Aug 18 〜 Aug. 24 2008
” Eating & Exercising ”
私がこのコラムを書いている8月24日の日曜は、過去約2週間続いた北京オリンピックの閉会式。
でもアメリカの今週末の関心は、既にオリンピックから離れており、NBCのトップ・ジャーナリストも閉会式前に
早々に北京を離れて向かったのがコロラド州デンバー。
ここで月曜からスタートするのが民主党の党大会で、党大会とは大統領選挙に向けての党の団結を示す旗揚げ式のようなもの。
言うまでも無く 政治の世界のビッグ・イベントなのである。
共和党に先駆けて行われる民主党党大会を控えて、今週末に発表されたのが 英語では「ランニング・メイト」とも表現される
オバマ氏の副大統領候補。
オバマ支持者には携帯メールで通達されたという 副大統領候補に選ばれたのは、大方のメディアが事前に予想した通り
デラウェア州の上院議員、ジョー・バイデン氏。 個人的には共和党のマケイン候補と親しいバイデン氏は
予備選挙の際にはオバマ氏よりヒラリー氏を支持していた人物である。
これを受けてマケイン&共和党側では、「あれほど熱いキャンペーンを展開したヒラリーを副大統領候補に選ばなかった」
ということでオバマ氏を批判しており、 反オバマ意識を持つヒラリー支持票を取り組む作戦を既に展開し始めているという。
さて、オリンピックに話を戻すと、今回のオリンピックは アメリカ国内でさえ 中国が最多メダルを獲得するのでは?
との憶測が飛び交っていたもの。
結果的にはメダル獲得数に関してはアメリカが最多の110。中国がそれに次ぐ100個のメダルを獲得し、
アメリカの首位が守られたけれど、金メダルの獲得数は中国がアメリカの36個より15個も多い51個となっており、
これは1988年のソウル大会での ソヴィエト以来の快挙であるという。
今日付けのニューヨーク・タイムズ紙を始めとするアメリカのメディアは、
NBCがプライム・タイムに放映する閉会式を待たずして、オリンピック終焉ムードで
北京オリンピックの総括記事を掲載していたけれど、これらに共通して言えた論調は、
中国が$15ビリオン(約1兆6500億円)の巨費投じ、何百万人もの無料ボランティアを雇ってホストしたオリンピックは、
素晴らしい開会式で中国の国力を見せつけ、終始 非常にオーガナイズされたイベントであったけれど、
「スポーツの祭典」というお祭りムードに乏しく、政治力によってコントロールされた大会であったということ。
トリノ・オリンピックのゴールド・メダリストで、ダルフール救済のアクティビスト(運動家)として知られるジョーイ・チークが、
「アンチ・チャイナ」を打ち出している訳ではないのに入国ヴィザをが降りなかったのに始まり(ダルフールと北京オリンピックの関わりについては
ここをクリックして5月2週目のコラム参照のこと)、
オリンピック・アスリートの40人以上がチベットをサポートするアルバムをアイ・チューンからダウンロードしたために、
中国政府が オリンピック・ヴィレッジでの アイ・チューンのダウンロードをシャットダウンしてしまったり、
ブラジル対アルゼンチンのサッカーの試合で騒ぎが起こった際に、取材に訪れたプレスが入場を制限された上に、
「プレス・ボックスに入ったら逮捕する」と警察に脅されたエピソードなど、メディア関係者もアスリートも
様々な政治圧力を感じたイベントであったのは否定できないところ。
それだけに今日付けのニューヨーク・タイムズのオリンピック総括記事は、「次のロンドン大会ではオリンピックの醍醐味である ”Fun (楽しさ)”
を リインストールしなければならない」 という センテンスで締めくくられていたのだった。
そのロンドン大会は、北京大会とは異なり 既存の施設を使った 小規模でエコノミカルなイベントになることが見込まれているけれど、
4年前の開催地であるアテネではオリンピック用に建てられた施設の殆どが放置状態で、
予想したように経済の活性化が進まず、人々が重税に苦しんでいる状況であるという。
今回のオリンピックの競技以外の話題は、全競技、全セグメントがHD画像で中継されたこと。アテネ大会では、
6つの会場にしかHDカメラが設置されていなかったというけれど、今回は全会場に設置された中国側のカメラ1000台に加えて、
