Dec. Week 2 2017
★ "Irreconcilable Differences"
"夫の家族との埋め難いギャップへの対処"



秋山様
はじめまして。いつも楽しくコラムを拝読しております。 数年前にCUBE NY様より購入しましたパシュミナストールやアクセサリーは現在も毎日愛用しております。 今回、是非秋山様にアドバイスをいただきたくメール差し上げております。

私は夫の母国である西欧(非英語圏)の某国に移住しまして4年が経ちます。 今回私が秋山様に相談したいのは、夫の親族との付き合いについてです。 私の住む国では、結婚し家を出た後でも家族との付き合いが密接なようで、私たち夫婦は夫の実家から 車で片道約1時間とあまり遠くない所に住んでいることもあり、義父母、あるいは親戚の集まり等に 最低月1回のペースで招待されます。

こう言ってしまうと差別的だと批判されてしまうのを覚悟して記しますが、夫の家族及び親戚は皆、 日本でいう高校〜専門学校レベルの教育しか受けておらず、生まれた時から現在まで田舎に住んでいます。 私は日本の大学で修士号を修めましたが、この国に引っ越してきてから別の分野に興味を持つようになり、 現在はその分野について大学で学部課程から勉強しています。 そのため、親戚の集まりに参加する度に価値観の違いを痛感して非常にストレスを感じます。

具体的には、親戚の集まりに参加すると 「その年で大学に行って何になるの?今すぐ何でも良いから職を見つける方が大事なんじゃない?」とか、 「子どもはいつ作るの?もう若くないんでしょう?勉強するのも良いけど、子どもがいる人生が一番よ。」等といった アドバイスを延々と聞くはめになります。 日本語でならこれらの批判にもたやすく反論出来るのですが、私の語学力不足のため 十分に反論することも出来ません。 私が外国人としてこの国の言語を習得するのにどれだけ苦労しているかということを説明しても一切理解しようとせず、 会話の中で私の理解がついていけなくなると「あ〜また解ってないんだね、もう4年も住んでいるんでしょう?」と バカにするように言ってくる人もいます。 初めて会ってから既に4年が経過するというのに、会うたびに大声で「バンザイ!!」と言ってお辞儀してくる 人もいて、毎回、引きつった笑顔を返すことしか出来ません。

そういったことを抜きにしても、会話の内容はいつも 「近所の〇〇さんが最近、腰の手術をして・・・」等々、私が知らない人についての興味の持てない噂話ばかりで、 集まりに参加するたび「何てムダな時間なんだろう」とウンザリしてしまいます。
また、この親戚の人たちのテーブルマナーの悪さについても辟易しています。 私の日本の友人・知人及び付き合いのあった会社関係の人たちにはここまでマナーが悪い人は いなかったのでびっくりしています。 具体的にはフォークを持った肘をテーブルについて食べるとか、 ウェイターがお皿を下げに来る前に、自分が食べ残したお皿に残った物を隣の人が食べ残したお皿に移して、 お皿を重ねるといったことです。 ウェイターがお皿を一度で下げられるように気を利かせてしていたことだと思いますし、 非常にカジュアルなレストランで私以外は誰もそのことは気にしていませんでしたが、 私はあまりのマナーのなさに驚いてしまいました。

以上のようなことで、夫の家族及び親戚との価値観が合わず、親戚の集まりが非常に苦痛です。 参加すると必ず嫌な思いをするので、最近は体調が悪いとか大学の課題を仕上げないといけないからといった理由で なるべく参加しないようにしてはいるのですが、そうすると今度は義両親が何かと理由を作って 私たち夫婦のアパートを訪問して来ます。
全く価値観が合わない人たちとどうしても会わなくてはならない場合、秋山様はどのような心持ちでいらっしゃるのでしょうか。 アドバイスをいただけますと幸いに存じます。
末筆ながら、CUBE NY様のますますのご繁栄とご発展をお祈り申し上げます。

