Nov. 21 〜 Nov. 27 2016

”Invest in Marijuana & Security Business"
トランプ政権下で潤うビジネスは、マリファナとセキュリティ!


今週は、アメリカ最大のホリデイであるサンクスギヴィングの休暇であったため、通常ならば政治のニュースとは無関係に過ごす時期であるけれど、 そんな中、大きな報道になったのはキューバの革命指導者、フィデル・カストロ死去のニュース。
そしてもう1つ大きく報じられていたのは、大統領選挙におけるウィスコンシン州、ペンシルヴァニア州など、ドナルド・トランプが勝利した州において、 コンピューター・サイエンティストのグループが、投票パターンにイレギュラリティが見られると指摘したことを受けて、 グリーン・パーティーの候補者、ジル・スタイルが ウィスコンシン州の票の数え直しを申請したニュース。 これにはウィスコンシン州の州民に加えて、ヒラリー・クリントン陣営も選挙の正当性を立証するための実施をサポートしているけれど、 大統領選挙の結果を書き換えられる期限は年内までで、これからの数え直しでは その期限には間に合わないことも指摘されているのだった。
もちろんドナルド・トランプは、これに反発して「ヒラリー・クリントンは一度負けを認めた」、「票の数え直しなど時間と金の無駄」 とツイートしていたけれど、 私がこのコラムを書いている11月27日、日曜日になってトランプがツイートしたのが 「自分がポピュラー・ヴォート(票の獲得総数)で負けたのは、不法移民が不正な投票をしたからだ」という問題発言。 これは、「今週の時点でヒラリー・クリントンがポピュラー・ヴォートで200万票トランプを上回っている」 という報道を受けてのものであるけれど、 政治評論家やメディアが首を傾げたのは、このトランプのツイートによって「それほど選挙が不正ならば、いっそ全ての票を数え直すべき」という 意見を煽っていたこと。
また、トランプが大統領になってからもこうしたツイートが続くであろうことについても、様々な意見が聞かれていたのが今週なのだった。




話は変わって、サンクスギヴィングの2日前の火曜日に私がマディソン・アヴェニューをタクシーでアップタウンに向かっていたところ、突如 ミッドタウンで巻き込まれたのが渋滞。 何が起こっているのかと思って窓から眺めたところ、そこはトランプ・タワーの出口がある56丁目の交差点で、 歩行者も含めた大々的な交通止めが行われていたのだった。
ドナルド・トランプが大統領に選出されてからというもの、5番街とマディソン・アベニューのトランプ・タワー・エリアのビジネスが厳重なセキュリティのせいで 売り上げに大打撃を受けていることは大きく報じられてきたこと。 私もこの日の交通止めのせいで10分以上を無駄にして、もう暫くはトランプ・タワーには近づかないと心に誓ってしまったのだった。

後から知ったのは、この日にドナルド・トランプが家族揃ってサンクスギヴィングの休暇を過ごすためにフロリダのマーラゴに向かったということだけれど、 この日が特別な訳ではなく、要人がトランプ・タワーを訪ねたり、トランプが外出する度に同様の交通止めが行われる訳で、 私が足止めを食った際に 一体トランプ家の何人が移動したかは定かでないけれど、 合計20台以上の黒塗りのSUVが通過していくのを目撃したのだった。
そのトランプ家一行がマーラゴに到着し、トランプの経営するカントリー・クラブに向かう際には そのSUVの数は45台になっていたそうで、 サンクスギヴィングの休暇中にトランプ・ファミリーの警備に当たったセキュリティ・スタッフの数は150人、経費にして日本円で約8億円が この休暇中のセキュリティだけに投じられているのだった。

実際のところ、ドナルド・トランプが大統領になったせいで、オバマ大統領時代よりも大幅に国民の税金を食い潰す見込みなのがセキュリティのバジェット。 というのもドナルド・トランプは史上最高齢の70歳で大統領になったため、妻と10歳の息子バロンの他に、成人した子供が4人、その配偶者3人、孫が8人で、 国家予算による警備の対象となる家族は総勢18人。 このトランプ一家の警備にあたるスタッフの総数は920人になる予定で、1日最低200万ドル(約2億2600万円)がセキュリティに費やされるのだった。
加えてトランプがホワイトハウス入りしても、息子バロンが学年末を迎えるまでは 夫人とバロンがニューヨークに滞在することが発表されており、 その場合、2人のニューヨークでのセキュリティにかかる費用は 1日100万ドル(約1億1300万円)。 これに大統領就任式の厳重な警備の費用などが加わるので、トランプ政権はそのファミリーのセキュリティだけで 軽く1年に1ビリオン(約1130億円)を 費やす見込みとなっているのだった。




トランプ家が需要を増やすまでもなく、これから拡大が見込まれているのがセキュリティ・ビジネス。
一言でセキュリティと言っても 防犯システム等のホーム・セキュリティのテクノロジーから ボディガードまで様々な種類があるけれど、 これから拡大が見込まれるのはボディガードのビジネス。パリのファッション・ウィークでキム・カダーシアンが強盗に襲われてからというもの、 ハリウッドのセレブリティがそのセキュリティを強化する傾向にあるけれど、貧富の差が開いているだけに、 メガ・リッチが銃で武装したボディガードを雇うのは今や当たり前。

