Apr. Week 1 2017
★ "Contacting With an Old Fling"
出会ったばかりの男性のウソや誇張を見抜くには?



秋山曜子さま、
いつもこのコーナーを欠かさずに読んでいます。同じような悩みを抱えている時には、アドバイスを自分のことのように読みますし、 そうでない時も皆さんからの悩みにしっかりアドバイスをされる秋山さんに感心しながら拝見しています。
私も秋山さんにアドバイスをお願いしたいと思ってメールをすることにしました。よろしくお願いします。

私は30代半ばを過ぎてしまい、そろそろ結婚を真剣に考えるようにと周囲に言われ、 婚活というほどではないですが、時々独身者が集まるパーティーに出掛けたりして、積極的に出会いを作るように心掛け始めました。
なかなか一緒に居て楽しい男性とか、話していて興味深い男性には巡り会えないなと思い始めていた時に、 バツイチで40代の男性に出会いました。 その男性は、私がこれまで知り合ったタイプとは違って話上手で、 ディーラーをしているという彼の仕事の話や取引の話、彼の趣味の旅行やワインの話を聞いて、 楽しいし勉強になるという感じのデートが3回続きました。 ところが、4回目のデートの時に外国の大学を出ているはずの彼が、私にも分かるような英語の間違いをして、 その場では気付かないふりをしていましたが、だんだんそれが気になり始めました。

その後も彼とはまたデートに出掛ける約束をしていたのですが、ある平日の昼間、私仕事を抜け出してある用事を済ませている時に 本当に偶然に街中で彼を見かけてしまいました。 彼は私の目の前を通り過ぎたのですが、私には全く気付いていなくて、 私が彼を見ていたことは知りません。
状況を詳しく書けないのですが、その時に私が目撃したのは 彼が語っていたディーラーという仕事とは全く違う職業をしている様子でした。 最初は我が目を疑って、そっくりな人だと思い込もうとしましたが彼に間違いなくて、 その日から彼が言っていたことが全て信じられなくなってしまいました。

そんな気持ちのまま会いたくなかったので、2回連続デートを延期したところ、彼が私の変化に気付いて、 「そんな風に相手を知ろうとしないから、何時までも結婚できないんじゃない」などとメッセージに書いてきました。 何て返事をしたら良いのか分からなくなって、そのままにしていたら さらにもう一度捨て台詞のようなメッセージが彼が送られてきて、 恐ろしくなりましたが、それ以来は連絡が来なくなりました。

彼はお金持ちが住むエリアの住人と言っていましたが、後から頭を冷やすとそれも絶対にウソだと思いますし、外国の大学に留学していたというのも きっと自慢できるような学歴じゃないのでごまかしたいのだと思えてきました。 でもあの日に彼を目撃していなかったら、彼の言うことを真に受けて そのまま付き合っていたと思いますし、付き合いが続いていたら彼と結婚を考えたかもしれないと思うと 恐ろしくなります。

この経験をしたせいで、今では初対面で共通の知り合いが居ない男性の言うことが信じられなくなってしまいました。 そこで秋山さんにアドバイスをお伺いしたいのは、どうしたら知り合ったばかりの男性の言っていることが、 ウソか本当か見分けられるかという事です。 秋山さんがいつもこのコーナーに寄せられた質問に答えてる際に、 相談者の方のEメールの細かい点を分析して、「どうしてそんな事まで分かるんだろう?」というようなお答えをしている様子を 感心して読んでいるので、私にもそんな洞察力あればと思うのですが、それが無い私でも ウソをつく男性にごまかされないようにするポイントなどがあったら、是非教えて頂きたいと思ってメールをしています。
今回のことで知り合う男性の本質を見極める自信が無くなっていて、 誰のことでも疑ってかかるようになってしまいそうです。これではいけないと思うのですが どうしたら良いか分かりません。 何かアドバイスをしていただけたら、とても嬉しいです。 お忙しいかと思いますがよろしくお願いします。
そして、これからもこのコーナーをずっと続けて下さい。

