May 29 〜 June 4 2017

” Google Knows Real You "
ソーシャル・メディア上の仮面が剥がれる時!
人間の本性と実態はグーグル・サーチに表れる!?



今週のアメリカは、タイガー・ウッズのDUI(ドラッグやアルコールの影響を受けての運転)逮捕のニュースで幕を開け、 週末は またしてもロンドンで起こったテロのニュースで埋め尽くされていたけれど、 その間の火曜日の夜中からは、トランプ大統領がツイートしたミス・スペルの言葉「Covfefe」がソーシャル・メディア上でヴァイラルとなっており、 メイン・ストリーム・メディアまでもが、「これをどう発音するのか?」を話題にしていただけでなく、 "Covfefe.com"のドメインネームを取得する人が現れ、ネット上のスラング・ディクショナリーにも”Covfefe”がいち早く リストされる有り様。大統領が実際にタイプしようとした言葉は「Coverage」であったけれど、 真面目なメディアからは何故ホワイト・ハウス側がこの意味不明で明らかにスペルミスをしているツイートを 削除しないのかを疑問視する声が聞かれていたのだった。
また木曜には、そのトランプ氏がパリ条約からの離脱を発表しているけれど、 これに対しては元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏を始め全米各都市の市長が団結し、 政府不在のまま、地方自治体レベルでパリ条約の規定を満たす方向性が打ち出されたのは世界中に報道された通り。 トランプ政権は移民政策も州の裁判所の違憲判決によってブロックされ、今回のパリ条約離脱のリアクションは 同政権の選挙公約が地方自治体によって事実上、2度目のブロックを受けた形となっており、 こうした状況が続けば、ロシア疑惑でトランプ氏が弾劾されるか否かを問わず、 政府のパワーが弱体化することが見込まれるのだった。




さて、つい最近アメリカで出版されたのが元グーグルのデータ・サイエンティスト、セス・スティーブンズ・デヴィッドウィズの著書、 「Everybody Lies / エブリバディ・ライズ(皆がウソをついている)」。
同書の執筆にあたって、セス・スティーブンス・デヴィッドウィズは、ウィキピディアの全項目をダウンロードする一方で、 フェイスブックのありとあらゆるプロファイルから、人気ポルノサイト、”Porn Hub / ポルノ・ハブ”の ビデオ検索&ビューイング・データまでを逐一チェックし、それを古巣であるグーグルの検索データと比較しており、 それによって彼が辿り着いた結論は、グーグルのような検索データにこそ人々の本心、本性、実際の生活が 赤裸々に表れる一方で、ソーシャル・メディアや世論調査では誰もがウソついたり、見栄を張っているという事実。 彼は自らの著書のリサーチを通じて、現代人の深層心理を知るために グーグル検索のデータほど確実な指針は無いことを確信したと述べているのだった。

例えばグーグルで自分の健康の問題の検索をする人は多いけれど、男性が最もグーグル検索する健康関連のトピックは 自分の性器について。男性は性器に関する検索がどの臓器やどのボディ・パーツ、病気や身体の症状についての検索よりも多いとのことで、 中でも最も多い質問は「どうしたら自分の性器を大きく出来るか?」。
一方、女性は自分の性器についてのサーチをしない替わりに、 ボディ・イメージに関する検索が多く、ダイエットに関する質問も非常に多いけれど、 2004年までは「どうやったらヒップが小さくなるか?」という検索が多かったのに対して、 2014年には全米50州において、「どうやったらヒップが大きくなるか?」という検索の方が多くなったとのことで、 引き続きもてはやされるキム・カダーシアンやジェニファー・ロぺスといったセレブリティのボディ・イメージが大きく 影響していることを物語っているのだった。

また人になかなか相談出来ないセックスのアドバイスをグーグル・サーチに仰ぐ傾向は顕著であるけれど、 男性側は行為を長続きさせる秘訣をサーチする一方で、女性は男性に早くクライマックスを迎えてらもらって 終わらせることをサーチしているという行き違いぶりがそのデータで露呈されているのだった。

加えてグーグルのデータには どんどんセックスレスになるアメリカの夫婦の様子が如実に現れており、 結婚への不満に関するサーチで最も多いのが ”セックスレス”。
「伴侶がセックスをしたがらない」というサーチは、「伴侶が自分と話し合わない」というサーチの16倍で、 「セックスレス・マリッジ」の検索件数は、「アンハッピー・マリッジ」の検索数の3.5倍に上っているという。 また「Is my husband gay?(夫はゲイ?)」という検索は夫に関するサーチのトップで、 それに次ぐ第2位は「夫は浮気をしている?」。
アメリカではハリス・ポール、ガロップ・ポールといった世論調査会社が日常生活の様々なトピックについての アンケート調査を行っており、それによれば既婚のカップルは平均週に1回の割合でセックスをしているとの 結果が得られているけれど、実情はそのアンケート結果からかけ離れている様子を窺わせているのだった。




また、グーグル検索にはフェイスブックに代表されるソーシャル・メディアで描かれるウソが暴かれるケースが非常に多いとのことで、 例えばフェイスブック上で妻が夫について記載する際に用いる表現のトップ5は、”キュート”、 ”私の親友”、 ”スゴイ!”、 ”最高!”、 ”一番!”。 これに対して、妻たちがグーグルのサーチ・ボックスに「My Husband is」の後に タイプする言葉のトップ5は ”ゲイ”、”人でなし、”うっとうしい”、 ”性格が悪い”、”スゴイ!” で、唯一ダブっている”スゴイ”を除いては全く反対の内容になっているのだった。

子供に関して言えば、「子供を持たなかったら後悔する?」と検索する人の数は、 「子供を持ったら後悔する?」と検索する人の7倍。 ところが実際に子供を持った人々が それを後悔する様子を検索する数は、 子供を持たなかった人々がその後悔について検索する数を3.6倍も上回っているのだった。

