Feb. 20 〜 Feb. 26 2017

"And The Winner Is… Brad Pitt!"
ブランジェリーナ離婚劇、軍配が上がったのはブラッド・ピット、
敗れたのは闘いを仕掛けたはずのアンジェリーナ…!?



私がこのコラムを書いている2月26日、日曜日はハリウッド映画の祭典であり、その栄光栄誉であるアカデミー賞授賞式。
2017年の授賞式シーズンは、トランプ新大統領誕生と、その政策に対するハリウッドの反発を受けて、 例年に無く政治色の濃いものになってきたけれど、 オスカーにおいても 既に外国映画賞にノミネートされた5作品の監督全員が連名で、現在のアメリカの政策に抗議をすると同時に 「誰が受賞したとしても、その賞を世界のユニティのために捧げる」という声明を発表するなど、 ハリウッドと政治が切り離せない現状を垣間見せているのだった。

そのハリウッドとプレスは、自他ともに認めるトランプ新大統領の宿敵と言える存在。今週は大統領報道官のブリーフィングから、 ニューヨーク・タイムズ、CNN、ポリティコ等、リベラル派寄りのメディアが締め出されるという事態が起こっていたのは世界中で報じられた通り。
その新大統領の宿敵が、大挙してホワイトハウスに集まるイベントが毎年4月に行われるホワイトハウス・コレスポンダント・ディナー。 通常、このイベントではプレスとセレブリティを前に大統領がコミカルなスピーチをする一方で、ゲスト・スピーカーやホストが 大統領をからかうスピーチをするというユーモラスなイベントで、大統領を始めとするホワイトハウス側の要人やスタッフと プレスの懇親を図る目的のフォーマル・パーティー。 でも土曜日には、新大統領が今年の同イベントには出席しないとツイートしており、これはプレスに対する さらなる宣戦布告を意味する行為。
その一方で、大統領にフェイク・メディア呼ばわりされたニューヨーク・タイムズ紙は、 史上初めて オスカーの番組中に30秒のCMを放映し、「事実を報道することが今、これまでになく重要になっている」というメッセージを 打ち出しているけれど、これに対しては例によって新大統領がツイートで応戦する有り様。
でも多くのアメリカ人は そんな大統領のツイートや、移民&LGBTに対する差別政策にウンザリしているようで、 最新のアンケート結果では新大統領の支持率は44%。 近代に入ってからの歴代の大統領の中で最低の数字になっているのだった。




さて、オスカーというと華やかなレッド・カーペット上のファッション・ショーが毎年話題になるけれど、 過去のオスカーのベスト・モーメントに必ずと言って良いほど選ばれるのが、ブラッド・ピット&アンジェリーナ・ジョリーが 揃ってレッド・カーペットを歩いた2012年の授賞式。この時はアンジェリーナが着用していたヴェルサーチのヴェルヴェット・ガウンから 右脚を露出するポーズ(写真上右)が大きな話題になったのだった。
その2人は2016年9月にアンジェリーナが一方的に離婚申請を行い、現在離婚訴訟の真っ最中なのは周知の事実。 離婚の条件として アンジェリーナが養育費を拒む代わりに、子供達の単独の親権を要求しているのだった。

でも後に報じられたのが、実は2人の離婚は数ヶ月前からお互いが合意していたもので、 子供達のためにスキャンダルを極力避けようと 時間稼ぎをしているはずの間に、 アンジェリーナが抜き打ちで行ったのが離婚申請。 したたかなアンジェリーナは既に離婚のための周到な準備をしており、ブラッド側を 突然の離婚申請のニュースと共に驚かせたのが、ロサンジェルスのチャイルド・プロテクション・サービスと FBIが彼に対する児童虐待容疑の捜査に入ったというニュース。
これはアンジェリーナが離婚を申請する直前の9月14日に、フランスからロサンジェルスに向かうプライベート・ジェット機内で、 ブラッドと長男のマードックが口論になっており、この時ブラッドがマドックスに対して暴力を振るったという 匿名通報が寄せられたための捜査。 もしブラッドの児童虐待が立証された場合、アンジェリーナは法廷で争うことなく単独の親権が獲得できるのは言うまでもないこと。 加えてブラッドのマリファナ常用、アルコール多量摂取や、彼が怒りに任せた行動をする問題等がアンジェリーナ側から指摘され、 ブラッドは第三者の立ち合い無しには子供達に面会さえ許されない状況になってしまったのだった。

アンジェリーナが単独の親権にこだわっていたのは彼女が離婚後にイギリスへの移住を計画していたためで、 それはブラッド・ピットと親権をシェアしていては、子供達を国外に移住させられないので実現不可能。 過去数年間にチャリティ活動や国連の親善大使の役割を通じて、英国ハイソサエティと 強力なコネクションを築いたアンジェリーナは、英国貴族院のメンバーとなり、 やがては国連大使になる野心を持っているとのこと。 このため、ハリウッド離婚のプロと言われる弁護士を雇い、英国ハイソサエティのメンバーを味方につけたアンジェリーナは 離婚申請直後は、確実にブラッド・ピットを上手く出し抜いて、先手を打ったという印象を与えていたのだった。




