June Week 2, 2015
★Mentorship Can Be Your Shortcut To Success?
メンターシップは成功に導いてくれるか?


こんにちは。1年ほど 前にたまたまCUBE NYのサイトを拝見したのが最初のきっかけで、今では毎日見るのが日課になっています。 特にYokoさんの優 れた人間観察や洞察力はとてもすばらしく、一番興味を持って読ませて頂ています。 そんなYokoさん に、私も是非ご意見を伺いたいことがありました。

昨年から、とある自己 啓発系のセミナーに通っており、メンターシップと称して、特定の方に「メンター(師)」となってもらい、 主に仕事の事などを含めて教えを受けていまし た。
メンターには高額な セッション料を支払わなければならないシステムでしたが、とにかく自分の環境を変えたいと必死だった私は、 すがる思いで申し込みをし、最初こそ新鮮な気持ちでセッションでの学びを受けていましたが、 セミナーやセッションを受けるうちに、メンターの人間性に疑問を感じる出来事があったり、 メンターに勧められて転職活動 を行っていましたが、転職が決まった際に そのメンターから 「あなたの性格では 次の仕事での成功はままならない。あなたが成功できるようにサポートしたい」と 引き続き高額なセッ ションの継続を勧められ、その時点でそれがどうしても「営業」としか受け取れず、 そのメンターから距離を置くきっかけとなりました。

それなりの学びが得ら れたのは事実で、全てが「詐欺」のようだった、とは思わないですが、 それにしても「こんなものにひっかかってしまった」 という釈然としない気持ちも拭い去れずモヤモヤとしています。
また、そのセミナーでは「成功者は成功者になりえる思考のルールがある」とか、 「ポジティブな思考こそが全て」という考え(教え)で、私が少しでも客観的に考えようとすると、 それを「ネガティブである」と批判されることが多くありました。 私は「成功哲学」なるものも存在するとは思いますが、結局は「信念」 といえる努力や行動力が成功を生むのだと思うし、 ネガティブ=失敗といった捉え方も、なんだか短絡的に思え、ネガティブ思考でも結果を出している経営者も多く存在するのでは?と思ったりします。

NYには世界的に成功したビリオネアが数多存在している街だと思われますが、そんなNYに長くビジネスを経験しているYokoさんから見て、 NYにおける成功者や、メンターシップ、成功 哲学に関しての捉えられ方について、 是非ご意見やアドバイスをお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

−J−





正直なところ、Jさんのメールを拝見して まず私が思ったのは メンターにどうしてお金を払うんだろう?という事でした。
アメリカのビジネスの世界では、メンターというと 自分の職場の上司であったり、自分が目指す世界で既にある程度のサクセスを収めている人で、 利害が一致する関係、もしくは利害や金銭のやり取りが絡まない関係です。

自分の職場の上司の場合、部下のパフォーマンスが上司の成績に繋がりますので、上司が部下を鍛えるのは当然ですが、 そのプロセスで 特に上司に個人的に気に入ってもらえた場合に、 単なる仕事の指示やインストラクション以外に、職場の人間関係や人生全般について、経験者としてのアドバイスをしてくれるのがメンターです。

自分が目指す世界でサクセスを収めている人については、インターンとしてタダ働きでも良いから、その人の傍に居て学ばせてもらうような 関係からスタートするのが普通です。先週のフェイバリットのセクションで、 全米No.1の不動産ブローカー、フレデリック・エクランドの著書をご紹介しましたが、 その中でも 彼が「ベストから学ぼうと思ったら、最初はタダ働きでも当たり前。しかもそんな人のところにはタダで働きたい人間が沢山 寄ってくるから、その中で 相手に興味を持ってもらうような何かをしないと、タダで働くことさえ出来ない」と書いています。

