May Week 1 2018
★ "Tattoo is Taboo in My Family"
彼のタトゥーのせいで、結婚が危機!



いつも 必ずCUBE さんのサイトをチェックしています。私もアドバイスをお願いしたいです。

アメリカ生活の最中に付き合い始めたボーイフレンドとの結婚を考え始めました。
家族にそれを報告したところ、最初はやはり外国人ということで賛否両論のリアクションで、 特に両親は 彼の仕事がレストラン・マネージャーなので、あまり将来性がある仕事とは思えないということで、最初から反対モードでした。 私の父も含めて家族や親戚は、医者や歯医者ばかりなので、それは仕方がないのかもしれません。
家族は 外国人の何処の馬の骨だかわからない彼の身元調査としようと思ったみたいで、彼のフェイスブック・ページをチェックしたのですが、 その中に、彼が上半身裸でビーチに居る写真や ジムでワークアウトをしている時の写真があって、 彼の身体にタトゥーが沢山あることがバレてしまいました。 そのせいで、家族や親族がいよいよ真剣に結婚に反対し始めました。

実は私も最初に彼のタトゥーを見た時はちょっとビックリしたのを覚えているのですが、服を着ていたら見えない場所にしかタトゥーはありません。 以前はプロを目指していたアスリートだったので、その時代にタトゥーが増えたと本人は言っていましたが、 私と結婚したら アニヴァーサリーを忘れないようにするために、結婚記念のタトゥーをすると言っていたりします。
タトゥーのサイズがどのくらいかと言いますと、デヴィッド・ベッカムみたいに身体中を覆っている訳ではないのですが、背中とか、腕とか、わき腹に結構大き目のものが入っていて、 確かにちょっとギャングっぽい感じがします。昨年の夏に彼がジムの帰りでノースリーブのTシャツを着ている時に 会った日本の友達には 「大きな彫り物がある」などと言われてしまいました。

家族は とにかく彼のタトゥ−を毛嫌いしているので 「結婚どころか交際も論外」と大反対していますが、 彼は「自分のタトゥーのせいで 人柄まで疑う私の家族の方がおかしい」と言っていますし、私もそれはそうかとも思います。 彼には、「アメリカではこのくらいのタトゥーは当たり前だと両親に説明するべき」と言うのですが、 「当たり前」というのは言い過ぎな感じだったりします。
秋山さんにお伺いしたいのは、アメリカ社会でタトゥーがどのくらいの社会的なディスアドバンテージになるのか?という事です。 両親が心配しているのは、彼がステータスがさほど無い仕事をしている訳ではないこともあって 彼のタトゥーのせいで、 社会的に何等かの不利な状況になることで、その不安は私も無きしもあらずです。
彼が良い人なので、一緒に居る時間が長くなってからは、私も彼のタトゥーに慣れてきましたが、 いきなり頭が固い家族、特に両親が彼を受け入れるのに無理があるので、 家族に彼のタトゥーについて説明する場合は、 アメリカ社会で彼のようなタトゥーがどんな風に受け取られるのか?を知ってもらうべきだと思っています。
彼と結婚したら 私は日本には住まないと思うので、日本の銭湯や温泉に行くことなどは心配などはしていませんが、 家族、特に両親が納得しない相手と結婚する勇気が自分にあるとは思えません。 ですのでアメリカ社会において タトゥーがどんな風に見られるのかについて、アドバイスして頂けると嬉しいです。
よろしくお願いします。 これからもお身体に気を付けて 頑張って下さい。

- E -



アメリカというのは、様々な人種が居る上に、国内に4つの標準時間が存在する広大な国土ですので、タトゥーに対する考えや 意識も それぞれの人が属する社会やバックグラウンド、そして世代でも異なります。 ですので、それを一括りにして 「アメリカではこうです」と言い切ることは出来ませんし、言い切ったとしたら それは間違いになるかと思います。

アメリカでは、ベビーブーマーの世代からタトゥーをしている人が少なくありませんでしたが、 だからといってタトゥーに偏見が無い社会ではありませんし、一言にタトゥーと言っても そのサイズやモチーフで、印象やリアクションは全く異なります。 見るからにギャングスタといったタトゥーは周囲を威嚇する一方で、偏見を招きますが、 ヨギがヒンズー語のタトゥーをしていた場合は、たとえ意味など分からなくても それを見た人はスピリチャルな意味合いを感じ取ることになります。

以前はタトゥーというと、永遠に肌に刻まれるイメージでしたが 2000年代に入ってレーザーの技術が進化してからは、 若い頃に入れたタトゥーを消す親達が増えて、ニューヨーク・タイムズ紙でもレポートされる現象になっていました。 タトゥーを消す理由は、「タトゥーに飽きた」というものから、「タトゥーを入れた当時と価値観が変わった」というものや、 子供とビーチ・ヴァケーションに行く際や、プール・パーティーに出掛ける時に体裁が悪いといったものが大半でした。
やはり親がタトゥーをしていると、その子供もタトゥーをする傾向は強いようで、 親のタトゥーに対する価値観、すなわち「タトゥーが自己表現の手段である」とか、 「タトゥーによって自分の歴史を自分の身体に刻み込む」といった考えが、そのまま子供に引き継がれるケースが多いようです。

