Mar. 28 〜 Apr. 3 2016

”You Don't Know What You're Eating ”
パルメザン・チーズ、オリーブ・オイル、コーヒーまで、
食品業界を信用してはいけないこれだけの理由!



今週金曜は、4月1日のエイプリル・フールであったけれど、ソーシャル・メディアが普及してからというもの、 年々手が込んで来ているのが企業ぐるみのエイプリル・フール・ジョーク。
今年も、様々な企業が有り得ないプロダクトの発表ニュースやCMをエイプリル・フール・ジョークとして 発信していたけれど、私が個人的に最もウケてしまったのが写真上のH&MのフェイクCM。 まるで一流デザイナーとのコラボレーションかのように「マーク・ザッカーバーグ For H&M」と タイトルされた広告は、フェイスブックのCEOのシグニチャー・スタイルである グレーのTシャツとジーンズのパッケージ・ライン。
企業CEOとして様々な決断を下さなければならないマーク・ザッカーバーグが、毎日着る服を選ぶために その能力を使いたくないことから、毎日同じ服装をしているポリシーは知られているけれど、 その彼のコメントをフィーチャーした広告は、リアリスティックでありながらも笑えるユーモア。 H&Mにとっても、マーク・ザッカーバーグにとっても、イメージ的にプラスな広告に仕上がっていたのだった。
その他にも、ダトマス大学のフットボール部のコーチが ロボットをプレーヤーに加えるプログラムを明らかにしたかと思えば、保険会社のEシュランスは いかにもアンチ・トランプ派を狙うかのように ”嫌いな候補者が大統領になった場合、次の選挙までカナダに移住するための保険” のフェイクCMを作成して メディアで発信していたのだった。




その大統領予備選に目を移すと、選挙キャンペーンをスタートして以来、最悪の局面を迎えたと言われたのが今週のトランプ陣営。
まず火曜日には選挙マネージャーを務めていたコーレイ・ルワンドウスキー(写真上左、左側)が、 女性レポーターに対する暴力行為の容疑で起訴されているけれど、 警察がその様子を捉えたビデオを証拠に立件しているにもかかわらず、トランプ側は容疑を否定し、 女性レポーターを嘘つき扱いすると同時に 訴訟をほのめかすという常套手段で対抗。 でもそのコーレイ・ルワンドウスキーは 共和党関係者に加えて、トランプ陣営内部からも 批判の声が上がっていた人物。 以前にも暴力で問題を起こした過去があるのに加えて、トランプ陣営のスタッフさえトランプに近づけないように 周囲を仕切ることで知られており、トランプについて一度でもネガティブなことを書いたメディアには 選挙イベントのプレス・パスを発行しないなど、「トランプがヒットラーなら、ルワンドウスキーはゲシュタポ」 と言われる存在。
ドナルド・トランプ自身は彼を擁護する立場を貫いていたものの、トランプ陣営は これを機にルワンドウスキーの権限を小さくしようと躍起になっていることが 伝えられたのが今週なのだった。

でもトランプ陣営にとって、今週もっと致命的だったのは、まずワシントン・ポストのインタビューで、 ISISに対する核兵器の使用、及び「日本と韓国が 北朝鮮問題をアメリカに頼らず、 核兵器を保有して 自力で解決すべき」と、 核拡散防止とは正反対の無責任な発言で人々を唖然とさせたのも束の間、 水曜にはMSNBCとのインタビューで、「人工中絶を行った女性に刑事責任を問うべき」との発言をして 中絶賛成派、反対派の双方から大バッシングを浴びる結果になったのだった。
しかしながらそのリアクションに驚いたトランプは、1時間後には「女性ではなく、中絶を行った医師を罰するべき」と訂正。 その直後には「州ごとに中絶に関する法を定めるべき」と更なる訂正をし、 その翌日には 「中絶は現行の法律のままであるべき」とコメント。そして金曜には 「自分が大統領になったら中絶を定めた法律を改める」と語る支離滅裂ぶりで、僅か48時間程度の間に 中絶問題について5回も意見をひるがえしているのだった。
週末にはメディアに「これまで中絶手術を受けた女性と付き合ったことがあるか?」と痛い質問を尋ねられて、 その答えを拒否しており、彼自身が外交及び軍事問題だけでなく、中絶問題にも不用意であることを露呈していたのだった。




その一方で今週に発表されたのが、キャンベル・スープが来年半ばまでにBPA(Bisphenol-A)を含む缶容器を使用を止めるというニュース。 そのBPAは 同じく今週発表されたデータによれば、缶詰食品全体の70%に含まれていることが明らかになっているのだった。
BPAは 過去40年に渡って缶詰、缶ドリンク、乳児用のミルクボトルや水のペットボトルを含むプラスティック容器に用いられてきたケミカルで、 胎児を含む全ての人間の健康状態に悪影響を及ぼすもの。
成長期にこのケミカルが継続して体内に入ると、うつ病、学習障害、注意欠陥障害の原因になる他、 甲状腺の問題や、男性のED、女性の不妊症、乳がん、白血病、アルツハイマーの原因になることが明らかになっているケミカル。
またBPAは様々なホルモンに影響を与えるけれど、 中でも少量のBPAが多大な影響を及ぼすのがインシュリン。 実際、マウスでの実験によれば BPAを与えたマウスは体脂肪が1300%増えたのこと。
したがってプラスティック容器の使用はもちろん、BPAが含まれた容器にパックされた食べ物、ペット・ボトルの水の摂取などで、 BPAが体内に多量に入っている人ほど太り易い体質であることが指摘されており、 現代のアメリカの肥満社会の原因が、ファスト・フードやプロセス・フードの食べ過ぎと共に、 それらの容器から体内に混入するBPAにもあるとも指摘されているのだった。