- K -





KさんのEメールを読んで最初に私の頭に浮かんだのはココ・シャネルの「醜さには慣れるが、だらしなさには我慢ならない」という言葉でした。
性格、人柄、価値観が異なる、もしくは合わないために折り合いが悪い関係は、それなりに仕方がないと割り切ったり、 嫌々ながらも妥協しながらやっていくことは可能ですし、世の中にはそんな関係は溢れています。 ですがそれに教養レベルやバックグラウンドから来る品性の違いや、カルチャーの違い等が絡んできた場合は、ココ・シャネルの言葉にある通り、美の基準以前の 清潔さや衛生面の問題になってきますので、それを乗り越えるのは 既に人格や価値観がしっかり形成された大人の段階ではほぼ不可能と言えます。
特にKさんのケースは、Kさんにとって相いれない価値観やライフスタイルが 周囲にとってのスタンダードであり、ノーマルであり、ベストでもある訳ですから、 それはKさん1人が何をしたところで変わることはありませんし、周囲のKさんに対する態度も変わることはありません。

Kさんは ご自身が抱いている 価値観やライフスタイル、教養レベルの違いからから来るフラストレーションを、 自分の心持ちで対処しようとお考えのようでしたが、このような状況でKさんがフラストレーションを抱くのは極めてノーマルな事ですし、 自分が信じないもの、敬意を払えないなもの、価値を見出さないものに対して苦手意識を通り越した不快な思いを抱いたり、 それを避けようと思うストレスを感じるのは当然です。またそうあるべきなのです。
もし、そうしたノーマルな心のリアクションを失ってしまったら、生ける屍(しかばね)のような人間になってしまいますので、 私はそんな歪んだ温厚さを持つことは不健康なことだと考えています。 人間なのですから、苛立つこともあれば、泣きたくなることもあって当然なのです。大切なのはそんな気持ちを切り替える強さを持って、 美しいもの、感動するもの、もしくは楽しく心豊かになれる時間を自分の生活にどんどん取り込んで、自分の人生の目標や夢を失わないことです。
ですので、まずはKさんには ご自身の心や気持ちの持ち方で現在の状況に対処するというオプションを取り去って頂きたいと思います。

Kさんは、現在抱いている不満やフラストレーションなどがご主人の家族とご自分の問題だと思っていらっしゃるようですが、 実際にはこの問題は Kさんとご主人の問題であり、それとは別に ご主人と彼の家族の問題なのです。 そもそもご主人のご家族というのは、Kさんがご主人と結婚して異国へ移住しために関わり合いが出来た人々であって、 Kさんがご主人と別居や離婚をした場合は全く関わりが無くなる人々です。Kさんとご主人の家族との唯一の接点は、 当たり前と言えば当たり前ですが、ご主人なのです。すなわちKさんはご主人のために全く自分とは合わない人達と有益とは言えない時間を過ごすことを強いられているのです。
したがってそれに対処するためには Kさんがご主人に働きかけるのが最も有効な手段なのです。

通常、こうした問題のご相談を頂く場合、必ずご主人に関する記載、すなわちご主人が家族についてどう思っているかや、Kさんに家族と上手くやって欲しいと思っているのかなど、 何等かのことが書かれているものなのですが、Kさんのご相談メールには一切そうした内容が含まれていないことを 正直なところ非常に不思議に思いました。 おそらくご主人は、Kさんと結婚した後も、以前と同様の家族との付き合いをしているのかもしれません。
でもご主人は、バックグラウンドも言語も、カルチャーも価値観も異なるKさんとそれを承知で結婚し、 そのKさんは異国の土地で、言語が完璧でないまま孤軍奮闘しているのですから、 ご家族でも誰でも、Kさんを様々な形で威圧してくる人達からKさんをプロテクトするべきなのです。 もしご主人が、そんな様子を傍観したり、「Kさん自身の問題」、「Kさんが家族や環境に溶け込むために必要な試練」などと考えているのであればそれは大間違いです。

Kさんは、「日本語でならこれらの批判にもたやすく反論出来るのですが、」と書いていらっしゃいましたが、今の状況はたとえKさんが 言語に堪能であった場合でも 一向に改善されることはありません。むしろ言語が話せない方が、相手の心情を損ねるレベルの言い合いにはなりませんし、 相手は「4年も居てろくに言語が話せない」と、大学で勉強しているKさんに対して優越感を抱いていられるので、その方が良いのかもしれません。
ご主人の女性家族がKさんにしていることは、田舎のコミュニティ特有の ”おせっかい=余計なお世話”という形のいじめであって、自分達の価値観やライフスタイルを押し付けようとしている訳ですが、 Kさんがたった1人のよそ者で、自分達が何を言っても その通りにしないのが分かっているので、それがいじめ甲斐や使命感という形のモチベーションになっているものと思います。

