Sep. 18 〜 Sep. 24 2017

”To Be a Model, DNA Counts”
親の七光りで 何処まで輝ける?!
セレブ二世モデルへのバックラッシュ



今週、ファッション・ウィークはロンドンからミラノに移ったけれど、早くも ”モデル・オブ・ザ・モーメント(今、最も旬のモデル)”と言う肩書で 呼ばれ始めているのが、スーパーモデル、シンディ・クロフォードの娘、カイア・ガーバー(写真上左)。
父親はジョージ・クルーニーのテキーラ・ブランドのビジネス・パートナーとしても知られるランディ・ガーバーで、 スリムなボディと長い脚、そして何より若い頃のシンディにそっくりなルックスを武器に、2年ほど前からモデルとして活動を始めてきたのが彼女。 9月3日の誕生日でファッション・ウィークに出演できる16歳となったことから 今回のファッション・ウィーク・デビューを果たし、ニューヨーク、ロンドン、ミラノで行われた ランウェイ・ショーや期間中のイベント&パーティーで引っ張りダコの存在。 フェンディやモスキーノのランウェイではショー・オープナー(最初にランウェイを歩く、そのシーズンのイメージを代表するモデル)を務め、 未だ駆け出しの16歳のモデルとしては全くの別格扱い。文句なしに今シーズン、最もパブリシティを獲得しているモデルにもなっているのだった。

カイアに限らず、昨今のランウェイやマガジンのグラビアを飾るモデルは、セレブリティの二世、時に三世が非常に多く、 有名人の血が入っていないとモデルになれないのでは?と思わせるほど。 現在、トップ・モデルと見なされるケンドール・ジェナや、ジジ&ベラ・ハディドにしても、前者はカダーシアン・ファミリーの一員として、 後者は元モデルの母、ヨランダ・ハディドが出演するリアリティTVで名前と顔を売り、それを使ってソーシャル・メディア上のフォロワーを増やすことによって 現在のポジションを獲得したモデル。 2年ほど前までは 一部のモデル達の間で ケンドールやジジのファミリー・コネクションをフル活用したサクセスを批判する声が 聞かれていたけれど、今では顔やスタイル、写真写りよりも、DNAやラスト・ネームの方が 大切と思わせるようなモデル達で溢れているのだった。




写真上、一番左のケンドール、ジジ、ベラの隣は、シンディ・クロフォード&ランディ・ガーバーの長男、プレスリー・ガーバー、 その隣はシルベスター・スタローンの3人の娘、システィーン、ソフィア、スカーレット。右から2番目は元NBAスターのシャキール・オニールの息子、 マイルス・オニール、一番右はジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの娘で、 母親がかつて出演したシャネルのフレグランスの広告に起用されているリリー・ローズ・デップ。
下の写真は、左よりニューヨーク・ファッション・ウィークのショーのゲストとして登場した故ダイアナ妃の姪の レディ・キティ・スペンサー。その隣はピアース・ブロスナンの息子、ディラン・ブロスナン。左から3番目は ライオネル・リッチーの娘、ソフィア・リッチー。その隣はヒルトン家の御曹司であるバロン・ヒルトン。 右から三番目はケイト・モスの片親違いの妹、ロッティ・モス、 その隣はジュード・ロウ&セイディ・フロストの息子、ラファーティ・ロウ。一番右は アレック・ボールドウィンの娘、ヘイリー・ボールドウィン。
その他にもローリング・ストーンズのキース・リチャードの孫娘、エラ・リチャード、ボブ・ディランの孫息子リーヴァイ・ディラン、 ビル・クリントンの甥っ子であるテイラー・クリントン、今は離婚した俳優のショーン・ペンとロビン・ライトの娘と息子、 ディラン&ホッパー・ペンなど例を挙げたらきりがないほどに、俳優、モデル、シンガー、富豪や貴族、政治家、スポーツ選手等、 ありとあらゆる類のセレブリティと血縁関係があるモデルで溢れているけれど、中にはモデルと言われてもピンと来ないルックスも含まれているのが正直なところ。

セレブリティの子供達の多くがモデルとして起用されている理由の1つは、 本人は無名でキャリアが無くても、親のネームバリューのお陰で人々に興味を示してもらえるため。
ルックスが良い 全く無名のモデルを起用するより、ルックスはそこそこでも著名な親のDNAを感じさせるモデルを起用した方が 話題性や人々の興味を煽ることが出来る訳で、加えて 演技力や歌唱力、運動神経などとは無関係に出来てしまうのがモデルという仕事。 さらに、彼らを起用すれば著名な親達のサポートが無料で得られるのも大きなプラスと捉えられているのだった。




