July 24 〜 July 30 2017

”Money Can Buy Happiness, If You…”
幸せはお金で買える!
幸せを買うお金の使い方と、その幸せから得られるものとは?



今週のアメリカで最大の報道になっていたのは、内情がガタガタと指摘されるトランプ政権のホワイトハウスの人事問題で、 金曜にはラインス・プリーバス首席補佐官が史上最短任期で辞任して話題になったけれど、 その前日の木曜朝に報じられたのが、アマゾン・ドットコムの株価が1,071.31ドルをつけたことから、同社CEOジェフ・ベゾス(53歳)の個人資産が900億ドル(約9兆4800億円)となり、 マイクロソフト社のビル・ゲイツ会長(60歳)を抜いて世界の長者番付のトップになったというニュース。
ビル・ゲイツ会長のNo.1は2013年5月から続いてきたもので、現時点での総資産は890億ドル(約9兆8340億円)。 ジェフ・ベゾスやビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェット、また2020年の大統領選挙出馬に興味を示していると言われる フェイスブックのCEO、マーク・ザッカーバーグなど、 桁違いの超メガリッチに共通しているのは、不動産に大金を投じることはあっても、 ファッションや自家用車などには 地味と言えるほど出費を控えていること。

その一方で、今週月曜にはブロンクスを起点に大々的なドラッグ・ディールを繰り広げていた容疑者6人がNYPD(ニューヨーク市警察)によって逮捕され、 その数日後にメディアで公開されたのが、彼らがその膨大な麻薬取引の利益で購入していたラグジュアリー・グッズの数々。 ダイヤモンドを散りばめたゴールド・ジュエリー1点の代金で マーク・ザッカーバーグの日常着10年分を購入しても お釣が来るような豪華さなのだった。




加えてこの容疑者達は、自分たちが購入したラグジュアリー・グッズをソーシャル・メディア上で見せびらかしており、 そのリストは片側だけで数カラットのダイヤモンド・ピアスやオーディマ・ピゲのスペシャル・エディションの時計を含む宝飾品はもちろんのこと、 約35万円のヴェルサーチのベビー・カー、8歳の子供に履かせているグッチのスニーカー、本人たちは90年代に流行ったようなヴェルサーチの シルク・プリントのシャツを着用し、ガレージには写真上のようにロールス・ロイスのゴースト、ランボルギーニ・ウラカンの他に アウディR8スパイダー、メルセデスCLS63 AMG、レンジローバー・スポートなど高級車が並んでいて、 とてもグラフィティで覆われたブロンクスのガレージとは思えないラインナップ。 しかも見るからにラッパーか?、ドラッグ・ディーラーか?と思わせる派手で悪趣味なオプションがあしらわれていて、 麻薬捜査局に「逮捕して欲しい!」とメッセージを送っているような金遣いの荒さを見せていたのだった。

今週逮捕されたドラッグ・ディーラー達はこぞって20代の若さでで、麻薬取引のキャリア(?)が短いと思われるけれど、 実際に長くドラッグ・ディーラーとして稼ぎ続けているベテランになると、決して派手なお金の遣い方はしないと言われるのが実情。 こうした高級車や派手な宝飾品を買い漁るのは、もっぱら物欲がありながらも貧しい生活をしていた人間が 突然大金、それも”イージー・マネー”を手にした場合に起こるリアクションと指摘されているのだった。




同じく今週には、ブリティッシュ・コロンビア大学の心理学の教授、エリザベス・ダンとハーバード・ビジネス・スクールのアシュレー・ウィランズが共著で発表した 「幸せはお金で買える」というレポートがメディアで話題を提供していたけれど、 このレポートの中核となっていたのが4カ国、6000人を対象とした2週間のトライアル調査。 対象者は最初の1週間に40ドルを渡されて それで好きな物を購入するようにと指示され、 次の1週間では同じ40ドルでメイドを雇うなど、面倒な事や煩わしい事を人任せにして時間を節約するように指示されたというけれど、 どちらの週の方が対象者の幸福度がアップしたかと言えば後者。
すなわち 物品ではなく、時間を買っている場合は、お金で人間は幸福になれると結論付けているのだった。

奇しくも今週には、6月に双子が生まれたばかりのジェイZとビヨンセが、子供1人当たり3人、計6人のナニー(子供の世話役)を年収約1100万円で 雇ったことが報じられていたけれど、2人には既にそれぞれマネージャー、パーソナル・アシスタント、シェフ、メイド、ドライバー、セキュリティ・ガードなどがいて、双子以外にも 長女のブルー・アイヴィーが居る訳で、 リッチな人々ほど人件費や、時間&労力を節約する費用が嵩むのは紛れもない事実。
私が6月に出かけてきたマイアミでも、メガリッチなマダムたちは今やビューティー・サロンなどには行かず、 ヘア・スタイリストやメークアップ・アーティスト、ネイリストが自宅にやってくるのが一般的。 こうした出張ビューティー・チームのことは、”グラム・スクワッド”と呼ばれていて、サロンに出かけるよりも遥かに割高であるけれど、 車でサロンまで出掛けて、戻ってから着替えて また出掛ける時間や手間、それに伴うストレスを省くために、 マダムたちが こぞって利用するのがグラム・スクワッドなのだった。




私が尊敬するベンジャミン・フランクリンの最も有名な語録に「Time Is Money」があるけれど、 現在の 裕福であればあるほど時間が買える世の中は、その逆の「Money Is Time」という状況。
もちろん、お金で買っているのは時間だけでなく、その時間に取られる労力やストレスから解放される 心のゆとりも一緒に得られる訳で、前述の調査の対象者が 人を雇うことによって得た幸福感というのは、そんな心のゆとりを意味しているのだった。

人々が常に時間に追われるニューヨークに関して言えば、時間&心のゆとりに喜んでお金を払う人々が多いだけに、 普通のレジデンシャル・ビルディングならば何処でも メイド・サービスの派遣から、洗濯物のドロップオフ(ドライクリーニングではなく、普通の洗濯をしてくれるサービス) を提供している他、犬の散歩はドッグ・ウォーカーがやってくれるなど、時間を欲張りに使いたいニューヨーカーをサポートするサービスが いくらでも存在していたのは周知の事実。
食材の買い出しにしても、宅配サービスの”フレッシュ・ダイレクト”が数年前から定着しており、 そこにアマゾン・フレッシュ等が参入してきたので、ますますストアに出かける手間や時間が 節約出来る状況になっているのだった。

それでもオンラインでオーダーしたり、人を雇ってやってもらう訳には行かないことも沢山ある訳で、その最たる例が通勤。 この夏のニューヨークは、”Summer of Hell / 地獄の夏” と言われる列車と地下鉄の 大幅な遅れが市民の壮絶なストレスになっていて、今年5月の1か月間だけで地下鉄全線の遅れの総件数は6万7000という信じられない数。
マンハッタンに暮らしているニューヨーカーならシティ・バイクや徒歩、Uberでも通勤が出来るけれど、 この夏最悪の被害を受けているのはロングアイランド・エクスプレスを利用する通勤客。

老朽化したニューヨークの地下鉄は、今後2フェイズに分けて 数年間に渡って、システムのモダン化と線路の再整備、車両一新が行われることになっていて、 それが始まれば、現在の地下鉄の”Summer of Hell / 地獄の夏”の状況がほぼ日常化するのは時間の問題。 このため、今以上ニューヨーカーの間では ”職場に近い自宅”、もしくは”通勤ストレスの無い職場”が 毎日の幸福感の鍵を握るだけでなく、ステータス・シンボルにさえなりそうな気配なのだった。


執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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