アメリカのNBCが持ち込んだ80台のカメラが全てHD対応で、インターネットのビデオ・ダウンロードに至るまでがHD画像になっていたのだった。
お陰で、ビーチ・バレーボールでゴールド・メダルに輝いたケリー・ウォルシュは、対日本戦でブロックをした際に
結婚指輪を落としてしまったけれど、NBCがリングが外れた際の画像を拡大することによって、落ちた場所が確定され、
そこから金属探知機によってリングが見つかったというエピソードもレポートされていたりする。
そんな画像でもなければ15トンのビーチ・サンドの中から直径2cmほどの結婚指輪を探し出す事など不可能なのである。
ところで競技が終了したアメリカのオリンピック・アスリートの一部は、閉会式に参列するために北京に滞在していたけれど、
彼らの間でのダントツ人気の観光のお目当ては英語で ”グレート・ウォール” と呼ばれる 「万里の頂上」ではなく、
パンダであったという。
さて、オリンピック・アスリートと言えば、食べることも大切なトレーニングの1部。
体操で、オリンピック史上初の10点満点演技を見せたナディア・コマネチは、1日の食事がスキム・ミルクとチーズだけだったと
言われており、新体操選手も非常に厳しいダイエットを強いられていると指摘されていたけれど、
その一方で、厳しいトレーニングをこなすために食べまくらなければならないアスリートも居る訳である。
その好例と言えるのが、北京オリンピックで8つの金メダルを獲得したアメリカ水泳のマイケル・フェルプス。
彼が1日に摂取している食事は1万2000カロリー以上。1回の食事で摂取するのが、成人男子の1日の摂取奨励カロリーよりも多い4000カロリー
であるという。
写真上は彼の典型的なブレックファストであるけれど、
まず南部の朝食に良く登場するグリッツをボールに1杯(写真上一番左)、お隣は卵5つを使ったオムレツ、中央は
チョコレートチップ・パンケーキで大判サイズを3枚、右から2番目はパウダー・シュガーを掛けたフレンチ・トーストで これも3枚。
そして一番右がトマト、レタス、チーズとフライドエッグを挟んだサンドウィッチで、これを3切れ。
これら全て、約4000カロリーを朝食として平らげてしまうという。
NBCではマイケル・フェルプスが地元、ボルティモアのチャイニーズ・レストランで よくオーダーするディナーを紹介していたけれど、
テーブル一杯に並んだ料理は大人4〜5人分はありそうな量だった。
ハリウッド・セレブリティが トレーナーや栄養士を雇って減量する際の1日の摂取カロリーは、
野菜、果物、たんぱく質を中心とした1200カロリー。
マイケル・フェルプスの場合、その10日分のカロリーを摂取して、
しかもそのメニューにダイエットの大敵である炭水化物を多量に含んでいる訳であるけれど、
彼のように激しいトレーニングをするアスリートにとっては、直ぐに燃えてエネルギーに変わる炭水化物は必須。
フットボール・プレーヤーなど、その運動量が激しければ激しいほど炭水化物が食事に必要とされる訳である。
ふと考えてみると、私もかつて1日3時間 ジムでワークアウトをしていた頃があって、当時は朝食に巨大なベーグルを2つ食べても
体重が減り続けていたのだった。
ところで、サマー・オリンピックはウィンター・オリンピックより 薄着な分、どうしてもアスリートのボディに目が行くけれど、
先日 友人と話していたのが、 オリンピックで様々な競技のアスリートを見るにつけて、
どんなスポーツでも 健康には良いかもしれないけれど、美しいボディを作る、もしくは保とうとした場合には
向かないスポーツがあるということ。
やはりアスリートのボディが最も美しく鍛えられている種目といえるのは水泳。
陸上のランナーより脚の筋肉が小さい分、肩に筋肉が付いているのがスイマー体型であるけれど、
今は陸上の選手でも水泳の選手でも全身をウェイト・トレーニングで鍛えているのは言うまでもないこと。
特に水泳では ストロークをパワー・アップするためにウェイト・トレーニングを強化する
アスリートが多いそうで、72年のミュンヘン大会に7つのゴールド・メダルを獲得したマーク・スピッツに比べて
