May Week 3 2017
★ "Savvy Businessman or Else "
"敏腕ビジネスマンとそうでない人の違いは?"



秋山 様
キューブ ニューヨークのサイトはずっと愛読してきましたが、初めてお便りします。 私の相談にもアドバイスがお願いできればと思います。

私は年上の夫と結婚したため、夫はそろそろリタイア後についていろいろ考えを巡らせています。
夫は大企業にずっと務めて、実家にもお金があって、お金の苦労はしたことが無いので、投資などについては ちょっと楽観的ところがあって、以前も友達のレストランに投資をして損をしたことがあります。 幸い金額は大したことはありませんでしたが、そのせいか懲りていない夫は また友達のビジネスに投資をしようとしています。
その人は、私の目から見ると定職が定まらないイメージがあって、金融の会社を辞めてから 独立してビジネスを始めて、それが上手く行きかけたところでに不運に見舞われたそうで、また金融絡みの仕事をして、 その後また別のビジネスを始めて、景気が良さそうにふるまったかと思うと、また違うビジネスを始めてみたいな感じの人で、 仕事のカテゴリーは似ていても、売り出している物とか、サービスとかが頻繁に変わっていて、 私はあまり信用できないような感じを持っています。

ですが夫から見ると、そんな友達は「世渡りが上手くて、アイデアが豊富で、いろいろなことからお金を稼ぐ」というイメージがあるようで、 その友達を人間としても気に入っている様子です。 そのためその友達に投資をすることをすごく前向きに考えていますが、そんな夫でさえも時々心に引っかかるようなのが、 その人が普通の連絡はすぐにしてくるのに、お金が絡む話になると返事が遅くなることです。 きっと他にも注意して見ていたら、その友達が実はそんなに凄いやり手ではないという 証拠みたいな部分が出て来るように思いますし、そういうところを指摘したらきっと夫もその人への投資を止めると思うのです。
以前のこのコーナーで、秋山さんが 「インベスターになるといった男性が、他は全部ステータスの高いものを身につけていたのに、 安いブランドのパンツを履いていたので変だと思った」 と書いていらしたのを読んで、 もし秋山さんなりに 何かやり手ビジネスマンとそう振る舞っているだけの人を見抜く指標みたいなものをお持ちでしたら、 それを是非教えて頂きたいと思ってメールをしています。
お忙しいところ恐縮ですがよろしくお願いします。

- K -





Kさんのメールを拝見した印象では、私もご主人のお友達への投資はリスキーなように思えます。
それは「定職が定まらない」というKさんのご指摘もあるのですが、 基本的に頻繁にビジネスの内容が変わったり、売るプロダクトやサービスが替わるというのは、 「それまでやってきたことで儲かっていないから」と判断されます。 もし本当に羽振り良く儲かっているのであれば、それを止めたり、別のものに切り替える必要は無いはずなのです。
もちろん、今までやってきたことを継続しながら手を広げていて、それに応じてスタッフが増えたり、組織が拡大している場合は、 ビジネスが上手く行っていると判断されますし、自分のビジョンを持ってそれを仕切っている人は 敏腕ビジネスマンと見なすことが出来ます。
ですが組織が拡大しないまま やっている事だけが増えたり、 替わっていくというケースは、定職が定まらないというより 定収入が無いとも考えられるので、どんなに羽振りが良さそうでも その実態はかなり厳しい場合も少なくありません。

特にニューヨークのように、自分の経済的な弱さを見せることが不利になる街に暮らしていると、 自分をよりリッチにサクセスフルに見せようとする人に遭遇することは多いですが、 やはり話が過度に大きくて具体性が無い人というのは、他人の話の聞きかじりをそのまま自分の事のように語っている場合が多いと思います。
またソーシャル・メディアで見せびらかすようなポストが多かったり、実際とは異なる肩書や経歴を謳っている場合、 学歴をうやむやにする人、経歴やキャリアについてに不明な部分や筋が通らないところがある人、 ネーム・ドロップ(著名人の名前を出すこと)をして、自分の信頼を高めようとする人なども シリアスに捉えるに値しない人物だと思います。
ちなみに学歴に関しては 決して華々しい必要は無くて、例えばイヴァンカ・トランプの夫のジャレッド・クシュナーなどは ハーバード大学を 卒業していますが、入学に際して親が大学に約3億円を寄付していた訳ですから、学歴が実力を反映する訳ではありません。 ですが それをごまかしたり、うやむやにしようという姿勢は、やはり胡散臭いというイメージがありますし、 そういう人はビジネスの決断に見栄や体裁が介入するので、私は関わりたくありません。

加えて、自分の仕事のサクセス談を 事あるごとに話す人も私は信頼しません。 以前私の友人が不動産ブローカーと交際をしていて、彼は売却して高額コミッションを受け取った物件の取引などを 自慢げに語っていたそうなのですが、不動産というのは売買の記録がパブリック・レコードとして残るため ある日彼女が興味本位で 彼が自慢していた取引を調べたところ、それがウソであったことが発覚したことがありました。
またそれが事実でも、何年も前にたった一度だけ上手く行ったビジネスのサクセス・ストーリーを、 毎月起こっているかのように語る人なども居るものです。 ですが、男性でも女性でも本当にビジネスでサクセスを収めている人ほど、仕事については ペラペラと語らないものなのです。
逆にどうして自分のサクセス・ストーリーを人に語って聞かせたいのか?という心理を考えると、 それが事実である、無しとは無関係に、その人物を信頼したり、その人のビジネスに投資をしようという気持ちにはなれないというのが 私の考えです。

