Mar Week 2, 2016
” Saks OFF 5TH x Gilt ”
マンハッタンのど真ん中にオープンしたアウトレット、サックス・オフ5TH x ギルト
ふと気づくと、昨今マンハッタンに増えてきたのがアウトレット・ストア。
かつてはマンハッタン内でディスカウント・ショッピングが出来るスポットと言えば、ワン・ワールド・トレード・センター近くの
センチュリー 21であったけれど、現在では 同店はアッパー・ウエストサイドにもブランチを構えるだけでなく、
アップスケールで、ハイエンドなブランドを扱う店舗、C21Edition / C21エディションをダウンタウンの店舗に隣接してオープン。
C21エディションでは、店舗も扱う商品に合わせて ぐっとスタイリッシュになっているのだった。
その他にもブルーミングデールズのアウトレットがアッパー・ウエストサイド、ブロードウェイの72丁目にオープンしている他、
ノードストロームのアウトレット、”ノードストローム・ラック”もダウンタウンのフルトン・ストリート沿いに店舗を構えていて、
いずれもデザイナー物が50〜70%オフで購入できるスポットとして人気を集めているのだった。
そんな中、今月オープンしたばかりのアウトレットがここにご紹介するサックス・オフ・フィフス。
オフ・フィフスは、サックス・フィフス・アベニューのアウトレットで、ニューヨーク以外の州では
ショッピング・モール内などで展開されているストア。
オンラインでもビジネスを行っているけれど、
同店がオープンしたのはマンハッタンのど真ん中である57丁目の
ブルーミングデールズに程近いパーク・アベニューとレキシントン・アベニューの間。
ティファニーやルイ・ヴィトンの5番街ブティックから歩いて2ブロック半のロケーションであるけれど、
パーク・アベニューから東側の57丁目は、何故か商業的にはパッとしないエリア。
したがって、サックス・フィフス・アベニューのフラッグシップから 数ブロックしか離れていないとはいえ、
アウトレットには相応しいロケーションとも言えるのだった。
そのオフ・フィフスの目玉になっているのが、デザイナー・サンプル・セールのコンセプトを
オンライン・ショッピングに持ち込んだ先駆者、 ”Gilt / ギルト”の初のポップアップ・ブティック。
ギルトと言えば、クリスチャン・ルブタンさえもがオンライン・セールを行うなど、
通常のディスカウント・ビジネスよりもワンランク上のブランド、よりエッジーなデザイナー・ブランドを
取り扱って、ファッショニスタの間で大きな支持を集めてきたビジネス。
そのギルトが店舗内にブティックを構えたことで、大きく話題性とビジネスの格がアップしているのが
オフ・フィフスのマンハッタン店舗なのだった。
実は、私は アメリカ人の友達がギルトのビジネス立ち上げメンバーの1人であったことから、
ギルトのセールはかなり以前から利用してきたけれど、オフ・フィフスがこの便利なロケーションに
オープンしてくれたお陰で、今後はギルトのオンライン・ショップで購入したものを返品する際には、
同店に持っていけば オフ・フィフスのストア・クレジットが貰えるとのこと。
このことは 今まで商品を送り返して、リストッキング・フィーをチャージされていたギルトのショッパーにとっては大きなプラス要因。
ギルトのブティックでは、毎週のように異なるデザイナーのセールが行われることになっているのだった。
さて肝心のオフ・フィフス全体の品揃えやディスカウントは?と言えば、1,700ドルのアライアのサンダルが約440ドル(税別)、
レベッカ・ミンコフの500ドルのモーターサイクル・ジャケットが190ドル、約700ドルのマノーロ・ブラーニックの
シューズが330ドルといったお値段。
ヴェルサーチ、ヴァレンティノ、クロエ、グッチといったデザイナー・ブランドに加えて、
ラグ&ボーンやダイアン・フォン・ファーステンバーグのようなコンテンポラリー・ブランドが並んでいて、
バーグドルフ・グッドマンやバーニーズといったハイエンド・デパートの常連客に同店がアピールするかは定かではないけれど、
ブルーミングデールズの 若干大衆的な客層は かなり同店を好むように思うのだった。
今やこうしたアウトレットは ブルックリンにもノードストローム・ラックと、ニーマン・マーカスの”ラスト・コール”が出店していて、
もはや車で1時間以上をかけて アップステートのウッドベリー・コモンズまで足を運ぶ人は
居なくなりそうな気配であるけれど、アウトレット・ビジネスが栄えている時はリテールが苦戦している時。
昨日のビジネス・ニュースでは、ニーマン・マーカスがホリデイ商戦の不振で売れ残った商品の
買い戻しをブランドに強要していることが報じられていたけれど、ブランド側がそれに応じざるを得ないほど アメリカの小売業では
デパートが持つ力は強大。
だからこそ、マンハッタンのど真ん中で一流デザイナー物を大幅ディスカウントで販売出来ると言えるのだった。
執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に
ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。