興味深いのは、性差別が比較的少ないはずのアメリカ社会の親たちの期待度が 子供の性別によって異なるという点で、「自分の息子の能力は長けている」、「息子は天才?」 などと検索する親の数は、同じ検索を娘に対して行う親の2.5倍。 でも近年のアメリカにおいて成績優秀者のプログラムに参加しているのは女児の方が多いのが実情。
これに対して女児を持つ親が最も検索するのは「娘は肥満?」という質問で、 その数は男児についての同じ質問の2倍。でも実際のデータでは男児の肥満率は35%で、女児の肥満率28%を 上回っているのだった。
この2つのデータに表れているのは、親たちが男児に能力を望んで、女児にルックスの良さを望むという 昔ながらの子育ての姿勢で、表向きに親や教育関係者が掲げるスローガンとは 異なっているのだった。

話は替わってトランプ大統領が就任してからというもの、レイシズム(人種差別主義)が過去に無いほど高まっていることが指摘されるアメリカ。 5月初旬にはボルティモア・オリオーズのアダム・ジョーンズがボストン・レッドソックスの本拠地、フェンウェイ・パークで、 猛烈な人種差別の野次を受けたニュースは大きく報じられたけれど、先週にはオレゴン州ポートランドで白人至上主義者の男性が 電車の中でイスラム教の女性2人をなじり、それを止めに入った男性2人をナイフで殺害、1人に怪我をさせる事件が起こっているのだった。
NBAのチャンピオンシップを控えた今週には、クリーブランド・キャバリアーズのルブロン・ジェームスのロサンジェルスの自宅に 人種差別メッセージのスプレーの落書きがされる事件も起こっており、ルブロン・ジェームスのようなスーパースター&マルチミリオネアが、 「アメリカにおいて黒人で居ることは厳しい」とコメントしたばかり。

そんな状況は当然のことながらソーシャル・メディアに現れているけれど、 アメリカにおいて人種差別が悪化したのは、アメリカ初の黒人大統領が誕生してから。
2008年の大統領選挙でオバマ氏が勝利を収めた日には、 俗に”Nワード(Nがつく言葉)”と呼ばれる黒人差別用語をつけたオバマ氏に関する検索が 100件中1件の割合になっていたそうで、これは初の黒人大統領誕生を祝っていたアメリカ社会全体の様子からは 非常に想像し難い事実。
そんな人種差別主義者は南部、中西部に多いというというイメージがあるけれど、 実際にはニューヨーク州のアップステートを始めとするリベラル派が多いと思われているエリアからの 検索も決して少なくないことが明らかになっているのだった。

こうしたデータを分析した結果、セス・スティーブンス・デヴィッドウィズは 「フェイスブック上では 誰もがヴァケーションに行くなど楽しい時間だけを過ごしているけれど、 実生活やその精神状態は大違い」と述べており、 グーグル検索に表れる人々の実態と最もかけ離れているのが、ソーシャル・メディア上の偶像であることを その動かぬデータ分析から明らかにしているのだった。




それを思うと、アメリカのVISA審査の際にソーシャル・メディア上のアクティビティがチェックされことになったという 新しいポリシーが どれだけ危険人物の割り出しに効果的かは疑わしいように思うけれど、 それとは別にサウス・ウェールズ大学の調査によって明らかになったのが、 ソーシャル・メディア上で「Like/いいね」のリアクションを多数獲得しても、実生活で本人が落ち込んでいる場合、 不安な状況にある場合は、それが気持ちを改善する要因にはならないという事実。
加えて同じ調査によれば、「いいね」を獲得するために様々なところに出掛けたり、事あるごとに写真を撮影する人々ほど、 「自分に自信が無く、人間的にも信頼できない」とまでこの調査結果では述べられているのだった。 更には そうした人々がポストする写真は、自分の好みよりも 「いいね」を多数獲得する目的が優先されるため、 益々ソーシャル・メディアのフィードが自分自身からかけ離れていく様子を窺わせているのだった。

一般人が本当のことを書かないのはソーシャル・メディアのポストだけではなく、商品のレビューにおいても然り。 かつてアマゾン・ドット・コムなどにおける商品のレビューが、メーカーによってフィーの支払いを受けているフェイク・レビューアーによるものが 大半であることが問題になっていたけれど、新たな調査で明らかになったのは インターネット上のありとあらゆるレビューの34%が確実にフェイクであるというデータ。
メーカーから支払いや割引クーポンなどを受け取らなくても、メールでレビューを促されたり、自分のレビューの数を増やすために 買っていない商品、行っていないレストラン等のレビューを書く人は多いようで、「自分が欲しい商品だから…」、 「嫌いなブランドやストアの商品やサービスを批判したいから」 という個人的な感情で 実態の無いレビューを書いてしまうと回答した人は全体の24%。 レストランのレビューの最大手”Yelp/イェルプ”でこうしたフェイクレビューを書いたと回答した人々は11%、 アマゾンになるとそれが45%にまでアップしているのだった。
でも「現代人はフェイク・レビューが含まれていることを理解している」と回答しながらも、 自らフェイク・レビューを書いた経験がある人々を含めた34%が 「レビューを参考にする」と回答するパラドックス状態。

同様のことは、「現代人がソーシャル・メディア上に描かれているような人生を送っていない」のを知りつつ、 それをチェックしては自分の生活と比較して落ち込む人々が多い様子にも反映されており、 1日に30分以上ソーシャル・メディアのフィードをチェックしている人は、 精神的に落ち込む確率が、ソーシャル・メディアに殆ど関わらない生活をしている人々に比べて60%近く高くなっているのだった。


執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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