- S -





Sさんが経験されたようなことは、バックグラウンドが分からない状態の出会いが多いニューヨークでは 決して珍しいことではありません。 特にニューヨークに来て日が浅いアジア人女性は、カルチャーの違いでウソが見抜けないケースが多いせいか、 そういった新参者を狙った男性のウソや誇張に引っかかってしまうケースは少なくないようです。
私の知り合いにも、IPOを目指しているスタートアップ企業のパートナーを装った男性と何度かデートをして、 そのスタートアップへの投資を頼まれた時に「何かアヤシイ」と思って 我に返った女性が居ますが、 そんな詐欺まがいのケースだけでなく、 単なるプライドや優越感のために自分を実際よりも遥かにリッチでハイステータスに見せようという人は少なくありません。
3〜4年ほど前には、いわゆる見せ金だけしか持っていなかった男性が 友達のプライベート・ジェットに便乗したり、 友達のコネクションでVIPラウンジに出入りする様子をソーシャル・メディア上にアップして、 必要以上に自分をリッチに見せて、好待遇を受けていたものの、借金の返済が出来なくなり、 その経済状態がローカル・メディアで暴かれた例がありましたが、その男性はニューヨークのソーシャライトの中では 非常に良く知られた存在でした。
ウソや誇張で自分を実際より良く見せようという人の中には、一時的には本当に羽振りが良かったケースもあれば、 ただリッチでハイステータスの友達に囲まれていただけで、友人達の話の請け売りを バレないと思って語るケースがあるようです。 いずれのケースでも、詐欺のように金銭目当の目的がある訳ではなく、 単に優越感を感じたい、特別に扱われたいという理由、もしくは何らかのコンプレックスで 自分をリッチでハイステータスに見せようとする人は、 新しい人に会う度に ウソや誇張しか語れないケースが多く、 それは専門家からは軽度の精神障害と指摘される症状です。
そうした人はウソや誇張を指摘されると、狂暴なまでに反発するケースもあるようなので、 Sさんが 彼を見かけたことを言わななかったことや、彼のメッセージに返事をしなかったことは正しかったと私は判断します。

私も、NYに来たばかりの時に1度だけ食事に出かけた男性が、大手の玩具ビジネスをしているという叔父さんの話ばかりするので 不思議に思っていたところ、彼自身は叔父さんからオファーされた玩具ビジネスのエグゼクティブのポジションを断って、 あまり給与が良くない別の仕事をしているという話が最後に出てきました。 でもその説明がウソっぽかった様子から、そんな叔父さんなど居ない、もしくはエグゼクティブのポジションなどオファーされていないのに そう言って、自分の職業を明かす際の自分のプライドを守っているだけのように私には思えたので、 それ以降は彼とは2度と会いませんでした。
ですがその後、一度だけ友達のホームパーティーと思しき場所から電話が掛かって来て、 まるで私が彼のガールフレンドであるかのような口調で話しながら、「面白い人がたくさん集まっているから、パーティーに来ないか?」 と誘ってきましたが、それは私をパーティーに誘うために掛けた電話ではなく、 その場に居る人に 自分にガールフレンドが居ると見せかけるための電話であることは明らかでした。 なので、彼は本当にウソの常習犯だったのだと思います。

たとえバックグラウンドが分からない人でも、人間である限りはウソを語り続けると 必ずどこかでシッポを出すものですから、 それによって相手のウソや誇張に気付くケースもあれば、 「何となくしっくりこない」、「何となくウソ臭い」という雰囲気から察知出来るケースもあります。
過去に同じようなタイプのウソツキに遭遇したことがある人の場合は、それを見抜くスピードが速いように思いますし、 単に他人の自慢話を聞いているのが嫌な人も、話の内容を否定的に捉えたり、 その粗探しをするメンタリティのお陰で騙され難いのが実情です。

逆に人の話をよく聞いて それを信じる傾向にある人が、 「こういう人と友達になってみたい」、もしくは 「こういう男性とデートをしてみたかった」というタイプに出会った場合は、 相手が語るウソや誇張を鵜呑みにしてしまうケースが多いようです。そして、誰かにその信ぴょう性の乏しさを指摘されると たとえ自分もその人物について良く知らなくても、その指摘に反発したり、その人物を弁護してしまうことは少なくありません。
その背景にあるのは、「その人が自分が望む人物だと思いたい」という心理で、 それが自分の中にある疑いの気持ちや不確定要素を必死に掻き消している状況でもあります。

私は2000年にCUBE New Yorkを自分の会社として設立する前の1990年代後半に、2人のアメリカ人パートナーと CUBE New Yorkの前身になる会社をスタートさせていましたが、その時にパートナーの1人が 別の仕事を通じて知り合った 大金持ちの男性が 私たちのビジネスに投資をしてくれるというので、ミーティングに出かけたことがありました。
待ち合わせの場所は男性がコンドミニアムを所有しているというミッドタウンのビルのロビーで、 確かにそれは非常に有名な高額ビルディングでした。 私は待ち合わせ時間より早く着いたので ロビーの椅子に座って待っていましたが、 すると態度の大きな男性がロビーにやってきて、ドアマンからフェデラル・エクスプレスの封筒を受け取って立ち去ったので、 「高額コンドだと住人の態度も大きいなぁ…」と思っていたところ、再びその男性がフェデックスの封筒を持ってロビー現れ、 ちょうどその時にやってきた私のパートナーと挨拶を交わしたので、私はミーティングの相手が その態度が大きい男性だということを初めて悟りました。
私が直ぐに彼のことを胡散臭いと思ったのは、一度ピックアップしたフェデックスの封筒を再び持って現れたにも関わらず、 その封筒の中身が彼がインベストするかもしれないハリウッド映画のスクリプトなので、失くす訳にいかない大切な書類だと 私達に説明したことで、私は内心「そんなに大切なものならば、自分のコンドに戻った時に置いて来れば良かったはず」と思い、 明らかにそれを私達に見せびらかすために わざわざ持って登場したと判断しました。 もちろん私がそう考えることが出来たのは、Sさん同様、その男性が知らない間に彼を見ていたお陰でした。

