Feb. 12 〜 Feb. 18 2018

”Millenial Battle U.S. VS. China ”
ミレニアル・バトル、 アメリカが中国に負ける日…


今週のアメリカで最も報道時間が割かれていたのは、水曜日のヴァレンタイン・デイにフロリダ州のハイスクールで起こった 無差別銃撃事件。17人の死者と50人の負傷者を出したこの惨劇は2018年のアメリカで起こった18回目の校内銃撃事件。
この事態を受けて、アメリカの平昌オリンピックの視聴率は水曜以降さらに下がっていることが伝えられているけれど、 そうでなくても米国メディアから 「史上最も退屈なウィンター・オリンピック」と批判されているのが今回の平昌オリンピック。 カメラ・ワークなど技術面では、過去のオリンピックよりも遥かにそのエキサイトメントを的確に伝えているはずの大会が 何故そんなに退屈なのかと言えば、一部で指摘されるのが解説が時代遅れであること。 加えてオリンピックというコンセプトそのものが既に人々にアピールしなくなっていること、 そしてアスリートがどんどん無個性になってきていて、観ている側が感情移入が出来ないこと等が挙げられているのだった。

かく言う私も平昌オリンピックは これまで結果しかフォローしていなかったけれど、そんな私でも愛国心からチャンネルを合わせたのが アメリカで金曜夜に放映された男子フィギュア・スケートのフリースタイル。 結果は私が改めて言うまでもないけれど、アメリカのNBCで解説を行っていた長野オリンピックの金メダリスト、 タラ・リピンスキーと ジョニー・ウィアーのリアクションをご紹介しておくと、 羽生結弦選手については、どちらも敬意を感じさせる賞賛ぶりで、怪我の克服という難関があったとは言え、 獲得するべきして獲得した金メダルという解説をしていたのだった。
これに対して銀メダルの宇野昌磨選手については、最初のジャンプの転倒でトーンダウンしていた解説の誉め言葉が プログラムが進むにつれてどんどんエキサイティングになってきて、 最後のスピンの段階で タラ・リピンスキーが語ったのが 「フィギュア・スケートの醍醐味がショーマのプログラムの最後の1分間に凝縮されている。 It was so good! 鳥肌が立つ!」という絶賛の言葉。4回転ジャンプを5回飛んだ自国のネイサン・チェン同様、もしくはそれ以上に 2人が熱っぽく賞賛したのがラストを飾った宇野選手の演技なのだった。
ちなみにアメリカではタラ・リピンスキーと ジョニー・ウィアーの解説は、ソチ大会の時点から オリンピック名物になっていて、この2人のキャスティングに関しては誰も文句が言えないほど、その解説ぶりに痛快さがあるのだった。




今週アメリカ国内で2番目に報道時間が割かれていたのは、ロシアによる2016年のアメリカ大統領選挙介入の捜査で、 FBIがロシア人13人と、ロシアの企業3社に対する起訴処分を明らかにしたニュース。
この捜査結果によれば、プーチン大統領の右腕と言われるビリオネア・ビジネスマン、イヴゲニー・プリゴーズィンが中心となって2014年4月〜2016年11月まで行われてきたのが、 アメリカ大統領選挙におけるヒラリー・クリントンに対する妨害工作と、ドナルド・トランプ支持を煽るためのフェイク・ニュースの発信で、 そのバジェットは毎月1億3000万円を超える金額であったとのこと。 具体的にどんなことが行われていたかと言えば、テクノロジーを駆使してロシアに住むロシア人のハッカーがアメリカ人の愛国者を装ってデマのニュースを流す一方で、 ネオナチのバックアップを含む人種問題、移民問題を煽る行為やニュースの発信、 銃規制や宗教差別に関する誤報を主にフェイスブックを使って発信していたのは既に多くのメディアで報じられていた通り。 それだけでなく、ロシアから送り込まれたフェイク・トランプ支持者が、アメリカ人を雇ってトランプ支持活動を企画し、本当に そのムーブメントに乗せられるアメリカ人を増やして行ったと同時に、 そのトランプ支持活動と あえて場所と日程を合わせてヒラリー・クリントン支持者のイベントを企画。 両者を真っ向から対立させることによって、更にトランプ支持者の結束や ヒラリー・クリントンへの敵対心を煽っていったとのことだけれど、 今回の捜査で明らかになったのは、それによるロシアの本当の意図。
それによればロシアの本来の目的は トランプ氏大統領当選よりも もっと大きなシナリオで 、それはアメリカの分断、 引いては民主主義の破壊。これはアメリカに暮らしている人々にとっては 衝撃的な捜査結果で、 それというのもロシアが見事にその目的を達成しようとしているのが手に取るように分かるため。
今やトランプ支持者と、リベラル派や民主党支持者を含むアンチ・トランプ派は 歩みよりどころか 政治に関するまともな会話さえ出来ないほどに分断されているのが実情。 人種差別、移民差別、ゲイ差別、女性差別、宗教差別など、ありとあらゆる差別が トランプ政権誕生と共に息を吹き返し、 今やアメリカは1つの国として纏まることが極めて難しい状況になっているのだった。