セレブの子供の側にしてみれば、モデルになる話が舞い込んだ時点では 必ずしもモデルを目指している訳ではないようだけれど、 モデル契約をしておくメリットは、通常ならばギャラの支払いのない雑誌の取材撮影を受ける場合でも ギャラが支払われること。 さらにモデルとして知名度を上げておくと、将来的に別のビジネスやチャリティ等をスタートする際に大きなプラスになると考えられるため。

でもニューヨーク・ファッション・ウィークの際に 二世モデル達の問題として指摘されていたのは、 彼らの親は実績やオーラがあるスターであっても、彼ら自身は未だスターとは言えない存在で、そうなれる素質があるかも分からない段階。 それだけに人々の興味や関心をそそることはあっても、エキサイトメントをもたらすほどのスター・パワーや、人々の視線を捉えて離さない存在感やオーラが備わっていないということ。 そのため、世界に先駆けて行われたニューヨーク・ファッション・ウィーク終盤の時点で、毎日幾つものショーを観なければならないファッション・エディターやブロガー、スタイリストの間では、 「ファッションも昔のスタイルのカムバックやリピートだし、モデルも親の世代のリピートがスター扱いされているだけで退屈」といった声が聞かれていたのだった。

私の目から見ると、2世モデルがもてはやされるのは、ハリウッドが過去のヒット作のシークウェル(続編)やリメイクばかりを 製作する様子に似ていて、要するに人々に馴染みがあって、マーケティングがし易い安全策を選んでいるということ。 でもシークウェルやリメイクばかりを製作していたせいで、ハリウッド映画の質が低下し 興行成績を落として行った一方で、野心的でエキサイティングなストーリーを手掛けるTVドラマに世の中の興味や人気が移行していったのは周知の事実。
ファッションの世界でもモデル達がどんどん無個性で、退屈になっていく一方で、 ランウェイ・ショー自体もエンターテイメント性やエキサイトメントが感じられないご時世になっているのだった。




そんなスター性に乏しい二世モデル達とは役者が違うところを見せつけたのが、9月22日、金曜に行われたヴェルサーチのランウェイ・ショーの フィナーレに登場した5人の90年代のスーパーモデル達。
今年はジャンニ・ヴェルサーチの死去20周年とあって、ジャンニの全盛期と言えた1991年〜1995年までの作品の ダイジェスト版リピート・コレクションを展開したのが この日に発表された2018年春のヴェルサーチ・コレクション。 そしてそのエンディングでステージのカーテンが開いた途端に現れたのが、 写真上左からカーラ・ブルー二(49歳)、クラウディア・シファー(47歳)、ナオミ・キャンベル(47歳)、シンディ・クロフォード(51歳)、ヘレーナ・クリテンセン(48歳)で、 彼女らはいずれも生前のジャンニ・ヴェルサーチのお気に入りで、ヴェルサーチの広告に何度もフィーチャーされたスーパーモデル達。
彼女らが横一列にランウェイを歩いた数秒間に鳥肌が立つ思いをしたのはファッション関係者だけではないはず。 そこにドナテラ・ヴェルサーチが加わったフィナーレに会場内は総立ちとなって、彼女らの姿をスマートフォンでビデオ撮影しようという観客がどんどんランウェイに押し寄せたために セキュリティ・ガードがブロックしなければならなかったほどで、この様子は一般メディアのニュースでも大きく報じられていたのだった。
NYポスト紙の記事には「このシーンこそ、ファッション業界だけでなく、世の中全ての人々が最も見たがっていたもの」というモデル業界のエグゼクティブのコメントが 掲載されていたけれど、ケンドールや、ジジ、ベラの2倍以上の年齢とは言え、90年代の元祖スーパーモデルのスターパワーやオーラは 現在のスーパーモデルとは比べ物にならないほど強烈なもの。 彼女ら以外にも、この時代にはリンダ・エヴァンジェリスタ、クリスティ・トゥーリントン、ヤスミン・ゴーリ、カレン・ミュルダー、ステファニー・シーモア等も居た訳で、 90年代のランウェイ・ショーが如何にエキサイティングであったかを思い出したファッション関係者も非常に多かったと言われたのが今回のヴェルサーチのフィナーレ。
こんなエキサイトメントを見せつけられてしまうと、親が有名だからと言って二世モデルにランウェイを歩かせたところで 一体何のメリットがあるのだろう?という 疑問さえ沸いてきてしまうのだった。

以下は、そのヴェルサーチのフィナーレのビデオ。90年代のジャンニ・ヴェルサーチと元祖スーパーモデルの全盛期をリアルタイムで知る人にとっては、 あの時代が如何に特別であったかを改めて実感させるシーンです。



執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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