
Paris: la collection de Haute Couture automne-hiver 2008
2008年 秋冬 パリ・オート・クチュール・コレクション レビュー
2008年7月1週目に、3日間のスケジュールで行われたのが、2008年秋冬パリ・オート・クチュール・コレクション。
前回のオートクチュール・コレクション も 世界的な株安に見舞われた週に行われたけれど、今回もアメリカの株が下がり続け、
石油価格が高騰する中で行われたコレクション。
それでも メガ・リッチ層が増えているだけに、オート・クチュールはリセッションの世の中でも 確実に生き残る様相を見せており、
各メゾンは 景気をはばかることなく 1枚300万円のドレスを製作できる状況になっている。
また昨今、レッド・カーペット上でオート・クチュール・コレクションのドレスを着用するセレブリティが増えているけれど、
それを受けて今回のコレクションでもエヴァ・メンデスや、映画「ハルク」のプロモーションでパリ入りしていたリヴ・タイラーなどの
ハリウッド・スターが会場に姿を見せ、プレスを喜ばせていました。
ここでは、メジャー・メゾン8つのクリエーションをご紹介します。
Armani Prive / アルマーニ・プリヴェ
ストレート・パンツのスーツが前半の大半を占め、後半をイヴニングで締めくくったコレクション。
カラー・パレットはブラック&ホワイト、グレー&シルバー、ベージュ&シャンペンといったシックなもの。
リボンをかたどったオーナメントがベルトやアクセントに頻繁に用いられていたけれど、
秀作が多かったのは前半のパンツ・スーツ。
今回のイヴニングは、少々地味で新しさやインパクトに欠いていたという印象。
Chanel / シャネル
先シーズンの巨大なシャネル・ジャケットをフィーチャーしたステージに比べて、
至ってシンプルかつモダンでニュートラルなセッティングで行われたコレクション。
モデルのヘアは全て アメリカン・ヴォーグの編集長、アナ・ウィンターを彷彿させるショート・ボブ。
クラシックな素材を用いた新しいシルエットのスーツや、フューチャリスティックなシェイプのカクテル・ドレスが目を引いていたコレクション。
カラーパレットは数枚の例外を除いて全てブラック、ネイビー、グレーというもの。
Christian Dior / クリスチャン・ディオール
オートクチュール・メゾンの中で 最も売り上げを伸ばしていると言われるのがクリスチャン・ディオール。
今回のコレクションのインスピレーションとなったのは50年代のクリスチャン・ディオールのモデルで、
フォトグラファー、アーヴィン・ペンの夫人でもあったリサ・フォンサグリーブス。
それと同時に デザイナー、ジョン・ガリアーノの新しいミューズである、カーラ・ブルーニ・サルコジもインスピレーション・ソースに
加えたと言われる今シーズン。
超シアトリカルなドレスが控えめだった分、セレブリティがレッド・カーペット上で着用しそうなカクテル・ドレスや、
ソーシャライトたちがパーティーで着用出来るようなイヴニング・ガウンの数が増えていた印象。
Givency / ジヴァンシー
リカルド・ティッシがデザインを手掛けるジヴァンシーの今シーズンは、彼が8月に企画しているペルー旅行がインスピレーションになったコレクション。
それだけにブラウンやモス・グリーンのパレットに加えて、ブランケット・ストライプやフォークロアのアルパカ・ヴィヴィッドなピンク、
インカの遺跡にインスピレーションを得たプリントやレースなどが登場。
若くモダンなクチュールを求める客層に焦点を絞って、贅沢なハイテク素材をふんだんに用いた作品となっている。
Jean Paul Gaultier / ジャン・ポール・ゴルティエ
ジャン・ポール・ゴルティエの今シーズンは、新しさや、特定のコンセプトよりも いかにもゴルティエ的なクリエーションやかつてのアイデアを
再編集したような印象を与えていたコレクション。それだけにメディアの評判は今ひとつ。
前半はファーやレザー、クロコダイルなどのエキゾティック・レザーを用い、しっかり肩パットが入ったシルエットのモダンでハードなイメージ。
中盤からはフレーム・ケージ(鳥かごのようなボーン・フレーム)をシルエットに取り入れた作品が増えると同時に、カラー・パレットはヴィヴィッド。
ラストはフレーム・ケージでヴェールを演出したマリエで飾っていた。
Christian Lacroix / クリスチャン・ラクロア
今シーズンもカラフルでデコラティブな クラシック・クチュールのビューティーを見せ付けたクリスチャン・ラクロア。
徐々に彼のようなビーズや刺繍、プリント、バッスル・スカートといったいかにもクチュールらしいコレクションを見せるデザイナーが減っている中で、
彼は70年代のジャン・パトゥー、80年代のクリスチャン・ラクロアの路線を守り続けているけれど、それがかえって
クチュール・コレクションの中で彼の存在を引き立たせているのが昨今。
特に今シーズンはブラック・レースを用いたカクテル・ミニ・ドレスに秀作がいくつも見られていたけれど、
シフォンを用いた数枚のイヴニングは、インパクトに欠いていた印象。
Valentino / ヴァレンティノ
前回のクチュール・コレクションを最後に引退した デザイナーのヴァレンティノ・ガラヴァーニの後継者となった、
アレッサンドラ・ファシネッティ の初のクチュール・コレクション。
トム・フォードのアシスタントとして、プレタポルテ級の高級素材には馴染みがあっても、クチュールの高額素材や、
高額刺繍が扱えるか?と 言われていたファシネッティであるけれど、そのプレスのリアクションは 思いの他 良いもので、
秋冬のプレタポルテコレクションよりも遥かに出来が良いと言われていたもの。
「完璧ではないけれど、確実にヴァレンティノを正しい方向に導いている」と評価されていたコレクション。
ことに評判が良かったのが、写真上、左から2番目のコート・ドレス。
ブランド創設者のヴァレンティノ自身のコレクションに比べるとセクシーさは欠ける彼の提唱したエレガンスは引き継いでいるのは
確実に理解できるところ。
Elie Saab / エリー・サーブ
今回のコレクションでは、膝丈のアウトフィットの数が増えていたものの、あまりサクセスフルとは言えない作品が多かったのは
残念な部分。
しかしながら、やはりエリー・サーブの持ち味と言えるのは、フル・レングスのイヴニング・ガウン。
今シーズンは、特にビッグ・スカートのドレスに美しい作品が幾つも見られていた。
ただ、似た印象のドレスが何枚も登場する傾向は引き続きで、ディオールやラクロアのコレクションなどに比べると、
エンターテイメント性には乏しいコレクション。
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