Oct. 16 〜 Oct. 22 2017

”Move Over Gluten Free, Now Lectin Free”
グルテン・フリーに替わる新ダイエット・トレンド、
ヘルス・フリークが夢中のレクチン・フリー・ダイエットとは?



今週のアメリカの報道で 私が個人的に興味を持ったのは、コカ・コーラが「ダイエット・コークを飲むと、かえって体重が増えるだけでなく、様々な健康障害をもたらす」ことから、 その商標が消費者を欺いているとして、集団訴訟を起こされたというニュース。
過去数年、アメリカの肥満の原因としてやり玉に挙げられてきたのがダイエット・ソーダを含むソフト・ドリンクで、 今年に入ってからは 水の売り上げがアメリカ史上初めてソーダを抜いたことも伝えられるほど、徐々に売上げが落ちてきているのがソーダを含むソフト・ドリンク類。 また医学界からもそれを裏付けるデータやレポートが多数発表されているけれど、 ダイエット・コークのような人工甘味料を使ったゼロ・カロリー・ソーダの何が肥満の原因になるかと言えば、 まず炭酸が食欲を刺激する成長ホルモン、グレリンの分泌を促すのがその理由の1つ。 「グレリンは若返りのホルモン」と解釈する説があるものの、それはグレリンが分泌されている空腹状態をこらえていられる状態のみ。 血中のグレリン・レベルは、ソーダを飲んだ直後からアップするとのことで、ソーダやビールのような炭酸飲料の方が脂っぽい食べ物と合うのは 炭酸が脂の後味をクリアにするだけでなく、食欲を刺激し続けるためとも指摘されるのだった。

加えてダイエット飲料に用いられる人工甘味料も、脳が甘さを察知して 消化器官にエンザイムを分泌するにも関わらず、それに見合うカロリーや糖分が体内に入ってこないことから、 分泌したエンザイムに見合うだけのカロリーや糖分を要求するシグナルが消化器官から脳にフィードバックされる結果、食欲が増幅すると言われるもの。
したがって人工甘味料を用いた炭酸飲料であるダイエット・コークは、たとえゼロ・カロリーでも 食欲増進ドリンクと言える訳だけれど、 これに対してコカ・コーラ側は、「ダイエットというネーミングで実際に体重を落とせないプロダクトは世の中に溢れている」と開き直ったような見解を示しているのだった。




この報道を見て私が思い出したのが、アメリカにやってきて以来、ダイエット・コークの1リットル・ボトルを1日に1本飲むようになって、 体重があっという間に10キロ以上増えた女友達のこと。 でも彼女はダイエット・コークだけを飲んで太ったのではなく、料理好きで 頻繁に人を招いてディナーをしていたので、 レシピをトライしたり、料理中に味見をするなどして 1日の摂取カロリーが多かったのは紛れもない事実。加えてエクササイズは週に1回のヨガと犬の散歩程度で、体重が増えるライフスタイルをしていたのだった。
彼女の料理は時に揚げ物等があったものの さほど不健康と思われる食事ではなく、彼女と一緒に暮らしていたボーイフレンドは普通体型で、アメリカのアベレージではスリムな方。 とは言っても彼の場合、早朝からジムに行って、一日中働いていたので、女友達とは代謝能力もライフスタイルも異なっていたのだった。
私がこの訴訟に興味を持ったのは、ダイエット・コークのような炭酸飲料を飲んでいるアメリカ人の多くが、高脂肪、高カロリー、高塩分の食事と加工食品を好み、エクササイズをせず、 ”社交=食べる”という不健康なライフスタイルを送っていることは、医療界のドクターも認める事実であり、 たとえダイエット・コークが、そのネーミングで消費者を油断させる ”肥満のトリガー(引き金)”になったとしても、消費者が自らのチョイスで招いた肥満という状況を 原告側がどうやってコカ・コーラの責任に仕立て上げるのか?ということ。
これがタバコのように直接人体にダメージを与えると同時に、中毒性が認められるものであれば、それを隠して販売を続けたタバコ・メーカーが裁判で有罪になったのは当然と言えるけれど、 ダイエット・コークは肥満の間接的な原因であって、例えそれによって太ることが立証されたとしても、 カロリーの見地からは 普通のコーラより低カロリーであることは紛れもない事実なのだった。


