June Week 4 2017
★ "If My Son Become a Pothead"
"留学中に息子がマリファナ中毒になるのでは…と心配です"



秋山さま、
90年代からCUBEさんのウェブサイトを読んでいます。その頃はまだ小さかった息子が 秋からアメリカに留学することになりました。 私自身もイギリス留学の経験があり、夫もアメリカの大学に留学していたので、息子にも早い段階で海外経験をさせることが とても大切だというのが私たち夫婦の共通の意見です。
息子は英語が堪能で、海外に旅行で何度も出かけていますので、アメリカ生活を息子がすることについては全く心配していません。 ですが、知り合いの息子さんや娘さんがアメリカへの短期留学で、マリファナを常用する習慣が付いてしまったというような話を聞くと 心穏やかではいられません。 アメリカでは大学のキャンパスにも麻薬を売っているディーラーが居るなどと聞きますが、 その実態はどんな感じなのでしょうか。 息子が留学するのは一流大学という訳では無いので、そんなディーラーから簡単にマリファナが手に入るのでは?と とても心配しています。
息子が出掛ける前にするべきアドバイスなどありましたら、教えていただけたらと思います。
どうかよろしくお願いします。 秋山さまの今後の益々のご活躍を心からお祈りしています。

- M -





息子さんに早いうちから海外経験を積ませようというMさんとご主人の教育方針は素晴らしいと思います。
将来的には世界を相手にビジネスをした方が、サクセスの可能性が高まると同時に、成功の規模も大きくなりますので、 早いうちから諸外国のカルチャーに馴染んで、英語だけでも問題無く社交の会話が出来るようにしておくことは 未来のビジネスマンにとって非常に大切なことです。

ご心配なさっていたマリファナに関して言えば、日本とアメリカでこれほどカルチャーの違いがあるものは無いと思います。 アメリカではマリファナの喫煙は国の法律では違法となっていますが、コロラド、マサチューセッツ、ロサンジェルスなど州では 合法になっているのはご存知かと思いますし、医療用のマリファナは、ニューヨークを含むもっと多くの州で合法化されています。 アメリカでは Mさんの世代の方が、息子さんの世代よりもマリファナの喫煙量が多いというデータが出ていたりして、 違法ながらも多くの人々が罪悪感無しに使用している不思議なドラッグなのです。
例えば 「セックス・アンド・ザ・シティ」のような10年以上も前に終了したTVシリーズの中でも、 サラー・ジェシカ・パーカー扮するキャリーがマリファナを吸うシーンが私が覚えている限り2回出てきましたが、 それらはどちらも初めてではなく、久しぶりに吸うという設定でした。 要するにアメリカ社会では マリファナを吸うというのはその程度の事であったりします。

ですからアメリカの親たちは、自分の子供達がマリファナを吸うことについては 特に奨励はしないものの、 自らの経験から 「飲酒やセックス同様、成長過程で誰もがやること」という意識を持っているだけに、 「マリファナごときではカリカリしない」というケースが殆どです。 また私がつい最近旅行で出かけてきたマイアミなどは、ハイスクールのクラス全員が 「少なくとも一度はコカインをトライしたことがある」と 答えているそうなので、逆にマリファナ程度で済んでくれれば有り難いというような状況であったりしますし、 国民の60%以上が合法化に賛成しているのがマリファナです。
ですから息子さんに対して あまりにキツク「マリファナはダメ」、「中毒になって一生が台無しになる」などと脅しを掛けて送り出すと、 実際にアメリカのキャンパスで出会った友達のマリファナに対するカジュアルなアティテュードに必要以上に洗脳されるリスクだけが 高まるように思います。

