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May 26 〜 June 1 2008
” Sex And The City, Better Than Ever? ”
今週月曜はメモリアル・デイの休日だったけれど、この日付けのニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたのが
民主党のバラック・オバマ大統領候補を 強烈に支持してきた 黒人トークショー・ホストで、ハリウッドで最もパワフルかつ、最も稼いでいる
オプラ・ウィンフリーの人気が今年に入って下降線を辿っているという報道。
オプラ・ウィンフリーと言えば、長寿番組のデイタイム・トークショーに加えて、ケーブル・チャンネルを運営し、雑誌「O」を出版する一方で、
自らのプロダクションがTV番組や映画制作、ブロードウェイのショーのプロデュースなども行い、
アメリカでは 最も女性に対して影響力を持つセレブリティとして知られてきた存在。
また彼女の番組で紹介されたプロダクトは、書籍の「シークレット」の大ブームに代表されるように、
必ずベスト・セラーになることで知られており、彼女のトークショーには映画やプロダクトを売り込むために、
昼間の番組とは思えないような 大物セレブリティがゲストとして登場することで知られていたりする。
そんなオプラ・ウィンフリーが「果たして大統領候補も売り込めるか?」 と言われたのが、彼女が猛然とプッシュする
バラック・オバマ候補であったけれど、彼女はオバマ候補のために 選挙資金集めのパーティーを自らの邸宅でホストしたり、
ミシェル・オバマ夫人に自分のスタイリストやメークアップ・アーティストを派遣するなど、
尋常ではないほどの熱の入れようを見せていたのだった。
しかしながら、この自らのセレブリティ・パワーを特定候補の選挙運動に発揮する姿勢は 彼女の番組の人気をこれまで支えてきた
白人女性層、ことにヒラリー・クリントンを支持する女性達や共和党支持者の女性達に大きな反感を買い、
オプラ・ウィンフリーのウェブサイト、オプラ・ドット・コムには 今年に入ってから 「どんなプロダクトのプロモーションをしても構わないけれど、
大統領選の候補までプロモートするのは行き過ぎ」といった批判的な意見をポストする視聴者が増えていたという。
その結果、過去3年続いていたトークショーの視聴率低下が 今年に入って大きく拍車が掛かったのに加え、
雑誌の売り上げも落ちており、今後新たなケーブル・チャンネルをスタートする予定だったオプラ・ウィンフリーのプロダクション、
ハーポ・コーポレーションにとっては不安材料となっているという。
昨今では、オプラ側では視聴者の反感を受けて、またオバマ候補側では特定のセレブリティとの親密な関係をイメージ付けるのを避けて、
お互いに距離を置いている 両者であるけれど、オバマ候補が大統領に当選したとしても、しなかったとしても、
彼に対して度を越えた支援を見せたツケがオプラ・ウィンフリーに回って来るのは必至という感じである。
その一方で、週末のニューヨークで最も大きく報じられていたのが、金曜午前8時に またしても起こったクレーン車の崩落事故。
ニューヨークでは3月にも高層ビル建設現場で、資材を持ち上げるクレーン車が向かいのビルに崩れ落ちて、7人もの死亡者を
出したばかりであったけれど、その間にもフロリダでクレーン車の崩落事故が起こっており、今回の事故についても
近隣の住民は何度と無く、その危険性を市のビルディング・デパートメントにレポートしていたという。
ここまで クレーン車の事故が続いているだけに、偶然というよりも クレーンの構造自体に問題があるとの指摘も聞かれているけれど、
確実に言えるのは 高層ビルの建設現場付近には近寄らないに越したことは無いというのことである。
この事故のせいで、金曜の朝10時から この日アメリカで公開となった 「セックス・アンド・ザ・シティ 」 を観に行くことにしていた私は、
交通渋滞を考慮して 家を早く出なければならなかったけれど、昨年7月に製作が発表され、9月からニューヨークでの撮影がスタートした
同作品が もう公開にこぎつけてしまったのは 時間の経過の早さを感じるばかり。
さて、その 「セックス・アンド・ザ・シティ」 は クリティックの前評判は決して芳しいと言えるものではなく、しかも上映時間は
この手の娯楽作品としては極めて長い 2時間15分。なのでことに男性の批評家からは「長過ぎる」、「自己陶酔的なシーンが多すぎる」、
「恥じ知らずなほどのプロダクト・プレースメント(スポンサー・プロダクトを映画のシーンに登場させること)」といった
批判が聞かれていたのだった。
では、TV番組を1シーズン目の第1エピソードからリアル・タイムで見続けてきた 番組のファンである私の感想と言えば、
「2時間15分が1時間半程度に感じられて、楽しめた」 というのが本音であるけれど、もう一度映画館で観たいかと言えば「No」。
今年のクリスマスにDVDが発売されたら買うか?と訊かれれば それも「No」。 来年春にHBOが映画を放映したらDVDに録画をするか?