そんな状況を改善できるとすれば、それはご主人なのです。そもそも保守的な田舎町ほど女性の権限や発言権が無く、 男性の決断や発言が大きな威力を持つものですので、 Kさんが何を言ったところで聞く耳を持たない女性の家族達でも、男性であるご主人が言えば少なくとも表向きは態度を改めざるを得ないのです。 ですから、ご主人が「妻は言語も、育った環境も、文化も違う国から来ているのだから、他の家族と違うのは当然」、「自分はそんな妻をサポートしているので、 家族にも同じように振る舞って欲しい」というような、”自分は何があろうと妻の味方” という姿勢を常に打ち出して、 ご主人がKさんを強固にガードしている様子を見せることによって、女性の家族は余計な口出しがし難くなるのです。

そこで私がお伺いしたいのはKさんとご主人の関係です。 Kさんは ”対ご主人の家族”という問題において、ご主人を100%自分の味方だと思って信頼しているでしょうか。 ご家族がKさんを批判した場合、Kさんにとって侮辱的なことや、Kさんを見下すようなことを言った場合に ご主人はそれに対して反論や弁護をしてくれているでしょうか。 ご主人が家族を思うのは当然ですが、 結婚した限りは 妻が自分の家族の基軸になるべきなのです。 妻が実家の家族としっくり行かないと分かっている場合は、その家族からの防波堤の役割を果たして 妻を守るのが夫というものですし、同じ状況で夫を守るのも妻の役割です。
もしご主人が家族側に理解を示したり、時々見方する側を替えるような姿勢でいらっしゃる場合は、 Kさんが耐えられなくなった時に結婚生活が終わると言っても過言ではありません。 時間と共に恋愛感情が冷めるのは仕方がない事ですが、 聡明な女性であれば、信頼できない男性との結婚生活は続けられないものなのです。
それとは別に周囲からの雑音が多ければ多いほど、夫婦間でお互いに合意したクリアな人生展望を持つことが非常に大切です。 ご家族のことも含め、ご主人とは日頃からよく話し合ってコミュニケーションをしっかり取ることをお薦めします。

Kさんのオリジナルのご質問は 「全く価値観が合わない人たちとどうしても会わなくてはならない場合、秋山様はどのような心持ちでいらっしゃるのでしょうか?」 というものでしたが、私の場合、自分と全く合わない人達とは 関わらない努力はしても、上手くやっていこう、もしくは我慢してやっていこうという努力はしません。したがってもう何年も「価値観が合わないものの、どうしても会わなければならない」 という人に会っていませんし、最後にそんな人と会ったのが何時だったかも思い出せません。
これが20代、30代であれば、自分と全く合わない人とも上手くやっていく努力をしたかと思いますが、その時代にさんざんそれが無駄であることを学んだ今は、 その経験を生かさないのであれば 人間として全く成長していないことだとさえ考えています。

Kさんの場合、それが義理のご家族だから出来ないと考えるのは、早すぎます。 まずは、「バンザイ」と挨拶する彼のご家族に、苦笑いをするのではなく、「こんにちは」という正しい日本語の挨拶を教えるところからスタートしてください。 それがKさんの自己主張になるのです。   関わりたくない人間に対しては、相手を避けるよりも、お互いに不必要に関わっても仕方ないことを認識し合う方が効果的なのです。 相手にそれを悟らせるためには上手く自己主張をしなければなりません。
お見受けしたところ、Kさんは言語力が不十分な状態が4年続いたせいで、自己主張をギブアップする癖がついてしまっているようですが、 コミュニケーションや自己主張は、視線やオーラでも出来るのです。 言葉が全てではありません。
言語の苦労は、外国生活をした日本人の誰もが味わうことですが、私はその時代に表情や視線、 ジェスチャーでコミュニケートすることを随分学びましたし、それがアメリカ人とのコミュニケ―ションには非常に役立っています。
ですので、Kさんには ご主人からの援護射撃を得ること、ご自身のコミュニケーション力の向上、そして上手な自己主張という3つのアングルから 現在の状況を打開して頂きたいと思います。 頑張って下さい。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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