Most Talked-About Excercise Machine! " Fit-Wet "
水圧の抵抗、サポート、リラクセーション効果を利用した
話題の超高額エクササイズ・マシーン "フィットウェット"


アメリカで、ヨガ同様に 完全に定着したエクササイズと言えば、“スピニング”。
スピニングは、バイク(自転車)・マシーンを使った、グループ・エクササイズで、ジムのクラスによく取り入れられてきたものですが、 2〜3年ほど前からは、スピニング専門のフィットネス・クラブが登場。 ニューヨークでは、かつてCUBE New York が取り上げた ”ソウル・サイクル”がどんどんブランチ(支店)を増やして、 ヒップスターのメンバーが通う ホットなクラブとして若い層を中心に人気を高めています。

そんなスピニングは、女性が気になる下半身に有効なエクササイズとして知られていますが、 そのスピニングをジャグジーの中で行なうという奇抜なコンセプトで、登場以来、様々なメディアで取り上げられているのが ここにご紹介する “フィットウェット” とネーミングされた 最新エクササイズ・マシーン。
そもそも、バイクのエクササイズ・マシーンであれば、郊外の一軒家に住む人々が所有する例は珍しくない上に、 時にニューヨークのアパートでも バイク・マシーンを所有する例はあるもの。 ジャグジーについては、バイク・マシーンよりラグジュアリーなものなので、多くの家庭に普及しているとは言えないものの、 高級コンドミニアムや、郊外の高級住宅であれば、今ではバスタブにジャクジーが付いているケースが非常に増えているのが実情。 さらに、フロリダやカリフォルニアなど 暖かい地域では、プールサイド等のアウトドアにジャクジーを設置した家は多く、 これらは、ホーム・デポのような 住宅リフォーム&建設資材ストアで売られているアイテムを組み立てることによって、 自分でもクリエイト出来るもの。

でもふと考えると、スピニングとジャクジーというのは、激しいエクササイズとリラクセーションという対極にあるコンセプト。 そして、その2つを同時に行なえる フィットウエットを購入しようとした場合、そのお値段は、何と1万8,770ドル(約150万円)。 正真正銘のリッチでないと 気軽に購入できない価格になっています。


では、スピニングとジャクジーを組み合わせるメリットが何処にあるかといえば、 水の抵抗力を使うことによって、効率の良い 筋トレと 体力づくりが実現できるという点。
フィットウェットでトレーニングをすると、バイクのペダルが重たくなるのはもちろん、足を動かすにも 水の抵抗力と戦うことになるので、エクササイズとしての難度が通常のスピニングに比べて12倍にアップ。 そのため、通常のスピニングでは30分200カロリー程度しか燃焼できないのに対し、 フィットウェットを使用すれば、300〜500カロリーを燃焼することが出来るというデータが得られています。

加えて、エクササイズをしながら ジャグジーによるジェット・マッサージ効果を得ることが出来るので、 血液やリンパの流れを促進。カロリーを余分に燃やすことによって得られるダイエット効果に加えて、セルライト改善効果も 期待できるとのこと。 また、ジャクージーの後部に設置されたジェットは、エクササイズ中ずっとヒップから太腿にかけてを直撃するようにデザインされているため、 ヒップの脂肪燃焼には特に効果的であると説明されています。

フィットウェットの使用法は、下半身が浸かる高さまで ジャグジーに水を溜めて、通常のバイク・マシーンと同様に 距離、時間、燃焼したいカロリー数などを設定。 それから 水中でスピニングを行なうという至って簡単なものとなっています。


高いエクササイズ効果が期待できるフィットウェットですが、 水中でのエクササイズがもたらす効果はこれだけではありません。
まず挙げられるのは、水中では体温が上昇しにくいという点。 エクササイズによって体温が上昇し始めても、水によってその熱が奪われるため、体温の上昇による疲労を通常よりも抑えることができます。
また、水の流れによる リラクセーション効果がもたらされるのも大切なキーポイント。 水のせせらぎの音を聞いたり、温泉に浸かったり、水と接することは、人の心理を和らげる効果がありますが、 ハードなエクササイズを行なっている最中でも、この水がもたらす癒し効果は同じ。 そのため、フィットウェットは身体を効率良く鍛えるだけでなく、エクササイズの最中もリラックス効果を味わうことが出来、 同時に 運動量に対して疲労感が少ない、爽快なエクササイズを実現します。
しかも、通常のスピニングよりも短時間で目標カロリーを燃やすことが出来るため、 エクササイズを厭わずに 続けられるメリットをもたらします。


さらには水中での運動は、水圧がサポートとなり、膝や関節などに 負担が掛かり難いという利点があるため、 「ハイドロセラピー」と称して世界中で怪我の治療に用いられています。 フィットウェットも前述の効果以外に、そのハイドロセラピーの原理に基づいた非常に効率的なエクササイズ・マシーンではありますが、 実際のところ、これが果たして本当に売れるかは謎。
まず、どんなに利点を強調されても、誰もが購入できるようなお値段ではないことに加えて、エクササイズをする度に大量の水を使用するため、 水道料金がチャージされるビルや、一軒家では、その料金が嵩むのは必至。 また環境問題の見地からも、大量の水を使用するのは感心できないと言えること。
さらに、使用する度に、この大きなマシーンを洗浄しなければいけないため、メンテナンスもかなり面倒。 もちろん、フィットウェットが購入できる人々は、高額の水道料金やメイド・サービスが支払える財力を持つはず。 したがって、これらのデメリットがさほど問題点にはならないかもしれませんが、 一般の人々にとっては、あまりに現実離れしたエクササイズ・マシーンになっているため、 話のネタに止まるのみのプロダクトとなっています。

一方のフィットウェット側としては、同マシーンを メガ・リッチの個人宅だけでなく、高級フィットネス・クラブに導入してもらう方針で、 マーケティングを展開するとのことで、やがては スピニング専門のフィットネス・クラブのように、フィットウェットのみでエクササイズを行なうクラブを オープンすることが最終目標とのこと。
果たして、これが成功するか否かは定かではありませんが、既に様々なフィットネス器具が出回り、 最新商品が登場しても、殆どメディア・フォーカスを浴びたり、話題になることが無いご時世にあって、 フィットウェットが多大なパブリシティを獲得していることだけは、紛れもない事実となっています。







執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

PAGE TOP