私自身、親元を離れて 別の州の大学に行く友達の子供などには 「Don't Mix Drugs(複数のドラッグを混ぜない)」、 「Never Use Needle(決してドラッグを注射しない)」、「Never Touch Synthetic(決して合成ドラッグには手を出さない)」等と言うことはあっても、 「Don't Do Drugs(ドラッグをやってはダメ)」とは決して言いません。 というのは、現代の世の中でアメリカの大学生に対して「Don't Do Drugs」というのはあまりに無理な要求だからです。
そもそも前述のマイアミのケースのように、今の世代は大学に進学する以前に その大半が何らかのドラッグを既にトライしていますので、 大人がそうとは知らずに 「やってはダメ」と言えば、子供達はそんな大人の話を内心馬鹿にして聞くだけです。 ですからこの世代に対しては、親たちが 「まさか!?」と思うようなレベルのアドバイスをした方が遥かに 説得力がありますし、 「やるな」と言うよりも、やった場合のリスクの例を挙げる方が効果的です。
またアメリカでは つい最近 麻薬取締局がドラッグのストリート用語のリストを公開しましたが、 そうした用語を用いて話をする方が真剣に聞いてもらえる傾向にもあります。 加えてそうしたストリート用語をどの程度理解しているかは、子供がどの程度ドラッグをやっているか、 本人はさほどやっていなくても、その周囲がどの程度やっているかの かなり正確な指針になったりもします。
ですから私はアメリカの親達には、子供に的が外れたお説教をする前に、 まずはドラッグについてインターネットでリサーチをして、お説教や注意ではなく、子供と話し合うことを薦めています。 例えばコカインの流通経路で どんな混ぜ物が加わるのか、合成のマリファナとは実際には何なのかといったことは 子供達は殆ど知らないので、そんな情報をインプットしてあげる方が ドラッグを 客観的に捉える姿勢が身につくと私は思っています。

ところでMさんは、息子さんが留学する大学が一流大学では無いことからキャンパスに麻薬のディーラーが居るのでは?と 心配していらっしゃいましたが、 実際には一流大学の学生ほどドラッグ・ディーラーの貴重なクライアントなのです。 というのは 一流大学ほど裕福な家庭の子女が多く、一流大学ほど勉学と競争のプレッシャーが激しいので、 ドラッグで羽目を外す傾向が顕著なのです。ですから一流大学のキャンパスのパーティーほど コカインを始めとするドラッグが付き物ですし、裕福な学生は友達の分までドラッグを調達しますので、一流校の方がマリファナ以上の ドラッグを常用するリスクは高いと言えます。
ですが、マリファナを始めとするドラッグは留学するから中毒になるリスクが高まるというものではありません。どの国に居て、 何をしていてもドラッグの中毒になる可能性はありますし、ドラッグの中毒にならなかったとしてもアルコール、ギャンブル、 ポルノ等、様々な中毒が世の中には存在していますので、親がドラッグだけに過敏になって心配するのは むしろ息子さんのためにはなりません。

もう3年前になりますが、CUBE New Yorkの留学&ビジネス・コンサルティング部門の Will New Yorkで、 ボストンの大学に通う男子学生がニューヨークの広告代理店でインターンシップとして働く期間のお世話をしたことがありました。 彼がマリファナを吸っていることは、ルームメイトの留学生から知らされましたが、 私はその現場を目撃した訳ではないので、彼と話した際に「親元を離れたら年齢に関わらず大人なのだから、 節度を持って、常識的に賢く振る舞うように」 という内容の忠告をしました。 それ以外は、彼は部屋もキレイで、毎日きちんと仕事に行き、私に対しても気さくに振る舞っていて、 何も問題なく2カ月ほどが経過しました。
すると母親から 彼のいとこもNYに行くので一緒に面倒を見て欲しいと依頼があり、 2人がルームメイトとして生活することになりましたが、どうやら母親は そのいとこに自分の息子がどうしているかの スパイをさせていたようで、程なく 彼のマリファナ喫煙が親にフィードバックされてしまいました。 そして母親が彼に強制したのがドラッグ・テストを受ける事でしたが、 申し込みからテストまでには2週間以上の待ち時間があり、 彼はテストまでの間、マリファナを一切吸わずに我慢して、ネガティブ(陰性)のテスト結果を得ることに成功したのでした。