でも、そこから始まったのがブラッド側の巻き返し。
離婚に際してあらぬ容疑を掛けられたブラッド・ピットの様子はハリウッドでは同情を買い、 まず彼の擁護に乗り出したのがブラッド・ピットの友人達。 シンガーのメリッサ・エスリッジもその1人で、彼女によればアンジェリーナとブラッドが一緒になってからというもの、 ブラッドに会えなくなったハリウッドの友人は沢山いるそうで、そんな友人達はこぞってアンジェリーナを信頼していなかったとのこと。
その一方で、アンジェリーナの攻撃に出たのがジェニファー・アニストンの友人達。 コメディアンでジェニファー・アニストンの親友として知られるチェルシー・ハンドラーは、 自らがホストする番組内で、ブラッド・ピットに向かって 「あんな頭のおかしい女と結婚するからそんなことになるのよ!」と呼びかける有り様。
そうかと思えば、ケイト・ハドソンを始めとする独身女性セレブリティの数人が「ブラッド・ピットが独身に戻ったのだったら、デートしたい!」などと コメントしており、ハリウッドにおける チーム・ブラッド VS. チーム・アンジェリーナの比率は、ヒラリー・クリントン支持者VS.トランプ支持者同様、 大きく前者に偏っていたのだった。

そんなハリウッドの友人達が声を大にしてブラッド・ピット支持を打ち出している間に、 アルコールとマリファナをカットして、クリーンなライフスタイルに戻ったブラッド・ピットは、 1月に行われたゴールデン・グローブ賞授賞式で、彼がプロデュースするノミネート作品「ムーンライト」のプレゼンターとして 予告も無しにサプライズ登場(写真上右)。 一時は老け込んでいた彼が、フィットしたボディと若々しいオーラで登場した姿には、会場中がスタンディング・オーべーションになっていたけれど、 その席で立証されたのが いかにハリウッドでブラッド・ピットの人望が厚いかという事実。
またこの時のゴールデン・グローブ賞では、その「ムーンライト」がドラマ部門の映画作品賞を受賞。 ブラッド・ピットのプロダクション会社、プランBにとって「ザ・デパーテッド」、「ザ・ビッグショート」、 「12イヤーズ・ア・スレーブ」などの作品に続くサクセスとなっており、 今日のオスカーでも「ムーンライト」は、オスカー史上前代未聞の 受賞作品発表ミスの後に、最高の栄誉である”ベスト・ピクチャー”を獲得しているのだった。

いずれにしても、ゴールデン・グローブの直後から態度を大きく軟化させてきたのがアンジェリーナ側。 一時は泥沼の様相を呈していた離婚訴訟であったものの、2人は 裁判所の指示に従い、子供のプライバシーを守りながら親権の行方を協議することで合意。
またオスカーの直前にはアンジェリーナ・ジョリーが アメリカのABC、英国のBBCのインタビューにそれぞれ登場。 ABCとのインタビューではブラッド・ピットを父親として高く評価し、自分達は常にファミリーであると語り、 BBCのインタビューでは涙ながらに、離婚の難しさを語っていたけれど、 これはアンジェリーナが監督を務めた最新映画「First They Killed My Father」のプロモーションのためのインタビュー。 しかしながら、その映画が政治的で地味な作品であるため、パブリシティ獲得のためにブラッドとの 離婚問題をあえて持ち出していたのだった。




離婚申請をしてからのアンジェリーナが確実に味わっていると言われるのが、 彼女自身のイメージダウンで、実際に様々な形でメディアのフォーカスが減ってきているのが現在の彼女。
2月上旬には、ニューヨーク・タイムズ紙において、アンジェリーナが難民問題についてトランプ新政権に抗議する記名記事が 掲載されたけれど、これは2013年に アンジェリーナが遺伝性の 乳がん、卵巣がんを避けるために、 両乳腺切除手術を行なっていたことを明らかにしたのと全く同じページ。 その時はアメリカ中にセンセーションを巻き起こしたにも関わらず、新たな記事は全くといって良いほど注目も報道もされなかったのだった。 このことから指摘されていたのが、アンジェリーナのハリウッド・スターとしてのバリューだけでなく、 彼女のヒューマニタリアンとしてのバリューも、ブラッド・ピットとの関係に大きく依存していたということ。

ブラッド側が巻き返しをしてきた状況を受けて、 今年に入ってアンジェリーナ・ジョリーが雇ったのがハリウッドのイメージ・メイクオーバーの専門家と、 それまで「自分には必要無い」と語っていたパブリシスト。
加えて美容整形によるメイクオーバーも行われており、かつてのセクシーで強い印象の目元(写真右)を改善。 瞼の窪みと 眉の吊上がりを軽減して、優しい表情の目元に直しており(写真左)、 撮影用のライティングの下では10歳くらい若返った印象。 でも中央のABCのインタビューの画像では、若干弱々しい印象に見受けられるのだった。

このようにアンジェリーナ・ジョリーが、自らのイメージの立て直しに入ったことで、離婚訴訟が成立しないうちから、メディアが報じ始めたのが 子供の親権をアンジェリーナが獲得したとしても、ブランジェリーナ離婚の軍配はブラッド・ピットに上がったという判断。
したたかなアンジェリーナが策を巡らせても、ブラッド・ピットのハリウッドにおける評判を変えられなかっただけでなく、 ブラッドを含むハリウッドの大半を敵に回した形になったというのは、アンジェリーナが今後もヒューマニタリアンとして活動する武器となる 映画製作に影を落とすもの。

その一方で、アンジェリーナの離婚申請以来 株が上がっているのがジェニファー・アニストン。 というのも、彼女はブラッド・ピットとは最悪のシナリオで離婚しているものの、彼との共通の友人は一切失っておらず、 彼女もブラッド並みにハリウッドでは人望が厚く、交友関係が広いことで知られる存在。
なので、離婚問題で勝利したのはブラッド・ピットであっても、最後に笑ったのはジェニファー・アニストンというのが ハリウッドの見解と言われているのだった。



執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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