さて、チャイニーズ・ニューイヤーを迎えてアメリカで新たに出版されたのが「Young China/ ヤング・チャイナ」という 中国のミレニアル世代にフォーカスしたザック・ディクトワルドの著書。
ザック・ディクトワルドに限らず、アメリカを含む世界中のビジネスやマーケッターが その勢いと世界市場への影響力を認めざるを得ないのが、 中国のミレニアル世代。その数は アメリカのミレニアル世代 、8000万人の5倍に当たる 4億人で、 この数はアメリカの総人口を軽く上回るもの。
2017年3月には ニューヨークで 「ミレニアル20/20」 という中国のミレニアル世代について学ぶイベントが行われたけれど これには4000人が集まっているのだった。

中国のミレニアル世代は、年齢にして18歳から35歳とも37歳ともいわれるけれど、 いずれも中国政府が1979年から進めてきた一人っ子政策の下で生まれた世代。 それだけに たった1人の我が子に最高の物を与えようとする両親と 祖父母の資産がその生活や教育に注がれてきたのがこのジェネレーション。 兄妹が居ないだけに自宅のコンピューターでWeiBo、WeChatといったソーシャル・メディアに早くからアクセスしていたのが彼らで、 そのスマートフォンの所有率はアメリカの86%を上回る90%。
高度成長時代の日本人同様に、ショッピングにステータスを求めると言われるのが彼らであるけれど、 2015年の段階で、モービル・ショッピング(スマートフォンによるオンラインショッピング)をするアメリカのミレニアル世代が 全体の35%であったのに対して、 中国のミレニアル世代は70%がモービル・ショッピングをしており、その出費額はアメリカの4倍以上。
またアメリカのミレニアル世代が 年収の7.5%しか貯金をしないのに対して、中国のミレニアル世代の貯蓄率は年収の22%となっているのだった。 それが出来るのは中国のミレニアル世代の60%以上が親と暮らしているためで、この数字もアメリカの40%を上回っているのだった。

中国は全人口の6%しかパスポート所持者が居ないけれど、そのうちの3分の2が36歳以下。 そして その6%のパスポート所持者が 2016年に海外旅行に費やした金額は約28兆円。 この数字をアメリカと比較すると、アメリカもパスポート所持者の割合は カナダの60%、イギリスの75%に等に比べて遥かに低い36%。 そのアメリカ人が2016年に海外旅行に費やした金額は約14兆円。 この金額を双方のパスポート保持者の数で単純計算した場合、中国人海外旅行者の1人当たりの出費額は、 アメリカ人の3倍。
こうしたデータを総合するにつけ、中国のミレニアル世代が如何に市場影響力を持つパワフルな存在であるかは 一目瞭然なのだった。




中国のミレニアル世代は、中国の経済成長の中で 西洋カルチャーにオープンに育ってきた世代。 英語力を含む学力もアップし、海外留学などインターナショナル・エクスペリエンスも豊富になってきており、彼らの ジェネレーションで中国がアメリカの国力を超えることが既に確実視されているのだった。
というのも中国の国力拡大と同時に 起こっているのがアメリカの劣勢。 アメリカのミレニアル世代は 過去のジェネレーションに比べて、 自閉症やADHD、うつ病、拒食症などの精神障害の割合が高く、 幼い頃から精神治療薬を投与されているジェネレーション。 加えて 現在のアメリカの分断された状況の中、ネオナチや白人至上主義などの 極端かつ 屈折した右翼思想を抱くミレニアル世代が増えている結果、 大学のキャンパスなど、様々な場面で頻発しているのが 政治がらみの衝突や対立。 これがアメリカの国力低下に繋がるという意見は非常に多いのだった。
もちろん中国のミレニアル世代も、昔ながらの中国の社会的なしがらみや 偏見等との闘いを強いられることになるけれど、 それらは4億人という 同ジェネレーションの数をもってすれば 乗り越えられると見込まれているのだった。

ところで中国と言えば、アメリカにおけるバース・トゥーリズムのトレンドを作った国。 これはアメリカで生まれれば、親の国籍とは無関係にアメリカ人と見なされるという法律を利用し、 妊娠した女性が旅行でアメリカにやってきて、出産することにより 子供のアメリカ国籍を取得するというもの。 やがて子供が21歳に達すると 親のためにグリーンカードを申請できるというのが現在のアメリカの移民法。
このように1人を 通じて家族全体がグリーン・カードを取得する状況は ”チェーン・イミグレーション”と呼ばれ、移民政策強化を打ち出すトランプ政権が現在廃止に持ち込もうとしているものなのだった。

でも現在このバース・トゥーリズムが盛んなのは中国ではなくロシア。 ロシアの大金持ちが 子供のアメリカ市民権を獲得するために 現在押し寄せているのがフロリダ州マイアミで、 そのロシア人妊婦がこぞって滞在しているのが、トランプ・タワー、トランプ・プレースといったマイアミの3つの トランプ系列のビルディング。
トランプ・エンタープライズは建物に名前を貸して、マネージメントを担当するものの、 不動産自体は所有していないケースが多いため、これらのビルディングが果たしてトランプ氏の個人資産であるかは定かではないけれど、 メディアは「ロシア人妊婦たちが政治的に非常に賢い宿舎選びをしている」 と皮肉たっぷりに賞賛しているのだった。


執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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