May Week 4, 2015
★My Boyfriend Has a Drinking Problem...
お酒癖が悪い彼、結婚を考えるのが不安です!


こんにちは、毎日のようにサイトにアクセスしている秋山曜子さんの大ファンです。
日本に居ると海外のことは かい摘んだニュースしか入ってこないのですが、キューブさんのサイトだと、 アメリカ社会とか、アメリカ人の考えとか習慣とかも良く分かって、とっても勉強になっています。 私もアメリカが好きで、以前留学していたことがあり、機会があったらまた外国、できればアメリカ、その中でもニューヨークで暮らしてみたいと思っています。

そんなアメリカ社会に通じていらっしゃる秋山さんに是非アドバイスを仰ぎたいことがあります。
今 お付き合いしている彼氏は、仕事の関係で日本に一年くらい暮らしているアメリカ人で、私達が付き合い始めてから半年くらいになります。 日頃は大人しいくらいの人で、優しいですし、ジェントルマンなのですが、お酒を飲むと人が変わります。 最初は、大声でふざけた感じで振舞っているんですが、もっとアルコールが入ると落ち込んで愚痴ったりします。 私に暴力を振るうことは無いのですが、一度彼に飲むのを止めさせようとしたアメリカ人の友達に 腹を立てて、彼には当り散らすような態度を取っていました。
その時に そのアメリカ人の友達に、「彼は深刻にアルコールについてのヘルプが必要だ」と言われてしまいました。
以来、彼はあまり飲まないようにしていたのですが、やはり羽目を外す席になると、また似たような事になります。

そんなお酒癖が悪い人というのは時折居るものなので、私はあまり気にしないようにしてきましたが、 彼と出会う前からずっと仲良くしてきたアメリカ人と日本人のカップルに少し前に、 「日本とアメリカでは、酔っ払いの定義が違うんだよ。アメリカでは彼は完全にアルコール中毒者だ」と 言われて、「今は君に八つ当たりしたり、暴力を振るったりはしないけれど、やがては分からない。 将来を考えるのなら、彼にお酒をやめてもらうべきだ」と忠告されてしまいました。

彼はいずれはアメリカに戻る身で、実は今、私達は結婚について話し始めています。 彼のお酒癖は、日本に来てから悪くなったような気がするので、アメリカに戻って もっと社会が酔っ払いに対して厳しい目を向けたら、日本に来る前の状態に戻れるかな?とも思っていますが、 映画やドラマに出てくるような、酔っ払った夫のドメスティック・バイオレンスの犠牲者にはなりたくありません。
彼のことは好きですし、何より理想のアメリカで暮らしたいという気持ちもとても強いのですが、 彼と一緒にアメリカに行くということは、彼と結婚して、彼が家族になることですので、お酒の問題は正直なところとても不安です。

秋山さんはニューヨーカーとして 彼のような酒癖の悪いタイプにはどのような印象を受けますか? また彼と一緒にアメリカに行くことになる場合、彼にお酒をやめてもらうべきなんでしょうか? お酒をやめた場合に、ビジネスとか社交の場で、不利になったりすることはあるんでしょうか?
洞察力が優れた秋山さんの視点をとても信頼しているので、 これらについて、アドバイスして頂けるとすごく助かります。 どうか、よろしくお願いします。

−R−





Rさんのお友達カップルがおっしゃるように、確かにアメリカ社会と日本社会では、お酒に対するカルチャーが異なるので、 お酒に酔うことや、酔った人を見る目が異なるのは事実です。
私は元アルコール中毒だったにも関わらず、バーテンダーをしているという不思議な人に会ったことがありますが、 「どのくらい飲んだらアルコール中毒に見なされるの?」と訪ねたら、帰ってきた答えは「1日にワイン1本は飲んでいた」というもの。 「意外に少ない」と思ったので、それをそのまま ワイン好きな日本人の友達にフィードバックしたところ、 「じゃあ、私もアルコホリックだわ!」と言って笑ってたのを覚えています。

同じワイン1本を飲む場合でも、アメリカの 人前で酔ったところを見せるのが みっともないカルチャーの中では、 酔い潰れてしまった場合、罪悪感を覚えて、お酒の誘惑に勝てない自分が情けなく思える一方で、 家族や友人からはアルコール中毒扱いされることになります。
ところがそれが、ロシア、イタリア、日本など、 酔っ払うことに寛容なカルチャーの中では、 同じくワイン1本に匹敵するアルコールを飲んで、酔い潰れたとしても、Rさんが書いていらした通り、 「お酒癖が悪い」と言われる程度で、アル中扱いされるには至らないのが実情です。
そんなカルチャーの違いがドリンカーの精神状態に及ぼす影響が大きいこともあり、アルコール中毒、もしくは依存症と見なされる人が多いのは、 断然アメリカ。 一度でも人前で酔っ払って醜態をさらせば、 「アルコールに対するコントロールが効かない」というレッテルを貼られて、キャリアでも社交でも かなりのダメージになりますし、 お酒が絡む大切な席に あまりお声が掛からなくなっても不思議ではありません。

要するにアメリカという国は、スプリング・ブレーク(春休み)の大学生でもない限りは、酔っ払うまで飲んではいけない国ですので、Rさんのボーイフレンドのように 酔って落ち込んでしまったり、飲むのを止めようとした人にからむような態度を取ると、 確かにアルコール中毒扱いをされても文句は言えない感じです。 なので、アメリカでは自分がそうなると自覚している人は、お酒を飲まないのが通常です。
これが日本であれば 飲まない主義の人でも、 お酒に弱い人でも、「1口だけ…」と、形だけお付き合いするケースが見られますが、 アメリカの場合、飲まないと決めた人は本当に1滴たりとも飲まないのが通常で、 そうした人に対しては、 たとえ形だけでもお酒を注ぐことは 非常に失礼な行為でもあります。

