May Week 2, 2016
” Manus x Machina Gift Shop ”
マナス x マキーナ ギフトショップ


メトロポリタン美術館のコスチューム・インスティテュートでは、 毎年テーマを変えたファッションのエキジビジョンが行われているけれど、 2016年のエキジビジョンのテーマは 「Manus x Machina / マナス x マキーナ」。 ファッションにおける手作業とテクノロジーにフォーカスをあてたもの。
会場に入ると、まず圧巻なのが ドーム型のホールに展示されている シャネルのオートクチュールのマリエ(写真下)。 ドレスの長いトレーンにはゴールドのビーズがふんだんに縫い付けてあって、 その模様は天井のドームのスクリーンにも映し出されているけれど、 このホールを取り囲むエキジビジョン・エリアには、1950年代のディオール・オートクチュールの 絶品ドレスから、サンローランの精巧にビーズが縫い付けられたドレス、2016年のルイ・ヴィトンのモダンな作品までもが並び、 その展示は地階でも素材のテーマを替えて繰り広げられているもの。
地階は、よりモダンな作品が多いだけに コム・デ・ギャルソン、イッセイ・ミヤケ、ヨージ・ヤマモトといった 日本人デザイナーの作品が幾つも見られていたけれど、その地階の展示の一部のように 設けられているのが同エキジビジョンのギフト・ショップなのだった。







メトロポリタン美術館のコスチューム・インスティテュートのエキジビジョンは、常に独自のギフト・ショップを擁していて、 毎年のテーマに沿ったマーチャンダイジングが行われているけれど、 今年の「マナスXマキーナ」のテーマでショップのキュレーションを行ったのは、 アメリカの百貨店 ノードストロームのファッション・ディレクターであるオリヴィア・キム(写真上、上段右)。 毎年同エキジビジョンのスポンサーであり、オープニング・ガラを担当する アメリカン・ヴォーグ誌の編集長、アナ・ウィンターのご指名でこの大役を果たしたオリヴィア・キムが これまでメトロポリタン美術館とは無縁だったデザイナー達に働きかけて 商品を集めているけれど、一部は同エキジビジョンのためだけに製作された エクスクルーシブなプロダクト。
通常、ミュージアムのギフト・ショップというと ”お土産屋”の域を出ないものが多いけれど、 コスチューム・インスティテュートのエキジビジョン・ギフト・ショップは、 展示の写真集やポスト・カードといったトラディショナルなアイテムに混じって、 セレクト・ショップのように品物がエディットされていて、 展示同様に人々が時間を費やして商品を眺めたり、トライするエリアになっているのだった

以下はその中から 私が気に入ったプロダクト10点。




写真上左はナイロン・プラスティックに3Dプリントを施したイヤリングで、日本のモノサーカスの製品($65)、右はメッシュ・ビーズのネックレス($30)。



写真上左はフローウェンのエンドー・イヴニング・クラッチ・バッグ(3,950ドル)、 右は同じくフローウェンのへクサ・ペンダント・ネックレス($345) 。



写真上左は、シルクがこのエキジビジョンのためにエクスクルーシブにクリエイトしたネールの3本セット($42)、 右はアレクザンダー・マックィーンのシルク100%のスカル・スカーフ($385)。




写真上左はフリンジ・プリーツのクラッチ・バック($95)、 右はイッセイ・ミヤケの バオバオ・プリズム・ベーシック・クラッチ・バック($450)。



写真上左は パリをベースにしたデザイナー、ズーリ・グェタのコーラル・ネックレス($445)、 右はハンドメイド・レースの フローラル・ネックレス($110) 。


コスチューム・インスティテュートのエキジビジョンは、長い年月をかけて準備されるだけあって、 とても質の高いものが多いけれど、今回の「マナス x マキーナ」も然り。
個人的には、特定のテーマよりも 1人のデザイナーにフォーカスをあてて、掘り下げる展示の方が ストーリー性が感じられるように思えるけれど、 それは2011年のアレクザンダー・マックィーンの回顧展「サベージ・ビューティー」のインパクトが あまりに鮮烈であったため。
今後もメトロポリタン美術館ではどんどん最新のテクノロジーを取り入れたアップスケールな展示が行われていくと思うけれど、 アレクザンダー・マックィーンのエキジビジョンを超えるのはかなり難しいと思うのだった。


執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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