しかしながら2週間以上もマリファナを吸わずにいた反動と、テストをクリアした安心感から 彼は直ぐにポットヘッド(マリファナ中毒)の友人宅に転がり込み、その後 3日間、全く外にも出ずに2人でマリファナを吸い続けたそうで、以来 コントロールを失ったのが彼の生活。 それはちょうどインターンの終わりの時期であり、私が面倒を見る期間の終わりでもありましたが、 彼が滞在していた部屋は以前とは比ベ物にならない乱雑ぶりで、彼からは後にテキスト・メッセージが送られてきたものの、 私に直接挨拶もせずにボストンに戻り、彼のいとこではない 別のルームメイトも 彼の急変ぶりに驚いていました。
そのルームメイトによれば、彼はいとこのスパイ行為が原因で 親にドラッグ・テストを強要されたことに 酷く失望していたとのことで、「放っておけば 彼はニューヨークでちゃんと軌道に乗った生活をしていたのに…」と 親の過保護ぶりを責めていました。 そもそも彼がニューヨークでインターンをすることになった経緯にしても、 彼の親友2人がマリファナ中毒になって、そのうちの1人がリハビリ入りしたことから、 彼を大学のキャンパスに置いておきたくないという親の考えからだったからだそうで、 親によって 彼の人生が引っ掻き回されている様子が感じられたエピソードでした。
ですから一度 我が子に旅をさせると決めたら、親は細かいことには口を出さずに 腹を括って子供を信頼する、 そしてその親の信頼をしっかり子供に認識させることが大切だというのが私の意見です。 そうすることによって親元を離れても、子供は親の信頼を裏切らない行動を取るようになるものです。

ところで私が親であれば、今のアメリカにおいて心配するのはマリファナよりも処方箋薬です。 現在、アメリカのヘロイン中毒の80%は交通事故やスポーツ等が原因の怪我や手術、 歯科治療の痛み止めとして処方された強力なペインキラー(痛み止め)の 中毒症状から、ヘロインに手を出した人々です。 こうした処方箋薬は僅か1週間の摂取で中毒症状を引き起こしますが、 多くの人々は医師に処方される薬なら安全という意識が強いため、何の疑問も感じないまま服用してしまいます。
ですから息子さんには、留学前にアメリカの処方箋薬の恐ろしさを伝えて、 例え医師の処方でも服用する前にその薬の中毒症状や副作用等をインターネットでリサーチするように 言い聞かせる必要があると思います。 現在のアメリカにおいては、パーティー・ドラッグよりも処方箋薬の方が遥かに危険な存在なのです。

加えて申し上げるならば、アメリカでは急性アルコール中毒の友達を助けるために911(日本の110番)に通報した場合、 もしくは事件や犯罪を通報した場合には、例え通報者が違法にマリファナを吸っていたとしても、 未成年で飲酒をしていた場合でも、やってきた警官に逮捕されるようなことはありません。 逆にそれを恐れて通報を怠った場合は、それが立派な犯罪になります。 つい最近にも、アメリカの大学生18人がアルコールの一気飲みで倒れた学生のための通報を怠って 訴追される事件があったばかりですので、そうした事も留学前に息子さんにお話しされることをお薦めします。

アメリカの大学生活においては、日本よりもハードに勉強する反動で、パーティーもハードになりますが、 それもキャンパス・ライフの醍醐味ですし、大半の学生がそんなキャンパス・ライフを上手くナビゲートして 社会に出て行くのですから、息子さんがその落ちこぼれ側に属してしまうのでは?という 心配や憶測を抱くのは息子さんに対して失礼ですし、それはご自身のDNAに疑問を投げかけている事でもあります。
ですので「心配より信頼」を言い聞かせて 息子さんの自立をサポートして行くべきだと思います。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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