マイケル・フェルプスの方が遥かに筋肉隆々のボディをしているのはそのためである。
でも本来、水泳は 細 く 長い筋肉がデベロップされるスポーツとして知られるもので、
長く水泳を続けている人のボディは共通して、身体のラインの歪みが極めて少ないと言われるのである。
その反対にアスリートのボディがあまり美しいとは言えないのはマラソン。
皮下脂肪は少ないものの、走る際の上下動の振動で、その少ない皮下脂肪が下がってくるのはボディだけではなく、顔にも言えること。
アメリカで 頬が下がって来て ほうれい線が深くなった顔を 「ランナーズ・フェイス」と呼ぶのは、
マラソン・ランナーや 定期的にジョギングをする人々に これが多いためである。
また、アメリカではスノーボードを抑えて最も怪我が多いスポーツになっているのがジョギング&マラソンであったりする。
実は私は、今回のオリンピックで41歳にして史上最年長の水泳メダリストとなったダラ・トレスのボディがあまりにカッコ良いと思ったので、
オリンピックの少し前から週に1〜2回泳ぎ始めたけれど、
水泳の問題は競泳選手並みに泳がないと 全身運動とは言え、なかなかカロリーが燃やせないこと。
自宅ビルのジムにプールがあるのに、私が水泳を始めては 止めることになるのは、他の有酸素運動に比べて
同じカロリーを燃やすのに時間が余分に掛かって、それだけワークアウトに長く時間を費やすことになるためである。
私がヨガを続けられなかったのも同じ理由で、少なくとも以前までは短時間で より多くのカロリーを燃やして、
食べても太らないようにすることばかりを考えてきたのだった。
でも最近はワークアウトに対する考えが徐々に変わってきてカロリーを燃やせるスポーツよりも
ストレス解消や、身体のラインがきれいになるようなスポーツがしたいと思うようになってきて、
「今だったらヨガや水泳が続けられるかも知れない」 と考えていたりする。
アメリカでも 現在 最も愛好家が増えているスポーツはヨガで、このトレンドは数年前から続いているもの。
そして それに次いで人気を高めているのがタイ・チー、すなわち太極拳であるという。
逆にエアロビクスや、スピニング(バイク・エクササイズ)、ボクシングなどがその愛好家を減らしているスポーツと言われるけれど、
これらは全てアグレッシブに取り組まなければならないスポーツ。
リセッションだから、ゆったりしたスポーツが好まれるのかとも思ったけれど、
80年代後半〜90年代初頭のアメリカのリセッションの際にはエアロビクスを初めとする
これらのスポーツが人気になっていたので、そういう訳でもないようである。
ところで、昨今のニューヨークではファスト・フードのレストランやカフェが メニューにカロリー表示をするようになっていて、
その数字がオーダーするもののチョイスに少なからず影響してしまうもの。
先週末にブランチをしたカフェのメニューにも カロリー表示があったので、私は680カロリーのエビのサンドウィッチを諦めて、
430カロリーのリコッタ・チーズとイチジクが乗ったオープン・サンドにしたのだった。
他の女友達2人は670カロリーのターキー・サンドウィッチをオーダーしていたけれど、実物がテーブルに運ばれてくると
670カロリーのターキー・サンドはどう見ても350カロリー程度にしか見えなくて、
私のリコッタ・チーズのオープンサンドにしても、日頃230カロリー程度だと思って食べている代物だったので絶句してしまったのだった。
しかも430カロリーも摂取したにも関わらず、満腹感がないだけでなく その後1時間喋っていただけで またお腹が空いてきてしまう始末。
なので、マイケル・フェルプスのことを「1日に1万2000カロリー以上も食べているなんて・・・」と驚いていたけれど、
ひょっとしたら自分も 考えているより ずっと高いカロリーを摂取しているかも知れない・・・と思い始めてしまったのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に
ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。
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