July Week 3 2017
★ "Japanese Speak Japanese English"
"英語の日本語発音、英会話が下手になる原因だと思うのですが"



Yoko Akiyamaさま、
このコーナーとCUBE New Yorkの大ファンです。私もYokoさんのご意見を伺いたいことがあってメールをしています。 それは日本語における間違った英語発音のことです。

日本に一時帰国するたびに、日本語で人の名前とか、物の名前とかが英語と全く違う発音をされていることがとても気になっています。 CUBE New Yorkさんのサイトだと、カタカナ表記でもマノロ・ブラ二クじゃなくて マノーロ・ブラーニックってちゃんと発音通り書いてありますし、 Bodyも日本のメディアみたいにバディなんて記載しないので アメリカに暮らしている日本人としては、イライラしないで心地よく読めますが、 日本だとグーグル・マップまで"ハウストン・ストリート" が "ヒューストン・ストリート"になっていたりして、情けなくなります。

日本人は世界で一番英語が下手と言われますが、私はその原因の1つは英語とシェアしている言葉が沢山あるのに、 オリジナルに忠実な発音をせずに、日本的な変な発音をするせいではないかと思い始めました。 だからボキャブラリーがあってもイングリッシュ・スピーカーには通じないことが多いですし、スぺルを無視してBとVが同じ発音だったり、 LとR、SとTHが同じ発音なので、口語で通じないだけでなくて、スぺルも間違える原因になっているように思います。

秋山さんはこういう日本の英語表記とか、英語教育とかをどう思われますか? 取り留めのないサブジェクトに思えますが、同じアジア人でも中国人や韓国人の英語のレベルを考えると、 日本人の英語が酷いのは日本の英語教育だけのせいではないように思えてなりません。
秋山さんのお考えを聞かせて頂けたらと思ってメールをしました。 よろしくお願いします。

-N-





日本人が何故英語が下手かについては、日本に出掛ける英語圏の外国人が年々増えるにしたがって、インターネット上で それを取り上げる外国人が目立ってきたように思います。
Nさんも発音に着眼していらっしゃいましたが、私自身、日本に居た時には発音が良いと英会話の先生に褒められていただけに、 ニューヨークにやって来て自分の発音が如何に通じないかで まずショックを受けた経験があります。 発音が悪ければ、どんなにボキャブラリーがあろうと、文法が正しかろうと相手には理解してもらえない訳で、 英語をコミュニケーション手段としてではなく、数学や生物のような学問として教えている日本の英語教育に疑問を感じたのを覚えています。

でもニューヨークに暮らしていると、アメリカにやって来たばかりの頃にはろくに英語が話せなかった外国人が、 あっという間に流暢に英語が話せるようになる様子を目にすることは少なくありません。 ですが同じことが日本人で起こるケースは滅多にありませんので、 Nさんのご指摘通り、日本人が英語が話せない原因は日本の英語教育だけにある訳では無いという意見には私も同感です。

日本語を含め、複数の言語を話すアメリカ人の友達に言わせると「日本人は言語を聞き取る耳を持っていない」のだそうで、 確かに諸外国の言語に比べると日本語は音の数が少ないので、BとVの違いが聞き分けられない、SとTHが同じに聞こえる、 だから言い分けることも出来ないという状況を招いていると思います。 また日本のカルチャーに詳しい外国人の中には、日本人が必要以上に英語の間違いを恐れて、間違えると恥ずかしがること、 きちんと喋ろうとするあまり反応が鈍くなって、会話の目的であるコミュニケーションをないがしろにしていることを指摘する声もあります。

