Apr. Week 3 2018
★ "My Wife Wants to Go Back to Japan"
妻がアメリカ永住希望と思って結婚したのですが…



ニューヨークに住んでいた頃からcubeさんのサイトの大ファンです。今は仕事の関係でニューヨークを離れましたが、アメリカ在住で いつかまたニューヨークに戻りたいと思っています。
実は、こうしてメールを書いているのもそのアメリカでの今後について、秋山さんに相談したかったためです。よろしくお願いします。

ニューヨークにいた時に現在の妻に会いました。その頃から一緒に暮らしていましたが、 自分が仕事でニューヨークを離れるという段階になって、一緒について来ると言ってくれたので、「それならば、いっそ」という感じで2年前に結婚しました。 自分にとっては2度目の結婚で、妻は初婚です。
妻は自分より10歳以上年下ですが、お互いに子供は作らず、アメリカ永住希望と思っていたのですが、 西海岸に移住して日本が近くなったこともあって、妻は以前より頻繁に一時帰国するようになりました。 そして先日、「老後はやっぱり日本で過ごしたいから、アメリア生活をどこかで打ち切らないと」と言われてビックリしました。

正直言って、自分には日本に帰ろうという気持ちはありません。アメリカの方が自分に合っているし、仕事もアメリカの方が有利です。 でも妻は前回は彼女がNY生活を捨てて自分についてくることになったので、今度は自分が妻のために妥協する番だと考えているようです。
未だ先の事だから、考えないようにしようと思ったのですが、思っても見なかった日本帰国のオプションを提示されたせいで、 何となく妻との関係がギクシャクしてきました。 こちらは永住を考えて、長い展望でアメリカ生活を考えていますが、妻はアメリカ生活がやがて終わるものだと思っているので、 そうなっても仕方ないように思いますが、もし妻が本気で将来日本への帰国を考えている場合、 それに同行するつもりはないので、何故やがてダメになる夫婦関係を続ける必要があるのかが分からなくなってきました。 妻もそう思っているのが良く分かります。
友達夫婦に相談したら、妻を説得するべきだとか、結婚生活を通じて夫婦の絆が深くなったら、妻が帰国を諦めると言われましたが、 今の段階で既にギクシャクしているので、このまま生活を続けても絆は深くならないと思いますし、 自分の人生展望を妻に押し付けるような気持ちにもなれないので、妻を説得しようという気にもなれません。 お互い人生は一度ですから、妻は妻で自分が生きたいように生きるべきだと思っています。
そう言ったら、友達にも、妻にも「マイペースで冷たい」と言われましたが、秋山さんはこんな私をどう思いますか? やはり「冷たい」とか「間違っている」という風に思えるでしょうか?
いつもこのコーナーの秋山さんの考えを読むのが好きなので、秋山さんだったらこの状況をどう考えるかを 伺ってみたいという気持ちもあってご相談してみました。 このままだと 妻とは多分別れることになると思いますが、妻と自分の双方にとって離婚の最善の別れ方やタイミングなどについてもアドバイスしてもらえたら助かります。
よろしくお願いします。これからも応援してます。

- K -



Kさんのメールを拝読した正直な第一印象は、奥様との結婚自体が少々成り行き任せ的であったという事でした。
ニューヨークを離れて西海岸に移住する際に、Kさんが 「どうしてもついてきて欲しい」とプロポーズしたのならば理解出来ますが、 当時のガールフレンドが「一緒について来ると言ってくれた」ので、「それならば、いっそ」という感じで結婚した というプロセスは、 西海岸への移住と抱き合わせにした決断のように見受けられるのが実際のところです。
アメリカでは 特に移民の場合、グリーンカードの取得が結婚のきっかけになるケースが非常に多いのですが、 Kさんの場合も そのようなケースであったのか、それとも双方にとって一緒に移住をするだけの 何等かのメリットがあったのかは、 頂いたメールからは分からない状況でした。

ウエストコーストは、ニューヨークのように幾つになってもシングル・シーンがあるような街とは異なり、カップル・カルチャーですので、 ある一定の年齢に達している場合、社交のためには結婚していた方が便利であることは紛れもない事実です。
またKさんと一緒に移住を決断された奥様は、NYでさほど収入を上げる仕事をしていなかった、もしくは特にニューヨークにいる必要性がない仕事をしていたものと思われます。 前者の場合でしたら、収入に差がある者同士が結婚した場合、税制上で有利になりますので、そんなメリットもあったのかもしれません。 いずれにしても、どんな結婚であっても その条件が変われば、結婚自体の意味が変わってくるのは無理も無いことで、 それは自分の人生をどう生きるかの問題となるので、「マイペース」であるとか「冷たい」というような人間性の問題に 擦り替えるべきではないと思います。