でも 現在の世の中で心配しなければならないのは容器だけではなくて、食べ物自体も然り。 今年2月に報じられたのが、アメリカの大手チーズ会社のパルメザン・チーズが、ラベルに謳った100%パルメザンとは名ばかりで、 実際にはパルメザン・チーズが全く含まれていなかったというニュース。 このパルメザン・チーズとは、パスタなどに振り掛けるために既にグラインドされた粉状のもので、 パルメザン・チーズの替わりに何が用いられていたかと言えば、 パルメザンより遥かに安価なチェダー、スイス、モッツァレラ といったチーズに加えて木材のパルプ。 これらをケミカルでパルメザンの味とテクスチャーに安価に仕上ていたとのことで、 FDA(連邦食品医薬品局)が企業の刑事責任を追及することを明らかにしていたのだった。 とは言っても、市場に出回っている他社の粉状パルメザン・チーズにしても、「40%がパルメザンであれば、かなり良心的」と言われるのが 工場生産チーズ業界の実態。

またコーヒーの豆の価格が急騰してからというもの、既に挽いて粉状で販売されているコーヒー、 及び1杯分がパッケージで販売されているコーヒーに含まれていると言われるのが、 木の枝、コーン、大豆、そして泥。これらがコーヒー豆の量を減らしても味に深みを出す要素。
もちろんスターバックスを始め、多くのコーヒー・ブランドやチェーンがケミカルを用いて 味を演出したり、カフェインを増やしているのは今に始まったことではないし、加工肉にしてもガラス・クリーナーと同じ成分のケミカルが 肉の柔軟剤に用いられているなど、物を食べるということが どんどん危険なご時世になっているのだった。



それだけでなく、オリーブ・オイルにしてもイタリア、アメリカの大手ブランドになると、マフィアが生産に絡んでいて、 「エクストラ・ヴァージン」、「コールド・プレス」を謳っていながら、 実際には菜種油やひまわりの油などが大量に混じっているとのこと。
そうかと思えば、今やサーモン、マグロなどの巨大魚に含まれる水銀の量が益々増している一方で、海水の放射能汚染による 魚への影響も指摘されて久しい現在。なので、ヴェジタリアンやヴィーガンになる人も多いけれど、 昨年末に報じられたのがブルックリンのオーガニック菜園から収穫された野菜に、 通常のノン・オーガニック野菜の3倍のケミカルが検出されたという事実。 農薬が土から抜けるのに約50年が掛かると言われるけれど、長年工場であった土地では たとえ栽培に農薬を使わなくても、土からもっと悪質なケミカルが混入するのは避けられない事態。 土を他から持ってきても、栽培エリアを完全隔離しない限りは地下水からケミカルが土に入ってしまうので、 せっかくオーガニック菜園を作ったところで、実際には更に多くの、そしてより悪質なケミカルを身体に入れるだけになってしまうのだった。

さらに今週には、FDA(連邦食品医薬品局)が ベビーフードに含まれるヒ素の量の制限に乗り出したこともニュースになっていたけれど、 特にFDAが規制しようとしているのは生後数ヶ月の乳幼児の多くが主食とするライス・シリアルのこと。 食生活の中で 発がん性をもたらすヒ素が体内に入る可能性は様々なところにあるけれど、中でもお米は最もヒ素が混入し易い穀物。 乳幼児は身体が小さいため、大人の3倍もヒ素の影響を強く受けることから FDAが規制に乗り出しているけれど、 成人に対しても、「米の摂取は健康的なダイエットの一部に留めるべき」と警告されているのだった。
それ以外にも、がん、白血病、アレルギー、自閉症の原因になるGMO(遺伝子組み換え)食品も避けなければならないけれど、 アメリカでは未だGMOに関してはラベル規定が無いので、GMOを恐れる人々はトマト、コーン、大豆など、写真上の 遺伝子組み換え技術が導入されている食物を徹底的に避けているのが現状なのだった。

ところで私の友人はミッドタウンの超高級ホテルでメイトルディをしているけれど、 そのホテルの常連客の大金持ちに、物凄く食べ物に煩い人物が居るとのこと。 その男性はベーグルに挟むスモーク・サーモンが何処で獲れたサーモンかを尋ねたり、 フルーツ・ジュースはオーガニックの絞りたてしか飲まなかったり、 卵、コーヒー、紅茶までオーガニックをいちいち指定し、調理油の種類までチェックするので、 どんな職業なのかと思っていたところ、シリアルなどを手掛ける某大手食品会社のエグゼクティブであったとのこと。
自分の会社の製品など絶対口に入れないような彼の食生活を見て、 私の友人は「スーパーで売られている食べ物が恐ろしくなってしまった」と言っていたけれど、 そのエグゼクティブはゴージャスでもなければ、 ライカブルな(好感が持てる)訳でもないけれど、肌はツヤツヤで 髪の毛もフサフサ。 彼の会社の食品を毎日食べているアメリカ人のような肥満体型にもならず、 いつも見るからに高額なスーツを着用しているとのことなのだった。

そんな話を聞くと、一体何を食べるのが一番健康に無害なのか、分からなくなってくるけれど、 大手食品会社のエグゼクティブのように何から何までオーガニックの最高級食材にこだわれない人に出来ることは、 リスクを上回るメリットやベネフィットがある食材を選ぶこと、 調理の手間を惜しまず、加工食品を摂取しないように心掛けること、 そしてトキシックが脂肪と共に体内に居座らないように、食べ過ぎに注意することも大切なようなのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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