また、タトゥーは 日焼け同様に 中毒症状があり、 タトゥーを入れ続ける人、肌を焼き続ける人は、それぞれに自分のタトゥーや日に焼けた肌に ステータスや価値を見出している訳ですが、 それと同時にコカインが脳にもたらすような アドレナリンを感じることが指摘されています。 どちらも肌に感じる痛みを乗り超えて実現するだけに、独特の達成感、自分の作品を眺めるような優越感や自己陶酔をもたらすことも指摘されています。
それだけに、タトゥーを嫌う人の中には 見た目の印象もさることながら、そのメンタリティを懸念するケースは少なくありません。

それとは別に、アメリカで逮捕されて起訴処分になった場合は、身長体重、目や肌、髪の毛の色といった外観的な特徴の一部として 警察のデータベースに ファイルされるのが、その人物の詳細なタトゥー情報です。それを 「タトゥー=犯罪者」という 偏見と捉える声もありますが、 実際に犯罪の目撃者は容疑者のタトゥーを覚えていることが多く、タトゥーが犯罪者の割り出しに貢献するケースは非常に多いと言われます。
そんなこともあって、タトゥーだらけのヘヴィメタ・バンドのメンバーが 自宅の不法侵入者を警察に通報したところ、駆け付けた警官に 逆に不審者だと思われて、自宅で 不法侵入の罪で逮捕されるというエピソードもロサンジェルスで起こっていますが、 確かに過激なタトゥーをしていた場合、そのせいで警察関係者に偏見を持たれる傾向は否定出来ないかと思います。

その点、ミレニアル世代は、タトゥーに対する偏見が 極めて少ないと言われるジェネレーションですが、 タトゥーの持つメッセージ性や、そのモチーフには 敏感で、タトゥーをしていることには偏見を持たなくても そのタトゥーにネオナチ的な要素が見られる場合などは、そのせいで人間性にも不信感を抱きます。
もちろん医師、弁護士などはタトゥーが無い方が無難な職業ですし、業種に限らず コンサバティブもしくは年齢層が高い客層を相手にする場合には、 タトゥーがプラス要因に働くことはあまり無いように思います。
だからといって タトゥーをしていることが悪い訳ではありませんので、好き嫌いは別としてタトゥーによって相手に偏見を持つべきではありませんし、 Eさんのボーイフレンドのようにレストラン・マネージャーで、日頃服で覆われている部分にしかタトゥーが無い場合には、 仕事には影響しないと思われます。
ですが、アメリカ社会でタトゥーがどう捉えられていたとしても、それを説明することによって ご両親が彼に対して抱いている 偏見を取り除くことは、 難しいように思います。

それよりも私が気になったのは、未来の結婚相手かもしれない彼に対するEさんのどっち付かずのご様子でした。 頂いたメールの文面から私が感じたのは、Eさん自身も彼のタトゥーに少なからず違和感を覚えていらっしゃることで、 最初はボーイフレンドと結婚に向けてのムードが盛り上がっていたかもしれませんが ご家族に反対されるうちに、Eさんご自身が掻き消そうとしていた違和感や不安が蒸し返してきたような印象を受けました。
こうしたケースの場合、Eさんが本当に彼との結婚を望んでいらっしゃるのであれば 「どうやったらご両親が説得できるでしょうか?」という形で アドバイスを求めたように思うのですが、 「アメリカ社会でタトゥーがどのくらいの社会的なディスアドバンテージになるのか?」というご質問は ご家族を説得するほどEさんの気持ちがしっかり固まっていないので、彼と結婚すべきかを見極めるための 情報収集を望んでいるというものです。

私が知る限り こうした状況の場合、 VISAの都合など、何か結婚に踏み切るトリガーが無い限りは、 Eさんが状況を見極めようとしている間に やがてEさん、もしくはお互いがさほど結婚を積極的に考えなくなるものです。 もしご家族に反対されて、それに反発する気持ちがEさんにある場合は、その勢いで彼と結婚していたかもしれませんが、 現在のEさんは ご家族に反対されて 結婚への意欲が萎えてきているように感じられるので、それはやがて彼も察知するように思います。

いずれにしてもこのケースで真剣に見極めるべきなのは、アメリカ社会におけるタトゥーについてではなく、 Eさんの彼に対する本当の気持ちです。 それをタトゥーの問題にすり替えて 考えようとする姿勢を改めないと、余計な問題に時間とエネルギーを使うだけで、 本題を見失ったままになるかと思います。

Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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