”結婚” を 愛情による人間の結びつきと考えられれば、それに越したことは無いですが、 同時に結婚は 合理的な社会システムでもあり、アメリカで生きる移民にとっては、それは尚の事です。 ですので、もし何等かの割り切りや合理性が介入した結婚をした場合、 夫婦になったからといって 突然 お互いの感情の結びつきが高まるようなことはありません。
そもそもこの問題は Kさんが夫婦というものを”個人2人の協力体制” と捉えているのに対して、 奥様が夫婦を ”2人一組の運命共同体” のように捉えているというズレが原因です。 それはKさんにとっては2度目の結婚で、奥様が初婚というところから来ているズレかもしれません。

Kさんは、奥様が日本に帰国されるのなら離婚をすると決めていらっしゃるようなので、その状況にフォーカスしてアドバイスをさせて頂くとすると、 一言に離婚と言っても、アメリカの場合、何処で結婚されたかによって状況が変わってくると思います。 ニューヨーク州で結婚したのであれば、Kさん夫妻にはお子さんも居ませんので、離婚は比較的簡単ですが、 もしカリフォルニア州でプレナプチャル・アグリーメント(離婚後の合意書)無しに結婚した場合には、結婚後の過去2年間にKさんが築いた財産の半分が 奥様の権利になりますので、深く考えずに 離婚に踏み切ると 非常に面倒なことになります。

Kさんの結婚の場合、日本とアメリカのどちらに住むかという 結婚の条件となり得る部分が 折り合っていなかった事が後から判明した状況ですので、 同じ別れる場合でも、法的手続きとして私がお薦めするのは 離婚ではなく、”Annulment/アニュルメント”、すなわち結婚の破棄/解消です。 ”アニュルメント” は、ブリットニー・スピアーズの最初の結婚のように、「ラスヴェガスで酔っ払った勢いで結婚してしまった」というようなケースでも用いられる法的手続きで、 結婚そのものが無効となりますので、お互いの結婚歴にバツが付くこともありませし、離婚のように財産分与が絡むこともありません。
”アニュルメント” は、結婚後数年が経過してからでも申請が可能で、相手とアニュルメントで関係を解消することで合意している限りは 離婚よりも遥かに手続きが簡単かつ、安上がりです。

それとは別に、片側が日本に帰国してしまった場合でも、アメリカに残る側の 節税対策で離婚をしないというケースを 私は何件か知っています。 この場合、日本では離婚の手続きをするケースもあれば、日本では最初から入籍していなかったケースもあるようですが、 中には帰国した伴侶が 「自分が思っていたよりもずっとアメリカナイズされていた」と悟って 戻ってきた例もあるので、 Kさんの奥様とて、日本に一時帰国するのと、日本でずっと暮らす事の違いを実感した場合は、考えを改めるかもしれません。
ですので Kさんが「日本に帰国してしまう女性を妻として生活するより、この先ずっと一緒にアメリカで暮らせる女性を直ぐに探したい」という場合には アニュルメントをお薦めしますが、そうでない場合には Kさんが奥様と一緒に日本に帰ることは出来ないことだけを明確にして、 奥様がどうするかはご自分で判断して頂くという形にしてしまった方が、現在の中途半端なストレスからは解放されるかと思います。

最後にカップル間の問題を相談する場合は、状況が似ているカップルを選んで相談することをお薦めします。 Kさんのような問題を、大恋愛で結ばれて、子供を熱心に育てているようなカップルに相談したところで解決策は見出せません。
また真剣に離婚(もしくはアニュルメント)を考えるのであれば、友人に相談するよりも、フィーを支払ってでも弁護士に相談した方が、 確実に前向きなアドバイスを、ケース・バイ・ケースでしてもらうことが可能です。 離婚も結婚同様に不用意に踏み切ってはいけないものですので、奥様と話し合う場合でも 事前にきちんと弁護士にコンサルテーションを受けてから臨むべきだと思います。

Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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