Oct Week 3, 2012
” Clive Christian Kitchen ”
” クライヴ・クリスチャン・キッチン ”



私は、不動産にはあまり興味が無いけれど、インテリアとデコレーションには 非常に興味があって、昨今、リサーチしているのが ”理想的なキッチン”。
というのも私の自宅アパートは、多くのニューヨークの物件同様、あまり料理をしないニューヨーカーのために作られているので手狭な上に不便。 なので、次に引越しをする時は「キッチンが広くて、機能的で、デザインが良いアパート!」と考えていて、 どういうキッチンが使い勝手が良くて、しかもスタイリッシュであるかを、 何時になるかも分からない引越しのためにリサーチしているのだった。

そんな中、ニューヨーク・タイムズ紙が発行する”T”マガジンを観ていて 見つけたのが、 写真上のキッチンをフィーチャーした広告。
アプライアンス(冷蔵庫やディッシュ・ウォッシャー等の機器)が全てキャビネットの中に隠れて、シャンデリアが吊ってある ゴージャスな空間は、全くキッチンに見えないけれど、 これを観て惹かれてしまった私は、早速 これをクリエイトしているインテリア会社をチェックしようと思ったところ、 馴染みがあるブランド名が記載されていたのだった。 それがクライヴ・クリスチャン。

私がクライヴ・クリスチャンの存在を知ったのは、 同社が数年前に「世界一高級なフレグランス・ブランド」として、 イギリスからアメリカに初進出を果たした際。
事実、クライヴ・クリスチャンのフレグランス、「インペリアル・マジェスティ」(写真下中央&右)は、ギネスブックによって 世界最高額のフレグランスに認定されているのだった。




私は、この実物ボトルをバーグドルフ・グッドマンで眺めたことがあるけれど、 大きさは500ml入りのウィスキー・ボトルと同じ程度のサイズで、ボトル本体はバカラのクリスタル。 これに18Kゴールドのボトル・カラー(ボトルについているゴールドのリング)が付いていて、 そのボトルカラーにフィーチャーされているのが 5カラットのダイアモンド。
この超高額ボトルの中のフレグランスは、クライヴ・クリスチャンの ”No.1” とネーミングされたフレグランスで、 ケイティ・ホルムズがトム・クルーズとの結婚式の際に付けていたことでも知られるもの。 200種類の 非常に希少なエキゾティック・フラワーやスパイスをブレンドした 贅を尽くした香水で、 1本のお値段は 何と 21万5000ドル(約1720万円)になっているのだった。

クライヴ・クリスチャンは、フレグランス以外にも、写真上左のようなカトラリー、 テーブル・ウェアもクリエイトしており、それらはいずれも、同ブランドのイメージと価格帯を反映させた 最高級、超高額のもの。
でも、”T”マガジンの広告を見て、私はクライヴ・クリスチャンがインテリアも手掛けていることを初めて知ったのだった。 以下の写真は、そんなクライヴ・クリスチャンのキッチン・デザイン。 キッチンのサイズ自体は、かなり広いものから、ミッド・サイズまで様々であるけれど、 いずれも、クラシックかつ非常にゴージャスな作りになっているのだった。






ヴィクトリアン・スタイル、フレンチ・カントリー・スタイル、トスカーナ・スタイルなど、 壁に設置されたキャビネットと、中央のアイランドが 完璧に美しいキッチンは、 いずれもカスタム・メイド。 これほどまでのキッチンを導入するのは、 ミリオン単位のコンドミニアムや、大邸宅で、プロのデコレーターが入って インテリアをオーナーの好みに合わせて1から手掛けるような ケースが殆ど。
なので、お値段は見当が付かない上に、高くしようと思ったら、幾らでも高くなるのが インテリア・デコレーション。 加えて、こんなキッチンがある物件に住むというのは、キッチンのインテリアの 何十倍もを出して、まずその物件を購入するところからスタートしなければならない訳で、 気が遠くなるようなプロジェクトなのだった。

それでも 気に入ったインテリアがあったら、クリッピングをしておくというのは大切なこと。
クライヴ・クリスチャンには手が届かなくても、もし将来、もっと手ごろな業者にキッチン・キャビネットを 作ってもらおうという際などに、クリッピングによるビジュアル・アイデアを持っているのは、 自分の理想のインテリアを実現する手助けをしてくれるもの。
インテリアというのは、ビジュアル・モデルさえあれば、それを安く実現する手段というのも 沢山存在しているのだった。






クライヴ・クリスチャンは、キッチン以外のインテリアもデザインしていて、写真上のようにダイニング・ルーム、 ウォークイン・クローゼット、リヴィング・ルーム、バスルームなど、ありとあらゆる空間のインテリアが、 クライヴ・クリスチャンの最高級のセッティングで実現するようになっているけれど、 全体に共通して言えるのは、クライヴ・クリスチャンが非常にクラシックなブリティッシュ・テイストであるということ。
なので、キッチンやバスルーム、クローゼットなどは、そのキャビネットの 機能を兼ね備えた完璧な美しさが 際立っているけれど、それ以外のスペースに関しては、 ちょっとクラシック過ぎる印象が否めないのだった。
特に、私が好きになれなかったのがベッド・ルーム。ホテルのプレジデンシャル・スウィートのような パーソナリティが感じられない空間に仕上がっていて、 「ここで毎日眠りたい」という気持になれない威圧感が感じられるのだった。

目下のインテリア業界のトレンドは、空間をあえて1つのテイストで統一せず、クラシック、モダン、エスニックなど異なるテイストをエクレクティックに ミックスするもの。なのでヘッド・ルームやダイニング・ルームなどクライヴ・クリスチャンのテイストで統一され過ぎているイメージの空間は、 やはりオールド・ファッションな印象を受けてしまうけれど、キッチンやクローゼットなど、ある程度限られたスペースで、機能が要求される空間になると、 クライヴ・クリスチャンのカスタム・メイドの視覚的統一感が意味を成してくるというのが私の意見なのだった。

ところで、アメリカでは キッチンと言えば、ダイニング・キッチンが当たり前で、家族がリヴィング・ルーム同様に 長く時間を過ごすのがキッチン。 それだけに、アメリカ人が家やアパートを改装する際に、必ず家族のライフスタイルに合わせて手を入れるのがキッチンであり、 最もお金を掛けるスペース。
そう思うと、クライヴ・クリスチャンの高級インテリア部門がキッチンに力を入れるのは非常に納得が行くところだけれど、 前述のように インテリアというのは、理想のスタイルを低バジェットで実現することが出来るもの。
実際のところ、高額なスタイルを より安価で実現しようと努力する方が、最初から一定のバジェット内で インテリアをクリエイトするよりも、同じ金額で 遥かに高級感のあるスタイリッシュな出来栄えになるという。
したがって 目標を高く定めて、それに向けて努力して、 知恵を絞る方が、結果が向上するというのは、 人生もインテリアも同様と言えるのだった。





FaviruteOfTheWeek FaviruteOfTheWeek FaviruteOfTheWeek

 


執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

PAGE TOP