と言われれば 「 Yes 」 という感じで、100点満点で採点すれば76点というのが私の正直な意見である。
では、その76点の減点がどこから来ているかと言えば 最大の要因は サプライズが全く無いストーリーで、
多くの批評家が同映画を批判していたことの1つに
「プレディクタブル / 予測可能」ということがあったけれど、実際にストーリー・ラインに止まらず、Eメールのパス・ワードといったディテールまでが見え見えで、
キャリーとビッグが何処で出会うか、2人が最後にどうするか?、キャリーがその時に何を着用するか?まで、
画像で見せられる前に 全て予測出来てしまうほどに あまり頭を使っていない展開だったのである。
むしろ30分もののTVシリーズの方が、4人のメイン・キャラクターがそれぞれに めぐり合う男性との関係がどうやってダメになるかが分からない、
でも実際に起こってみると、似たような経験を自分や周囲がしている、 というような 面白み味や 意外性、親近感があったもの。
とは言ってもTVのファンが観てガッカリするような出来では決してないし、何よりニューヨークの女性だけでなく、世界各国の女性が
敬愛する4人のキャラクターのその後が見られたのは嬉しい限り。
加えてデジタル効果のせいで、シワや浮き出た血管、余分な脂肪が全て取り除かれた 4人のキャラクターは
過去3〜4年の時間の流れを感じさせないどころか、シーズンNo.6の頃より若く見えたほどだった。
さてCUBE New York では、 「セックス・アンド・ザ・シティ」 がクランク・インしてから、同映画の情報を8ヶ月に渡ってレポートし続けてきたけれど、
合計で1時間以上のシーンがカットされたというだけあって、記事で紹介したシーンで 映画には登場しなかったものは沢山あるし、
スティーブの母親についても事前の噂では映画の中で死んでしまうとのことだったけれど、実際には会話の中にその存在が1度登場しただけ。
また、サマンサの50歳のバースデーを4人で祝うと言われていたのが、今やブリッジス&トンネル(マンハッタン外からやってくるおのぼりさんという意味)専門の
レストランに成り下がってしまったブッダカンであるけれど、実際にはキャリーとビッグのリハーサル・ディナー
(結婚式前の夕食会)が行われたのがブッダカンであった。
更に クリスティーズのオークション・シーンは、キャリーがヴォーグ誌の撮影でつけたジュエリーが競売に掛けられるといわれていたけれど、
映画の中でオークションに掛けられたのはサマンサが手に入れようとしていたジュエリー という具合で、映画の内容と
事前に報じられていたディテールは 少々異なっていたのだった。
この他にも、登場すると言われて登場しかなったシーンや人物、アウトフィットが沢山あるけれど、逆に事前に報じられていた通りだったのは
キャリーが売れっ子のライターになっていること、ビッグと家探しをして、結婚にこぎつけること、ヴォーグのグラビアにフィーチャーされること、
式の当日に結婚がお流れになること、スティーブの浮気が発覚すること、シャーロットが養子の娘の他に、自分の子供を妊娠すること、
サマンサがウエスト・コーストに移住していて、セクシーな隣人に興味を示していること、などなど。
実際にこれらの事実をつなぎ合わせていくと、そのまま映画のストーリーになってしまうほど ストーリーは事前に明らかになっていた通り。
それでも アメリカで春先に放映されて低視聴率に泣いた 類似番組の「カシミア・マフィア」や「リップスティック・ジャングル」などに比べれば、
まず台詞が遥かに面白いし、4人のメイン・キャラクター全員の好感度が高いこと、
さらにファッションのグレードの高さも類似番組とは比較にならないほどで、