また今回の選挙で、新たにラスヴェガスがあるネヴァダ州、カリフォルニア州、マサチューセッツ州などがレクリエーション用途のマリファナを合法としたことから、 既にコロラド、オレゴン、ワシントン州で合法化され、拡大中のマリファナ・ビジネスがさらに大きく伸びることが見込まれるけれど、 そのマリファナの生産・販売施設や、その流通に無くてはならないのが厳重なセキュリティ。 それほどまでにマリファナ・ビジネスは窃盗犯罪のマグネットになっているのだった。
したがってマリファナ・ビジネスの拡大は、セキュリティ・ビジネスの拡大を意味するけれど これからのボディ・ガード職に問われるのが、厳重なバックグラウンド・チェック。 ボディガードという職業は軍隊上がりの経歴が多いと言われてきたけれど、高額のボディガード・サービスになればなるほど、 PTSD(ポスト・トラウマティック・ストレス・ディスオーダー)等の精神的な問題が無いか、 犯罪者に内部情報を売るほどに経済状態が困窮していないか等の バックグラウンド調査がしっかり行われているだけでなく、 射撃訓練などの実践面のトレーニングもきちんと行われているとのことなのだった。

そのバックグランド調査と言えば、私のアパートのビルに住む隣人で、ヨガのクラスメートでもあったアメリカ人男性が、 ワシントンDCの地方検事に昇格した際のこと。隣人として彼のキャラクター・ウィットネスになって欲しいと頼まれたので、 引き受けたところ、数日後に私のアパートに現れたのはFBIエージェント。 TVや映画に出て来るエージェント同様、バッジを見せられて、彼を何年知っているか、彼の友人や家族に会ったことはあるか、 いつも会うとどんな会話をするか等を尋ねられたけれど、職場の友人と隣人のキャラクター・ウィットネスがそれぞれ2人、 アパートのマネージメントや職場のボス、以前のボスにもFBIのインタビューがあり、 経歴、犯罪歴、ドラッグ・テスト、ソーシャル・メディア上のアクティビティ、クレジット・スコア、入国&出国歴などもチェックされるとのこと。
もちろん地方検事というのは、犯罪の訴追を決める大切なポジションではあるけれど FBIが動いて こんなに大々的なバックグランド・チェックが行われている実態には少々驚いてしまったのだった。
それを思うと一般のセキュリティ・ガードやウーバーのドライバーのバックグランド・チェックは、 ”体裁上やっている程度のレベル” と言われても仕方ないと思えてしまうのだった。




ドナルド・トランプが大統領に当選してからというもの、アメリカではダウが上がり続けて 今週は19,000ポイント台をつけたけれど、 これはもちろんトランプが規制緩和を行うことによって 企業の業績アップが見込まれるため。 中でも、建設、オイル&石炭等のエネルギー、ヘルスケア関連株の展望が明るいと見込まれる一方で、 同じエネルギー株でもソーラー・パワーの企業は、グローバル・ウォーミングを否定するトランプ政権下で、 税制優遇措置を外されることが見込まれているため、株価を落としているのだった。
同様にトランプが大統領に当選して以来、10%以上株価を落としているのが、スミス&ウェッソンを始めとする 銃製造会社株。アメリカでは銃乱射事件が起こるたびに銃の売り上げが大きく伸びてきたことから分かる通り、 銃の売り上げ増加の鍵を握っているのは「銃規制が進むかもしれない」という危惧。 でもNRA(ナショナル・ライフル・アソシエーション)の支持を取り付けて当選したドナルド・トランプは 国民が武器を所持する権利を認めた合衆国憲法第二条の擁護を選挙戦中から謳ってきただけに、 彼の政権下では 銃愛好家たちが「自分達の銃が奪われるかもしれない」という危機感を抱くことがないため、 その売り上げが伸びないと見込まれているのだった。

もちろん前述のマリファナも投資対象として大いに注目されているけれど、 今回の選挙でレクリエーショナル・マリファナが合法化されたカリフォルニアでは、 一足先に医療用のマリファナが合法化されていただけに、今後メジャー・プレーヤーになると見込まれているのが 既に医療用のマリファナを流通していた業者。医療法のマリファナ業者はノンプロフィットとして営業しなければならなかったけれど、 レクリエーショナル・マリファナでは利益を上げることが出来るため、 プライベートな株式会社を設立してインベスターを募っているのが現状で、 そのインベスターとして名前を連ねていることが伝えられるのがセレブリティ。
特にソーシャル・メディアのフォロワーが多いセレブリティは、ビジネス資金を援助するだけでなく、 マリファナに付きまとうネガティブなイメージの払拭をソーシャル・メディアを通じて行う役割も担う存在。 ウーバー、Airbnb (エアビーアンドビー)といった企業も、セレブリティ・インべスターを利用して あっという間に大きくなっているだけに、 2020年までに市場規模が70億ドル(約7910億円)に達すると見込まれるマリファナは、 今や投資のゴールドラッシュ状態になっているのだった。
またカリフォルニアは、一足先にマリファナが合法化され、目下マリファナ観光のメッカとなっているコロラドを程なく抜いて、 世界最大のマリファナ・ビジネス市場になることも見込まれており、 これによって ロサンジェルスが世界第6位のエコノミー都市になるのは もはや時間の問題とも言われているのだった。



執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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