れしてしまった私は、直ぐにセルジオ・ロッシに問い合わようとしたけれど、 ニューヨークのセルジオ・ロッシ・ブティックは数年前に撤退してしまって、現在 アメリカ国内には マイアミとラスヴェガスの2店舗のみ。
12月からの発売だというのは直ぐに分かったけれど、このシリーズのドルセイのデザインを 一番気に入ってしまった私としては、それがゴールドではなく、 レッドで入荷するか?その予約が可能か?を調べようとしていたけれど、 なかなか埒が明かなくて困っている真っ最中なのだった。





前述のように サローネ・デル・モービレの期間中に発表された同コレクションであるけれど、 その展示会場となったのが、ガブリエラ・クレスピの従姉妹、グイラ・マリア・クレスピがミラノに 所有する歴史的な建造物の私邸。
本来は一般人の立ち入りが許されないエクスクルーシヴな豪邸は、 セルジオ・ロッシがプレス・リリースで「ガブリエラ・クレスピのタイムレスなアートと、 セルジオ・ロッシのスタイルが融合した フェミニンなエレガンスの真髄」と謳っていた通りのゴージャスな空間。 床のウッド・タイルから 天井やレッジに施された彫刻、壁のアートに至るまで、 イタリアの豪邸を絵に描いたような美しさで、ヨーロピアン・リッチの底力をまざまざと見せ付けるもの。
その中央に設けられたランウェイに ガブリエラ・クレスピのスカルプチャーや ファニチャーと共にシューズをディスプレーするという プレゼンテーションは、アーティスティックかつドラマティックで、メディアやバイヤーに対して抜群のアピールになっていたのだった。

同コラボレーションは、セルジオ・ロッシの新デザイン・ディレクター、アンジェロ・ルッゲーリにとって 初のスペシャル・エディションの企画でもあったけれど、 シューズ・ブランドの企画としては、とても興味深い上に、 パブリシティも多数獲得獲得しているだけに、未だ 発売前ではあるものの 既にサクセスと言えるマーケティング効果を上げていると思うのだった。





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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