この週末に多くの女性達が映画館に足を運ぶだけの理由は 十分にあると言えるのが同作品なのである。
私が個人的に映画館で意外に思ったのは、朝の10時からという時間帯のせいか、ティーンエイジャーや20代前半にしか見えないような
女性の観客がとても多かったこと。
「セックス・アンド・ザ・シティ」 はTV版が30代、映画版では40代になったメイン・キャラクター4人を描いてるので、
彼女らにとっては 「セックス・アンド・ザ・シティ」 はこれから自分達が迎えるかもしれないライフスタイル的に映っているようだけれど、
実際に 現在ブルックリンに住んでウェブサイトのブロガー(ブログのライター)をしながら
フリーランス・ライターをしているような20代の女性の多くは、TV版の 「セックス・アンド・ザ・シティ」 を観て、
サラー・ジェシカ・パーカー演じるキャリー・ブラッドショーを目指してニューヨークに出てきた例が非常に多いという。
そのTV版の 「セックス・アンド・ザ・シティ」 で ”リアリティが無い” と指摘されていたのが、忙しいはずの4人が
しょっちゅうブランチなどで顔を合せたり、フリーランス・ライターという 本来なら貧しい職業であるはずのキャリーが アッパー・イーストサイドに
暮らすマノーロ・マニアであるという点。 なのでキャリーを夢見て ニューヨークに出てきた女性達は、
まず友人と一緒に優雅にブランチに集まる時間などそうそう無いこと、そしてニューヨークでレントを支払ったら、
マノーロ・ブラーニックのシューズをポンポン買うお金など残らない
という現実を思い知らされるようで、このことは映画の製作が決まる以前のニューヨーク・タイムズ紙の記事にもなっていた事実である。
さて、映画の中のキャラクター同様、30代から40代になったのが 彼女らを演じる女優陣で、サラー・ジェシカ・パーカーは43歳、
弁護士のミランダを演じるシンシア・ニクソンは42歳、シャーロットを演じるクリスティン・デイヴィスは43歳、そしてサマンサを演じる
キム・カトゥラルについては 映画の中で50歳のバースデーを祝っているけれど、実際には51歳である。
キャリーと結婚するミスター・ビッグこと、ジョン・ジェームス・プレストンを演じる クリス・ノースについては
映画の中の年齢は不明であるものの、彼自身は53歳という年齢で、映画のシーンでは すっかり肉がついた顎のラインがとても目立っていたのだった。
映画の中ではキャリーを含む4人のキャラクターも、ミスター・ビッグも 英語では ”Reading Glasses ” と呼ばれる
老眼鏡を掛けており、もう若くないキャラクターの側面を見せていたのだった。
でも もう若くないだけに、TV時代はシューズにお金を使い果たして 貯金も無かったキャリーが、
すっかり経済的に自立した様子を見せており、映画版のキャリーだったらマノーロ・ブラーニックを何足持っていても、
自宅でラップトップでタイプをしながら マンハッタンの1ベッドルーム・アパートの家賃に相当するお値段の ニナ・リッチのセーター (写真右) を
着ていても、以前ほどの違和感は感じられなかったりする。
主演のサラー・ジェシカ・パーカーによれば、映画のコンセプトになっているのは「愛情、許し合うこと、友情、そして20代の恋愛ほど
シンプルではない40代の恋愛」とのことで 、 キャリー、ミランダ、サマンサがそれぞれ置かれている状況と対比して、
新たに加わったキャリーのアシスタント役、ルイーズが シンプルに結婚に踏み切れる20代の恋愛を象徴する存在となっている。
このセントルイスからやって来た、ルイ・ヴィトンが好きなルイーズ というダジャレのようなキャラクターを演じているのが、
映画「ドリームガールズ」で見せた圧巻の歌唱力で 2007年のオスカー 助演女優賞を獲得したジェニファー・ハドソン。
