Dec. Week 2, 2016
★ "Dealing with Lateness"
仲良しの友人が深刻な遅刻魔です



秋山様
こんにちは。毎週このコーナーを楽しみにしています。私も相談させて頂きたい事があります。それは遅刻魔の友人です。
その友人(Nさん)とは数年来のお付き合いで、定期的に会っては食事や旅行に行く仲です。 最初の頃は遅刻といっても数分程度の遅れで、なんとも思っていなかったのですが、初めて一緒に旅行へ行った時に待ち合わせの時間になかなか現れず、 移動の時間も迫ってきてハラハラしました。でもそれはたまたまだろうと思っていたのですが、その後 食事や出かける時の待ち合わせには30分、 もしくは1時間以上の遅刻が当たり前となってきました。
遅刻に関して、彼女は反省する事がなく、一度注意というか、遅れるなら前もって連絡くらいしてねと伝えた所、 機嫌が悪くなり、待たされた上に、こちらが更に嫌な思いをしました。 共通の友人に「Nちゃんって遅刻魔?」と聞いたところ、全員が揃って「約束の日すら忘れられていた」とか、 「約束の時刻になっても来ないから迎えに行ったら”今から用意する”といって、髪を巻きだした」など、 ありとあらゆる遅刻エピソードが出てきて、そうなのか・・・と改めて驚いた次第です。 Nさんとは何でもフランクに話をする関係なので、この遅刻の話をした時に機嫌が悪くなったのにも正直驚きました。

私自身が 待つのも待たせるのも嫌なタイプなので、なぜそこまで遅刻をするのか?と不思議で仕方がないのですが、 こうも毎回遅刻をされると、待たせても平気と思われているのかな?と思え、良い気分ではありません。 彼女はとても行動的で、あらかじめ予定を決めて行動するというより、その状況次第で動く感じもあり、 自由な雰囲気はあるのですが(時々、自分勝手だなと思う言動もちらほらありますが)、遅刻だけは正直疲れてしまいます。 遅刻魔は他の事にもルーズだから、付き合いは避けた方が良いという意見も耳にしたりもしますが、 話をしている時は楽しく、ただ、遅刻されると、その待っている間の時間が本当に無駄で馬鹿らしく思え、 遅刻される度に嫌な思いをしてしまいます。

もし秋山さんのお知り合いや友人に遅刻癖のある人がいる場合、秋山さんならどうされますか?
遅刻魔には予め時間を早めに伝えておくなど、策を講じるべきかもしれませんが、 もし何か他に良いお知恵があれば教えて下さい。他の皆さんのご質問には及ばない悩みかもしれませんが、宜しくお願いします。

- M -




もしMさんから頂いたご相談を、私がニューヨーカーの友人にしたら どうなるかと言えば、 「どうしてそんな人と友達で居るの?」と逆に不思議がられてしまいます。 それほどニューヨークは、時間に遅れるというのがご法度の街で、特にビジネスにおいては、 「If you're on time, you're 5 minutes late(時間通りは、5分遅れということ)」というポリシーを持つ人が多いので、 ジョブ・インタビュー(仕事の面接)などは、時間に1分でも遅れると80%は採用されないと言われるほどです。
そんな時間に対する厳しさはプライベートな付き合いにおいても然りで、友人を平気で待たせるということは、友人の時間やスケジュールをレスペクトしていないことを意味するので、 人格を見下されていると解釈する人さえ居ます。 もちろん5分、10分の遅れについてはテキスト・メッセージ(ショートメール)を送って前もって知らせれば問題にはなりませんが、 いつも遅れる人というのは、時間のマネージメントが出来ていないと見なされる傾向にありますし、 友人関係でも恋愛関係でも時間のルーズさはディールブレーカー(別れの原因)になります。

私の考えでは時間に遅れる人には4種類のタイプがあって、そのうちの1つは 生まれつき時間にルーズな人、 子供の頃から学校に遅刻していたよう人です。このタイプは親も時間のマネージメントが出来ていないケースが非常に多いのが実情です。
2つ目のタイプは時間の読みが甘い人で、何にどのくらい時間が掛かるかをきちんと把握せずに、楽観的に予定を組んで遅れてしまう人です。 でもこのタイプの人は「遅れたくない」という意識は持っているので、絶対に遅刻が許されないケースでは 逆に時間を余分に見積もって、早過ぎてしまうことが多かったりします。
3つめのタイプは一時的に人生のスランプに陥って 機敏に動けなくなっている人で、 エネルギッシュな活力が無いために日程をダラダラとしかこなせないことが遅れの原因になっています。 このタイプは生活を改めて再び軌道に乗せれば 時間にも遅れなくなります。
そして4つめのタイプは 私の考えでは最も性質が悪いタイプで、待ち合わせた人によって時間通り、もしくは多少の遅れのケースと、 大幅に遅れるケースに別れる人です。 自分が遅れてはならないと思っているのは、人間関係に遠慮や緊張感があるケースで、出会ったばかりの友人、目上の人とのアポイントメント、好きな男性とのデートなどが それに含まれますが、気心が知れている友人や家族との待ち合わせや、自分が特に行きたい訳でもないイベントなどのためには、 なかなかエンジンが掛からないのがこのタイプで、そういうオケージョンでは大幅に遅れても少しだけ顔を見せれば十分と思い込んでいるケースさえあります。