このコカ・コーラを相手取った訴訟のみならず、ここ数年のアメリカで大きく問題視されているのが人工甘味料で、 前述のように食欲を増幅させることもさることながら、最近になってから指摘され始めたのが 人工甘味料が様々な現代病を引き起こすことで医療界が注目する 「Leaky Gut Syndrome /リーキー・ガット・シンドローム(腸管壁浸漏症候群)」を悪化させるため。 リーキー・ガット・シンドロームは、その名の通り腸壁を覆う細胞に隙間が出来て、事実上 穴が開いたような状態となり、そこから未消化のたんぱく質やヴィタミン等の栄養素、 善玉、悪玉を含む腸内バクテリア等が血流に流れ込む症状。たとえ善玉バクテリアでも一度腸外に流れ出ると身体に悪さをするのは悪玉同様。 これによって摂取した栄養分が十分に身体に吸収されないだけでなく、 体内の細菌等の異物を認識して攻撃する免疫システムが、腸壁を潜り抜けて流れ出たバクテリア類と自分の正常な細胞との区別が付かなくなり、 正常な細胞に対してまで攻撃をする事態を招くのだった。 こうした自分の細胞や細胞組織を 自分の免疫システムが攻撃することによって起こる症状は自己免疫疾患(英語ではオートイミュ―ン・ディジーズ)と言われるけれど、 それらを含むリーキー・ガット・シンドロームがもたらす健康障害には上の図のようなものがあるのだった。




自閉症の子供の大半がリーキー・ガット・シンドロームでもあることが指摘されて久しいけれど、このリーキー・ガット・シンドロームが大きく問題視されるようになって以来、 ”ダイエットと健康の大敵” としてスポットを浴びることになったのが レクチン。 食欲を抑えるホルモンのレプチンと紛らわしいネーミングであるけれど、 レクチンは野菜や穀物等に含まれるタンパク質のこと。レクチンには多数のバラエティがあって、過去数年アメリカで流行った”グルテン・フリー”のグルテンもその1つ。 レクチンは体内の細胞膜の表面を覆う糖質と結びついて、細胞の免疫の機能高める効果があるので 特定の病気の発生率を低下させる働きがある他、 赤血球とも有効に結びついて、細胞間のギャップを埋めながら 細胞同士のコミュニケーション機能にも使われるもの。 それによって体内で起こる様々な炎症を抑えたり、細胞の生まれ変わりのをプログラムするなど、レクチンは基本的な人体の機能を可能にする役割を担っているのだった。

そのため これまではレクチンを身体に良い物と見なす専門家も居たけれど、実は多くのレクチンが体内で引き起こしているのがネガティブな反応。 それはレクチンを含んでいる野菜、果物、穀物等のサバイバルと深く関係しているのだった。 レクチンは人間や動物、昆虫がそれを含む野菜、果物、穀物を食べることによって体内に入るけれど、決して消化されることは無く、 人間や動物がレクチンを細胞間のコミュニケーションに使っている用途に便乗して、自分の種族を守るための情報を身体に発信。 自分の種族を食い荒らす敵を内側から攻撃すると同時に、種族の繁栄にも利用しているのだった。
動物や昆虫は人間より身体が小さいので、食べた物の反応が現れ易いだけでなく、体調が悪くなった食べ物は本能的に二度と食べないもの。 その一方で動物が野菜や果物を食べて、その種を排泄物と一緒に土に戻せば、種族が反映する訳で、 身体の内側から敵を攻撃するのもレクチンならば、消化のプロセスから種を守って無傷で排泄物と共に外界に送り出すのもレクチンなのだった。 すなわち一見 人畜無害を装って、実際には現代のバイオハッキングと同様の行為を何千年も前から行ってきたのが野菜や果物に含まれるレクチンと言えるのだった。