運良くタダ働きのポジションに就けたとしても、本当の成功者は 自分の成功の秘訣をぺラぺラ喋るような お人好しやお調子者ではありません。 何も教えてくれないのが普通ですから、自分で その人の成功の秘密は何なんだろう?、どうやって時間をマネージしているんだろう?、 どうやって人間関係を切り開いているんだろう?といったことを、仕事をしながら独学で学んでいかなければなりません。
そうするうちに実力や、人脈を少しずつ身につけたり、仕事面で戦力になってきた時に、 「初めてメンターになってもらえるかも知れない」というのが 競争が激しいアメリカのビジネス界です。

でもそんなメンターになってくれるという オファーとて、必ずしも善意に基づくものとは限りません。 将来自分の役に立つかも知れない人間、将来自分の脅威になるかも知れない人間を 自分の傘下に取り込むために メンターシップを利用するビジネスマンの方が多いと言わなければなりません。
そうでなければ、食うか食われるかの競争社会のアメリカから メンターシップなど生まれるはずが無いのです。

したがって、このように申し上げると大変失礼なのですが Jさんが体験されたメンターシップは、本来のメンターとは異なるものと言わなければなりません。 メンターに教えを仰ぐプロディジー(Jさんのポジション)が、メンターにお金を支払う ”クライアント”でもあるというのは 非常に矛盾したコンセプトです。
もちろん、アメリカには貧困家庭の子供を大学進学に導くためのメンターシップなどが存在しますが、そのメンターは全てボランティアで、 一銭も支払われていません。メンターがビジネスになるというのは非常におかしなことなのです。

さらに申し上げてしまうと、 成功者のセミナーから成功者が生まれるか?というのも私は疑わしく思います。 周囲が同じように考えたり、行動したりする中で、人がやらないことをするからこそ成功者になれる訳であって、人と同じような考え方を埋め込むようなセミナーから 成功者が生まれるとは私には考えられません。
そもそも成功は苦しんで勝ち取るもので、学んで身につけるものではありません。 成功までのプロセスで、苦しんで強くなるからこそ 成功に辿り着けるわけで、そのために必要なのは体力や信念、失敗を恐れないチャレンジ精神、 失敗したり、裏切られたりしても折れない強さ、ハードワーク、人と違うアイデア、人を惹き付ける魅力や自信、話術、直感、判断力、精神力、 優しさ、厳しさ、思いやり等 であっても、 既に誰かが達成した成功の二番煎じのフォーミュラではありません。

Jさんには、Jさんのサクセスのフォーミュラがあるはずですし、それは簡単にひらめいたり、ましてや人から教えてもらえるものではありません。 ご自分が目指すサクセスまで時間がかかるかもしれませんし、何処から手を付けたら良いか分からなかったり、 本当に自分が何をやりたいのかも分からずに 苦しむ時期が続くかもしれませんが、 そうやって妥協せずに人生に取り組むこと、自分を幸せに導こうとすることこそが 生きることの意義なのです。 表面的ではない、本当に幸せな人生を送っている人ほど、葛藤の時期が長いのです。
自分の苦境を克服して、人間として強くなるからこそ、人生の様々なサクセスを手に入れることが出来るのですから、 苦しい時こそ、「自分がここで何を学ばなければならないのか?、運命が自分に何を教えようとしているのか?」と考えて、 他人よりも 自分自身を信じて頑張るべきなのです。

本当の成功者が、自分のサクセスの秘訣を易々と語らないのは、自分の敵に塩を送りたくないこともあるかも知れませんが、 成功が教えられるものでは無いことを、誰よりも熟知しているからだと私は考えます。
でもアメリカの各界の成功者のライフスタイルには共通点がいくつかあると言われます。 それは、まず早起き、エクササイズ、時間を有効に使う、ハード・ワーカーである、良く眠る、 その日に片付けるべきことはその日のうちにやってしまう(問題や仕事を先送りしない)などですが、 これらは頭で描くほど簡単でないだけに、これを日々実践する方が、成功に近付けるのでは?というのが私の考えです。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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