私がMさんのメールを読んだ印象では、お友達のNさんはこの一番性質が悪い4番目のタイプに見受けられます。 このタイプがどうして性質が悪いと私が判断しているかと言えば、周囲の好意や譲歩を 自分の我がままがまかり通る領域と判断して、 それをズケズケと拡大しようとするためで、Mさんが気持ち良く食事をするために Nさんが時間に遅れたことを咎めなかった場合でも、 Nさん側は勝手に「この人と会う時は遅れても大丈夫」と思い込んでしまうのです。
以前このコーナーに、「いつも譲歩ばかりしていると、犬でも人間を馬鹿にするようになる」と書いたことがありますが、 このタイプはまさにその犬のタイプで、譲ってばかりいると 相手を見下す傾向がありますし、 Mさんが内心不満に思いながらも一度でも無言で許してしまったことは、「今後はこれをやっても大丈夫」 と判断します。 そしてその不満を我慢した挙句に文句を言えば、「今までOKだったことが、何故今日は悪いの?」と そのコンシスタンシーの無さについて、逆に相手が腹を立てるケースさえあります。

待つのも待たされるのも嫌いなMさんが、遅刻の常習犯であるNさんと仲良く出来るのは、 恐らくMさんが 性格の相性とは無関係のアトラクションをNさんに見出しているからだと思います。 それは外観の華やかさかもしれませんし、Nさんの我がままなまでの自由奔放さがダイナミックに感じられているのかもしれません。 お2人が「何でもフランクに話をする関係」とメールに書いていらしたのも、お互いの考えや理想が異なるので、 話していても決して衝突しない間柄なのだと思います。
でも本当の友情というのは対等の関係であって、どちらかが譲歩して成り立つものではありません。 もしMさんの中で、自分側の持ち出しが多いと考える友達関係である場合、それによって楽しい思いをしていると自分では思っていても、 頭を冷やして客観的に判断してみると、遅刻以外にも 出掛ける時はいつも相手の予定や都合に合わせることになっていたり、 そのせいで余計な時間、労力、お金を無駄にした経験など、知らず知らずのうちにストレスを感じているケースは多いのです。

この場合、Mさんが注意をしたり、待ち合わせ時間を早目に伝えたところでNさんの遅刻癖を直すことはできませんので、Nさんと友達関係を続けたいと思う場合は、 Mさん側の気持ちを切り替えるしか方法はありません。 MさんがNさんのことを大切な友達だと思えば思うほど、相手の遅刻や、遅刻に文句を言った際の逆切れによって Mさんがストレスやフラストレーションを感じることになる一方で、我慢するしかない状況を強いられます。
でもMさんが、Nさんに対して「時間の観念から、性格まで全く違う相手なのだから、楽しい時間だけはシェアしても、 無理をしてまで深い交友関係を築くのは控えよう」 という気持ちになって、自分のストレスになるような 努力や譲歩を一切止めてしまえば、逆に以前より楽で、良い意味で距離を置いた友達関係が続けていけるはずです。
パラドックスのように聞こえるかもしれませんが、友情というのは無理やり繋ぎ止めようとしても 駄目なものは続かないのです。 ですからMさんは 「やがて離れていく人は、どんなに譲歩しようと、遅刻を我慢しようと 離れていくもの」 と悟って、 Nさんとの友人関係をイーブンにするべきなのです。そのためには無理なことには「No」というべきですし、 遅刻についても「連絡が無ければ待つのは20分まで」というようなルールを設定して、 Nさんがそれより遅れた場合は 待たずに帰ってしまうべきなのです。

そうやって自分の価値観を明確に態度で示した方が、 「自分の思い通りにして付き合っていける友達」と思われているよりも、遥かにまっとうな交友関係を築くことが出来るはずです。 友達関係というのは同等であるべきと同時に、お互いに尊敬し合える関係ですが、 人間というのは本能的に弱い者を軽視し、強い者には敬意を払う生き物です。 ですから良かれと判断して友達に合わせたり、譲歩することは、対等な友情を築くためには逆効果になっているケースが多いのです。

また自分勝手と言われるほどに気ままに振る舞っている人というのは、自分より弱いと思っている人や、自分に譲歩したり、チヤホヤしてくれる人間に囲まれている時は 安心してその身勝手さを続けていますが、怖い物知らずな訳ではなく、逆に臆病であったり、不安と戦えない性格であったりします。
Mさんが無理にNさんと友達で居ようという姿勢を改めれば、今まで気づかなかったNさんの様々な部分も見えて来ると思いますし、 それが見えて来るとNさんとの友情に対する価値観も変わるかもしれません。

いずれにしても一番大切なことは、Mさんが心から信頼できる友情関係に恵まれることで、もし努力をしたり、ストレスを貯めたりしなければ、一緒に居られないのであれば、 友達でも恋人でもそれは本当の縁ではないのです。
ですから今後も人間関係で何らかの問題を見出した時には それだけにフォーカスして「木を見て森を見ず」の状態になるよりも、 それによって自分が感じている本当の問題は何なのか、自分にとってその人はどういう存在なのかを考えてみることをお薦めする次第です。

Yoko Akiyama

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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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