人間の場合は、身体が大きいだけでなく、調理や発酵のプロセスでレクチンが激減するため、かつてはレクチンの被害を恐れなければならないのはロウ・フードを食べている ヴェジタリアンやヴィ―ガンとされてきたけれど、 それでもレクチンがじわじわと人体を蝕むパワーがあったことは事実。 しかしながら、今や食生活や農法の変化など様々な要素が混ざり合って リーキー・ガット・シンドロームが増えてきたこともあり、警鐘が鳴らされるようになったのがレクチン。 というのもレクチンが胃壁を攻撃してリーキー・ガット・シンドロームそのものを引き起こす原因となるだけでなく、 レクチンは人間の細胞膜と同じ糖質で覆われていることから、一度胃壁を破って血流に流れ込むと 免疫システムは、自分の細胞との区別が付かないため、 自己免疫疾患を引き起こすこと、 更にはレクチンが持つ細胞の”通信機能”が 腸から脳に送るシグナルで、ホルモンの分泌に影響を与え、食欲のコントロール機能から 代謝能力までもを低下させる結果、肥満やそれに伴う様々な病気の原因になっているのだった。 さらにはマウスによる実験で、レクチンを多量に含んだ食物を与えられたマウスが精神的に落ち込むとことも認められていて、確実に人体に悪影響をもたらしているのがレクチン。
このためグルテン・フリーのトレンドが一段落したアメリカで盛り上がってきているのがレクチン・フリーのダイエットで、心臓病や皮膚炎等の治療目的でこのダイエットを行って、 体重を大幅に落とすことに成功している人々が多い事も伝えられているのだった。




私は現在レクチンに関する本を読んでいる真っ最中であるけれど、レクチンを多く含むのは大豆等の豆類全般と 豆乳、豆腐等の大豆製品、米や麦を始めとする穀物、ジャガイモ、トマトやピーマン、ナス、ズッキーニなどの野菜、ピーナッツ等。 穀物の場合レクチンを多量に含むのが籾殻の部分なので、玄米より白米、麦パンよりホワイト・ブレッドを食べることが奨励され、キノアやゴジ・ベリー、チア・シード、ウィートグラス等、 近年、健康のためのスーパーフードと呼ばれてきたものがことごとく敬遠すべきものになっているのだった。
私自身、玄米ダイエットや、麦パン、ウィート・パスタによって逆に太る経験をしているけれど、アメリカ社会もホールグレイン(全粒粉)がもてはやされてからの方が 肥満に拍車が掛かっているというデータもあるのが実情。加えて白米やホワイト・ブレッドが生まれた歴史を遡れば、より消化の負担を減らし、 栄養素を有効に吸収するためで、味はその結果論。 現代人に不足しがちな繊維質やミネラル、ヴィタミンは、野菜で十分摂取出来ると言われる一方で、身体の消化機能を省みずに繊維質が多い 消化に悪い食物を不必要に摂ると 身体の疲れや、集中力の欠落の原因になることが指摘されるのだった。

私が個人的にレクチン・フリーのダイエットに興味を示したのは、私が長年感じてきた「身体に悪い野菜もある」というセオリーを 説明してくれた点で、一部の植物性の油やアレルゲンになりうる野菜などは、身体に良いとはとても思えないのだった。
その一方で昨今の牛、ニワトリ、豚等の食肉用家畜は 穀物と豆類を餌にしているだけに、その肉がレクチンでかなり汚染されているのは容易に想像がつくところ。 今やレクチンは野菜、果物だけの問題ではなく、魚類にも含まれているのだった。 でも前述のように、一言でレクチンと言っても多数の種類がある上に、調理や発酵のプロセスでその量を激減させることが可能。 トマトやピーマン、ナス、ズッキーニ、キュウリなどは、皮を剥いて種を取って、火を通すことでレクチンが激減するため、トマト・ソースはレクチン・フリー・ダイエットでも奨励されるのだった。
また全てのレクチンが悪いという訳では無いので、同じ種類のレクチンが増えないよう 多種類の野菜や果物を 季節の旬の物の中から選んで摂取するのが大切とのこと。 肉の中で最も敬遠すべきは鶏肉だそうで、一番悪い食べ方とされるのは何故か 皮の脂を剥いで胸肉だけ食べること。 牛肉はオーガニックのグラスフェッド(草食)が望ましいのだった。


執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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