とは言っても話が大きく、サクセスを強調する人に限って、人を惹きつける魅力があったり、 大胆な人柄で会話を仕切ったりするケースは少なくありません。 ですからそんな人柄にダイナミックさや世渡りの上手さを見出して、 ビジネスの実態を把握しないまま 投資を考えてしまうケースは全く珍しくありません。
またそういう人にとっては世渡りが全てで、社交が自分のチャンスやお金をを運んでくるので、 神出鬼没なほど いろいろなところに出て行きますし、コミュニケーションも怠らない傾向にあります。

ですがシリアスなビジネスの話になると、プランに具体性が無かったり、 その計画が楽観的で不確定要素が多いなどの問題を抱えているケースは多いですし、 お金の動きや見積もりに疎かったり、簡単に進められるところから手を付けて、ビジネス・プロジェクトを進めているかのように 見せかける人も少なくありません。
お金儲けというポイントについて言えば、何でもどんぶり勘定でしか見積もりをしない人、 借りたお金を直ぐに返さない等、お金にルーズな人、 直ぐに自腹を切ってしまう人、収支を考えずに利益を譲ってしまう人、単品のコストは理解していても総額をきっちり把握していない人、 不意の出費を計算しない人というのは、お金儲けが出来ない人と言っても過言ではありません。

世渡り上手が投資を募って、それを使い果たしただけで終わったのが、今年4月末と5月1週目の週末に バハマのプライベート・アイランドで行われることになっていたファイヤ・フェスティバルです。 それについてはCUBE New Yorkでも記事にしましたが、 ラッパーのジャウールと、親のスネカジリの自称ITアントレプレナー、ビリー・マクファーレンが、 インベスターから投資を集め、フェスティバルのプロモートのためにスーパーモデル達を雇い、 インベスターのお金で彼女らと散々パーティーを楽しんだものの、肝心の開催の準備は全く手つかずで、 130万円以上のVIPパッケージを含む高額チケットを購入してやってきた人々が、 難民キャンプ以下の待遇を受けた様子はアメリカで大ニュースになっていました。
主宰者側は このフェスティバルが詐欺ではなく、自分達も被害者だと弁明しているものの、チケット購入者やインベスターから 損害賠償の訴訟が起こされているので、まだまだこの騒動の決着には時間が掛かりそうな気配です。 ですがこのニュースを見守った一般の人々の間では、 スーパーモデルがビーチで過ごすプロモーション・ビデオやフォトだけを信頼して、 実態が全くないミュージック・フェスティバルのチケットに大金を払った人々や、ミュージック・フェスティバルを主宰したことが無い 2人の素人に億円単位の投資をしたインベスターに対しても 疑問を投げかける意見が殆どで、 その被害に同情する声は全くといって良いほど聞かれなかったのが実情です。

でもセレブリティやスーパーモデルの名前や、彼女らをフィーチャーしたPRビデオに上手く乗せられた人々は、 インフラ整備が整っていない島の様子をグーグル・アースで調べることも無く、プライベート・アイランドでセレブリティやモデルと パーティーやミュージック・フェスティバルをラグジュアリーなセッティングの中で楽しむ事しか考えられなかった訳で、 中にはかなり無理をして高額チケットを購入した人々も居ることが伝えられています。
他人の話だと愚かに思えることでも、一度自分がその立場になると、後から振り返ればあやしい事だらけの話を信じてしまったり、 それに投資をしてしまうのは珍しくない訳で、そんな話に上手く乗せられる人々が居るからこそ、 世渡り上手達が生き残って行けるというのも 世の中の仕組みなのだと思います。
そうしたプランや投資話に乗せられてしまう人というのは、 往々にして何か引っかかるものを心に抱きながらも、自分でそれを掻き消してしまう人が多く、 結果的に騙されることになるのは、相手が上手だったというよりも 自分がそれを信じようと努力したためであったりします。

Kさんのご主人の場合、既にお友達の投資について引っかかる部分がある訳ですので、 Kさんはご主人が自らその点について 更なる疑問を投げかける方向に誘導するべきなのです。 そのためにはKさんが問題点を指摘したり、ご主人と投資をめぐって口論をしてしまうと、 ご主人がお友達を擁護する側に回って、自分の不安を掻き消して、投資に踏み切ってしまう可能性があります。
このケースでは Kさんが常にご主人の味方という立場を取って、 ご主人を説得するのではなく、自分で悟るように導くことをお薦めする次第です。

Yoko Akiyama

このセクションへのご質問は、ここをクリックしてお寄せください

プライベート・セッションはこちらからお申し込みください


執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

Shopping
home
jewelry beauty health apparel rodan

Q&ADV プライベート・セッション

PAGE TOP