「アメリカ人でお酒を止めた」という人は、”酔っ払うとコントロールが効かなくなる” という人だけでなく、 「アルコールを分解し難い体質で、二日酔いになり易い」という人も居れば、 「親がアルコール中毒だったので、それを見て自分は飲まないと決めた」という人、 「翌朝の仕事やエクササイズに影響するから飲まない」という人など、 その理由は様々。 飲まないからといって身体が弱いと見なされたり、アルコールの問題を抱えていると解釈されることはありません。
したがって、お酒を飲まないということで、社会的に損をすることはないですし、 逆に信頼される場合や歓迎されるケースもあります。

でもこれが社交、もしくはビジネスにおけるソーシャル・オケージョンになると、特に企業のCEOやエグゼクティブは、 高額なワインやスコッチを好む人が多いだけに、それを一緒に楽しむことが 人間関係に 有形無形のメリットをもたらす場合は少なくありません。
基本的にアメリカ人は、お酒無しでもオープンな国民性ですが、お酒が入る社交の方が 話題が広がったり、お互いを理解し易くなるので、 お酒が入らない2時間の会話よりも、お酒が入った30分の会話の方が 遥かに人間関係を親密にします。

ですので、上手く使うと商談や社交の武器になるのが アルコールを交えたオケージョンですが、 前述のように 一度でも醜態をさらした場合のアメリカ社会でのダメージは、特にビジネス・オケージョンでは多大です。
ひょっとしたら Rさんのボーイフレンドは、酔っ払うことに対する許容範囲が広い日本社会で、 酔うまで飲む習慣が付いてきてしまったのかも知れませんが、同じことをアメリカでやってしまって、 アル中扱いされいるうちに、本当にアル中になってしまうというのは ありがちなシナリオです。

ですので、彼との将来を真剣に考えたいのであれば、日本に居る段階から、 彼に「1滴も飲まない」禁酒が出来るかをトライしてみるのが良いと思います。 もしそれに対して、彼が「アメリカに戻ったら、飲むのを止めるから」とか、「そんなことまで干渉されたくない」というような態度を取ることがあれば、 彼との将来を考えるのを その時点で止めた方が、その先に待っているトラブルを回避することが出来ます。

中毒も病気と同じで、なってしまってから治すよりも、なる前に防ぐ方が、遥かに簡単で確実な解決策です。 でも「それが出来ない」、「やりたくない」というのであれば、彼の人生に対する取り組み姿勢に問題があると解するべきです。 人間には誰にでも、問題や欠点がありますし、完璧な人など存在しませんが、 アルコールの問題、ドラッグの問題というのは、それに目を瞑って結婚したり、 苦労を承知でついて行こうなどと考えるべき問題ではありません。
どんなにきれい事を言ったところで、愛情や幸せというのは 健全な精神状態や十人並みの生活の上に成り立つものですし、 私が知る限り、アルコール中毒者と結婚して幸せになったという人は居ません。 Rさんが現在感じていらっしゃる不安も、まさにそういう事だと思います。

そもそもアルコールでも、ショッピングでも、食べ物でも、好きを通り過ぎて、依存症や中毒症状になる人というのは、 人間的に弱いことが指摘されていますが、お酒を飲んで人が変わってしまうというタイプも、 日頃は自分を抑えて生きている、すなわち本当の自分をさらけ出す強さが無い場合が殆どです。
したがって、彼とのことをお酒の問題だけで考えようとせずに、 そんな彼の人間的な弱さが、 Rさんの生涯のパートナーになった場合、どんな影響を及ぼしてくるかを 彼の行動や言動から見極めていくことも大切です。

以前キャッチ・オブ・ザ・ウィークのコーナーに書いたことがあるエピソードですが、 ある心理学者によれば、人間の人生の大方のシナリオは4歳児の段階で決まっているといいます。 その心理学者が4歳児に対して行うのが、目の前にクッキーを置いて、15分間食べずに我慢するというテストで、 子供達は、「15分我慢したら、もう1つクッキーがもらえる」というご褒美を提示されて、テストに挑みます。
でも、「たった15分我慢するだけで、ご褒美がもらえる」と知りつつも、途中でクッキーを食べてしまう子供が何人も居るのです。 そういう子供達は、誘惑に弱く、欲望を抑えられない一方で、モラルを曲げてしまうところがあるので、アルコールやドラッグの中毒や肥満、不摂生、 さもなくば悪い交友関係に巻き込まれたり、ビジネスの不正行為に走る傾向も強いとのこと。
もちろん、クッキーを食べた子供の親達は、このセオリーに猛反発するそうですが、実際のところ人間が人生を踏み誤るか、そうならないかの 分かれ目になるのは、自分をコントロールできるか?、自分をコントロールする強さがあるかなのです。

したがって長い人生のパートナー選びというものは、収入やルックスやキャリアなど、 一時的で この先どうなるか分からない条件を考えるよりも、 人間の本質を見極めて考える方が、遥かに正しく、自分の将来のための選択が出来ると私は考えています。

Yoko Akiyama


このセクションへのご質問は、ここをクリックしてお寄せください


Will New York 宿泊施設滞在


執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。




PAGE TOP