June 12 〜 June 18 2017

” All Publicity is Good Publicity? ”
トランプ暗殺シーンを描く『ジュリアス・シーザー』と
性的不法行為で撮影がストップした『バチェラー・イン・パラダイス』
パブリシティが明暗を分けた2つのエンターテイメント



毎年夏にセントラル・パークの屋外シアターで行われるのが ”シェイクスピア・イン・パーク” とネーミングされたイベント。
その名の通り、シェイクスピアのプレイが無料で観られるこの企画には、これまでデンゼル・ワシントン、アン・ハサウェイ、 アル・パシーノ、ナタリー・ポートマン等、60人以上のハリウッド俳優が登場しており、言うまでも無く夏のニューヨークの名物。 チケットは朝早くから並んで手に入れるしかないとあって、パフォーマンスが行われる日は朝から行列する人々の様子が 見られるのは毎年のこと。
でも今年は例年に増してその行列が長くなっていて、それというのは5月23日から今日、6月18日まで行われていた 『ジュリアス・シーザー』のパフォーマンスが多大なパブリシティを獲得してきたため。

セレブリティが出演している訳でもないのに、今年の『ジュリアス・シーザー』が話題となったのは、 シーザーを演じるアクターが ドナルド・トランプと思しきビジネスマンとして描かれているため。 もちろん シーザーは劇中にブルータスによって暗殺されるのは誰もが知るストーリー・ラインで、 その演出と暗殺シーンが トランプ支持派とアンチ・トランプ派の間で物議を醸してきたのだった。





そんなパブリシティを獲得すればするほど長くなっていったのが、チケット入手のために並ぶ人々のライン。 私は週に4回ほどセントラル・パークを走っているけれど、今年の行列の長さは過去数年で最高と言えるレベル。
今週水曜には、共和党の下院議員の野球チームの練習中に銃の乱射事件が起こったことを受けて、 トランプ氏暗殺を促すかのようなこのプレイに対して、右寄りのメディアや ドナルド・トランプ・ジュニアが上演中止の抗議をしていたものの、スケジュール通りに上演することが決定。 土曜日には トランプ氏そっくりのシーザー暗殺シーンで、抗議活動者がステージに乱入するという 騒ぎが起こっていたけれど、それが更なるパブリシティをもたらし、今日 日曜の最終日のチケット行列は シアターから遥か離れたアッパー・ウエスト側の道まで続く長さになっていたのだった。
ちなみに土曜のステージに乱入した抗議活動者は、極右メディアの女性ライター。

シェイクスピア・イン・パークは、今日で『ジュリアス・シーザー』が終了した後は、 7月11日〜8月13日まで 「真夏の夜の夢」が上演されることになっているのだった。




今週もう1つパブリシティ、それも不名誉なパブリシティを獲得していたのが、 3大ネットワークの1つ、ABCが放映する人気リアリティTV『バチェラー』の スピンオフ番組、『バチェラー・イン・パラダイス』の撮影中に性的不法行為が行われ、そのプロダクションがストップしたというニュース。
『バチェラー・イン・パラダイス』は、『バチェラー』、『バチェラレット』の過去のシーズンのコンテスタントの中から 視聴者の記憶に残った男女キャラクターをキャスティングし、トロピカル・アイランドでグループ・セッティングの マッチメーキングを行うという番組。
その最新シーズンの撮影がスタートした2日目、6月13日にストップが伝えられたのがそのプロダクションで、 問題の性的不法行為に絡んだのが、現在放映中の『バチェラレット』で 交際中の女性が居ることを隠して番組に参加していたことが発覚して脱落したデマリオ・ジャクソン(30歳)と、 前シーズンの『バチェラー』で最も物議をかもしたコンテスタントのコリーン・オリンピオスの2人(写真下左側)。

コリーンは前シーズンの『バチェラー』の撮影中、いきなりプールでトップレスになるなど、 ”体当たり”でバチェラー、ニックを誘惑したのに加えて、 彼女が気に入らないコンテスタントの悪口を巧みにニックに吹き込むなど、 悪知恵も長けており、同シーズンの悪役としてパブリシティを獲得した存在。

そのコリーンとデマリオという問題児同士のロマンスは、 2人が『バチェラー・イン・パラダイス』の撮影で出会う以前から プロデューサーが描いていた同番組のシナリオで、 もちろん2人にも そのシナリオの指示がプロデューサーから出ていたことが報じられているのだった。






そのシナリオ通りのはずの2人のロマンスが脱線することになった原因は過剰なアルコール。 リアリティTVのセットでは、コンテスタントにクレージーな振舞いをさせるために アルコールの存在は不可欠と言われるけれど、 特に『バチェラー・イン・パラダイス』のセットは、まるで大学生のスプリング・ブレーク(春休み)旅行のような アルコール漬けのパーティー三昧になるのは 過去のシーズンのエピソードが立証するところ。
それでも、これまでは 行き過ぎた行為が起こらないようにプロデューサーがしっかり目を光らせていたとのことで、 過去のコンテスタントはこぞって、同番組の撮影では 状況がきちんとコントロールされているとコメントしているのだった。 しかしながら今回撮影中に起こったのは、目撃者の証言曰く 「まるでポルノ映画のような オーラル・セックス・シーン」だそうで、その場に居合わせた数人のコンテスタントが 「コリーンがデマリオに対して仕掛けたという行為」と語っているのだった。

そのコリーンは泥酔して記憶を失っており、「酔っていたので、性行為に合意するような状態では無かった」と レイプの被害者のような主張を展開。 「自分はあくまで犠牲者で、自分に起こったことは悪夢以外の何物でも無い」として、 ハリウッドの有名弁護士を雇い、ABCに対して訴えを起こす構えを見せているのだった。

一方のデマリオも 「セックスをするには酔い過ぎていた」とコメントし、その性行為を否定しているけれど、 彼とコリーンがプールでただならぬ行為に及んでいたことは、 現場に居合わせた数人のコンテスタントが証言しており、撮影をストップした番組製作元のワーナー・ブラザースは、 撮影中止直後から事態の捜査に入ったことを明らかにしているのだった。
このケースでは事態の一部始終がカメラに収められていることから、事実関係が明確になるのは 時間の問題と見られているのに加えて、 コンテスタントは番組出演に当たって、「放映局や製作元を訴えない」という協約書にサインしているので、 果たしてコリーン側が訴訟を起こせるかは微妙なところ。
とは言ってもABCや番組のプロダクション側には撮影中、コンテスタントの安全を守る義務があり、 今回のケースでは その義務が果たされたとは言えない状況であったのは紛れもない事実。

この不祥事が 今週のメディアで多大なパブリシティを獲得してしまったこと、そして今後もその捜査結果や訴訟問題などが 更なるパブリシティを生み出すことから、TV業界では『バチェラー・イン・パラダイス』がこのまま打ち切りになるという説が 有力視されているのだった。
アメリカでは、長きに渡って「All Publicity is Good Publicity」と言われてきたけれど、 不法行為が絡むパブリシティはその例外。 どちらも今週大きく報じられたエンターテイメント・ニュースであったけれど、そのパブリシティが明暗を分けた印象になっていたのだった。


執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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