その男性は、当時クールと思われていたブライトリングの大判の時計をして、カスタムメイドに見える派手なシャツを着用して、 シューズはさほど高そうには見えないものの、まぁまぁのレベル。彼のやっているビジネスの説明をする際に取り出してきたペンも カルチェで、目につくところにはお金が掛かっていたのですが、私がこの男性をフェイクだと思ったのは、 彼がドッカーズのチノパンツをはいていたことでした。ドッカーズはリーバイス傘下のブランドであるものの、リーバイス・ジーンズの ”永遠のクラシック”というイメージとは異なり、郊外のお父さんブランド。地方のショッピング・モールに子供連れで週末にやって来る男性が 着用しているのがこのパンツで、私はドッカーズのロゴを見た途端に、さらにその男性を疑い始めてしまいました。 もしこの男性が 全て安価なもので身を固めていたのだったら、ウォーレン・バフェットのように リッチな節約家かもしれない と思ったかもしれませんが、彼が身につけていた他のものとドッカーズのパンツのコントラストがあまりに強烈だったので、 その腑に落ちない思いは約20年が経過した今でも忘れられません。
加えてこの男性のコロンの匂いが強烈で、私は「嗅覚がおかしい人は、頭もおかしい」という考えの持ち主なので、 それも彼に対して警戒心を抱く要因になりました。

そのミーティングは案の定、私がこれまで出席した中で最も馬鹿げた内容で、私たちの会社の総資産を算出したら、 その50%を出資するので、50%の経営決定権をよこせ という意味不明なもの。 私は全く取り合いませんでしたが、パートナーは別の仕事を通じて彼に惚れ込んでいて、 投資をしてもらおうと勝手に決めていただけでなく、 未来のインベスターに対する私の全く乗り気でない態度が気に入らなかったようで、 帰りの車の中で私たちは口論になってしまいました。
結局、私からは彼が説得できないため、もう1人のパートナーにその投資話が如何に馬鹿げた内容かを説明して、 彼から説得をしてもらいましたが、同じ内容の指摘でも 盲目的にその男性を信じている1人のパートナーには 私のたわごとのように聞こえて、 もう1人の 先入観が全く無いパートナーには、私の説明が正当に聞き入れられたというのは、 同件が私にとって忘れられない経験になったもう1つの要因でした。

人間の付き合いというのは、多かれ少なかれ自己申告による経歴や情報によって成り立っているもので、 ある程度それを信じるスタンスでなければ、基本的な会話さえも成り立ちません。
私が危険だと思うのは、相手を知る前に強い先入観を抱いてしまうこと、 すなわち何の根拠も無しに、単なる思い込みから相手を過大評価してしまうことで、 それによって判断力が鈍ると 詐欺の被害にあったり、本当に自分を思って忠告してくれている人たちに怒りの矛先を向けるなど、 後から悔やんでも悔やみきれない事態を招くリスクがあると思います。

ですがSさんの場合 彼の英語の間違いに気付いて おかしいという気持ちを抱いていた訳ですから、 もし彼を街中で目撃しなくても、そのままデートを続けていたら きっと彼のウソや誇張にどんどん気付いていったことと思います。 相手が言うことを疑ってかかるのは良くないことですが、その行動や言動からしっかり相手を見極めるというのは、特に結婚相手を 探している場合には非常に大切なことですし、何か不安に感じる部分を相手に見出した場合には、 たとえ婚期が遅れても結婚するべきではないのです。
私が尊敬するベンジャミン・フランクリンの語録に "Keep your eyes wide open before marriage, half shut afterwards." というものがありますが、これは「結婚前は両目を見開いて相手を見極めて、結婚後は目を半分閉じて 細かい事は言わない」 という意味です。 この語録通り、先入観や思い込みを抱くことなく 相手をしっかり正当に見極める姿勢を持てば、 結婚後に 目を半分閉じて見過ごせる程度の問題で済む相手に巡り会えるはずなのです。
結婚相手選びに限らず、常に正当な判断力を持つということは人生の様々な局面においてとても重要なことですが、 判断に困った時は、相手が言うことよりも、自分の第一印象や本能的なひらめきを重視することをお薦めします。 人間には誰にでも自分を守る本能というものが備わっています。それに無理に逆らわない限りは、 人間は様々なトラブルが避けられる生き物なのです。

Yoko Akiyama

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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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