でも私自身の経験では 日本人の英語のレベルが低いのは 日本の島国という状況とその国民性が少なからず影響しているようにも思います。 日本に住んでいる人の殆どは、生まれた直後から日本語を話しているわけですが、それでも自分の日本語が完璧だと考えている人はさほどいません。 にもかかわらず、たった3〜4年間アメリカに留学していた日本人に対して「だったら英語、ペラペラでしょう?」とまるでネイティブ・スピーカーのような扱いをしますし、 そう言われた側もその気になって間違った英語をレクチャーして、教えられた側もそれを鵜呑みにします。 そしてそれがまかり通ってしまうのが地理的にも、言語的にも隔離された島国のカルチャーなのだと思います。
ヨーロッパのように複数の国と陸続きで国境をシェアする状況で育つと、特別な英才教育など受けなくても3〜6か国語程度を話せるようになるケースは全く珍しくなく、 その人たちが第二、第三外国語としてフランス語やスペイン語を話すレベルは、長年アメリカに住んだ日本人が話す英語のレベルよりも遥かに高いのが実情です。
また日本においては、どの程度のレベルで英語が流暢に話せると見なされるかについてのスタンダードが非常に曖昧なので、 アメリカ人との会話が殆ど出来ない人が翻訳者になっていたかと思えば、「話すのはダメですが、聞くのは大体分かります」と自負していた人が 私とウェイターとの簡単な会話さえ聞き取れなかったりします。 要するに日本に暮らしていると、英語を実際に使う機会が殆ど無い上に、そのオケージョンが限られているので、自分の英語のレベルさえ分からないのです。
私も日本に居た頃は英語を使うチャンスが英会話のレッスンくらいしかなくて、そのレッスンでは他の人よりも喋れたので、今よりずっと英語が話せなかったにも関わらず、 自信だけは人一倍持っていました。その頃に比べたら、ニューヨークで20年以上暮らした今の方が自分の英語能力に対してずっと謙虚になりましたし、 完璧に話すことよりも会話のコンテンツで人を楽しませることや、会話のリズム、相手が「話したい」&「話しかけたい」と思ってくれるような雰囲気の演出によりフォーカスするようになりました。

もう1つ私が日本人の英語に問題を感じるのは、日本語と英語が違う言語であるという意識が希薄で、日本語をそのまま英語に直して話そうとすることです。 簡単なところでは「How old are you?」と訊かれて「My age is 28」と答えたり、道に迷って「Where is here?」と尋ねてしまうのがその典型例と言えます。 ちなみに前者は「I'm 28 (years old)」、後者は「Where am I?」が正解ですが、 それ以外にも日本語というのは、あまり物事をストレートに言わないように出来ている言語な上に、 英語とは細かい意識や認識が異なるので、日本語をそのまま英語にすると まどろっこしくて 凄く変な文章が出来上がってしまいます。

Nさんがご指摘になっていた人名や、品物の名称などについてですが、私も春に日本に一時帰国した際、現在の国務長官のレックス・ティラソンが日本のメディアで レックス・ティラーソンと発音されているのを聞いて、どうしてわざわざ面倒な発音をでっちあげるのかを不思議に思ったのを覚えています。 日本人はどちらの発音でも通じると軽視しがちですが、アメリカ人にはティラソンをティラーソンと言っただけで通じない事は多いのです。 同様のことは人名だけでなく、名詞やその他の英語の表現にも言えることで、 アルファベットの言語同士であれば、英語、フランス語、イタリア語などで読み方は違ってもアルファベットの発音が一緒なので、 理解してもらえますが、日本人の場合、アルファベットの発音が不正確な上に、全く違うイントネーションで発音するので 通じないケースが非常に多くなります。
ヒスパニック系の文法がメチャクチャの英語の方が、日本人の正しい文法の英語よりもアメリカ人に遥かに理解されるのは 発音のせいなのです。

またアルファベット言語のネイティブは母国語で"Le" "La"等を使っているので、英語において"a" と "the"が正確に使えるのも大きな強みです。 私は最初のアメリカ人ボーイフレンドに、「"a" と "the"をちゃんと加えることで、どれだけ英語らしく聞こえるか」と言われて、初めて"a" と "the"が そんなに英語において大切だということを自覚しましたが、日本ではそれを正しく教えてくれる人が居なかっただけでなく、その重要性さえも教えてもらえない状況でした。

話を発音に戻せば、私が外来語を日本語に馴染みやすくした日本特有のイントネーションや発音が日本のディスアドバンテージになるのでは?と危惧するのは、 アマゾン・エコーやグーグル・ホームなどのヴォイス・コマンドのAIディバイスの日本市場への対応が遅れるなど、 今後も言語のせいで諸外国のテクノロジー・レベルに遅れを取る原因になりかねないためです。
ですからその意味でも Nさんのご指摘通り 人や物の名前、新しい外来語は 日本独特のイントネーションが定着する前に、 日本の第一外国語である英語発音に統一すべきというのが私の考えです。 そのためには英語が話せる日本人よりも、国籍に関係なく日本語が話せる英語のネイティブ・スピーカーが日本のメジャー・メディア等でもっと 活躍すべきというのが私の考えです。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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