映画では 最初に流れるテーマソングをファーギーが、最後に流れるテーマソングをジェニファー・ハドソンが
それぞれ担当しているけれど、このシンガーとしてのコマーシャル・メリットを考慮したとしても、 どうして彼女が
キャリーのアシスタント役を演じることにしたのかは 少々首を傾げるチョイスである。
映画を見た人なら誰もが感じるのはジェニファー・ハドソンが演じる20代のルイーズの方が 40代のキャリーよりも遥かに落ち着いていて、
ルイーズが40代、キャリーが20代のように見えてしまうこと。したがって、映画の制作側が意図する 20代と40代の 恋愛&結婚観の相違は
見る側にはそれほど顕著にアピールされていないのが実情である。
ところで キャスト・メンバー達は公開前のインタビューで それぞれに、TV版の 「セックス・アンド・ザ・シティ」 が30代の女性達のライフスタイルや、人生観を変えたのと同様、
映画版の 「セックス・アンド・ザ・シティ」 は40代の女性達のライフスタイルや人生観を変えると思うと語っていたけれど、
残念ながら これは少々時代遅れ的な見解と言えるもの。
というのも、映画の製作が始まる遥か以前から 20代、30代の年下男性と付き合う40代の女性を「クーガー」と呼ぶ現象が
アメリカではスタートしてしており、20代の女性と40代の女性が 30代の男性を奪い合うリアリティTVが放映されている一方で、
元スーパーモデルのエル・マクファーソン、女優のデミー・ムーアなどが 「40代を過ぎても 若く美しいセレブリティ」 として
メディアで特集が組まれるなど、 少なくとも アメリカでは 「セックス・アンド・ザ・シティ:ザ・ムービー」における40代の女性像が
特に新しいという印象は無いのである。
ところで、4人のキャストが合計で300回のコスチューム・チェンジを見せる 「セックス・アンド・ザ・シティ」 であるけれど、
どんなアウトフィットよりも 映画館内の観客がうなり声とため息を上げていたのが ミスター・ビッグがキャリーのためにクリエイトした
超ゴージャスなクローゼット。
逆に評判が悪かったのは、マノーロ・ブラーニックやクリスチャン・ルブタンの靴を履く4人のキャラクターがマニキュアも
ペディキュアもしていないこと。
その一方で、私が映画について話した友人の間で 最も評判が良かったキャラクターは サマンサ。
台詞で一番美味しいところを貰っているの加えて、一番笑わせてくれたキャラクターがサマンサであるのは 私も全くの同感なのである。
さて気になるボックスオフィスの成績であるけれど、 「セックス・アンド・ザ・シティ」 は
先週公開されたインディアナ・ジョーンズを約$8ミリオン差で抑えて、No.1に輝いており、
週末3日間の売り上げは$55.7ミリオン(約58億円)。これは主演が女優である映画の
オープニング売り上げの新記録であると同時に、アメリカで ”R” とレイティングされるヌードシーンや、アダルト言語を含む
コメディとしても 最高額のオープニングであるとのこと。
加えて製作が決定した時点で、配給元のワーナーブラザースでは
公開1週目で$25ミリオン程度の売り上げしか 見込んでいなかったと言われるから、
「セックス・アンド・ザ・シティ : ザ・ムービー」 の続編が製作されるのは 時間の問題と言えそうである。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に
ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.設立。以来、同社代表を務める。
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